がんばれ!ぺナキッズ第22話~決戦の日、来たる。調整試合だ、ぺナキッズ!前編~
2006年8月8日、、、。「愛知FC戦が終わったら、このチームの監督とコーチはやめます」ヒデ監督とワッキーコーチの辞任宣言に、ぺナキッズは驚きと戸惑いを隠せません。2006年4月、ペナルティの2人は弱小少年サッカーチームの監督とコーチを任されました。そして強豪愛知FCジュニア選抜との最初の対戦では、15対0と惨敗してしまいます。それから半年間、愛知FCとのリベンジ戦で勝つためにぺナキッズは実戦を積み続けました。そして8月19日午後5時、名古屋グランパスのホームグラウンド瑞穂陸上競技場で、リベンジ戦が行われます。これまで強豪チームと戦ってきた成果は、3勝8敗と決して良い結果ではありませんでした。前回のAlma大垣戦で、やっと納得がいく試合をすることができたぺナキッズをここまでのチームに育ててくれた、ヒデ監督とワッキーコーチは、リベンジ戦を最後に彼らの前から去ってしまいます。「やっぱりさみしい」「もうちょい教えてもらいたかった」「悲しいけど、愛知FCに勝って(監督とコーチを)喜ばせたい」そして8月19日、愛知FCとの決戦の日がやってきました。午前9時。ヒデ監督「いいねぇ。乗ってるねぇ。あきと今のいいねぇ、シュート」いつもと同じ試合前の練習ですが、ぺナキッズにとって今日の練習は特別です。ぺナキッズは愛知FCとの再戦に向けて、シュートの練習を念入りに行いました。ヒデ監督「いよいよ、愛知FCとの試合当日がやってまいりました。今からですね、9時間10時間後には、すべて終わってます。ぱっと見る限り、今日はやりそうな表情してるなっていうのが、第一印象です」ワッキーコーチ「すごい気合が入ってるなぁっていうのを、ひろの髪型で感じました。丸坊主です」ヒデ監督「やってきましたよ」ワッキーコーチ「ひろ、めちゃめちゃ似合ってるぞ」ヒデ監督「いいねぇ」監督とコーチに気合が入った丸坊主をほめられ、ひろくんも大満足です。ヒデ監督「さあそれでは、ほんとね、一分一秒が、大事な当日ですから、さっそく練習の方に入りましょう」決戦当日前、フォーメーションチェックのためヒデ監督とワッキーコーチが招いたのは、ぺナキッズと実力が近い門弟山スポーツ少年団でした。手の内を知らない相手との調整試合で、実戦的なテクニックとプレーの最終確認を行うための秘策としてこのチームとぺナキッズが対戦します。ヒデ監督「セットプレーね。セットプレーを、今日試合でやることをやっていく。あと、スローインとかも。わかるね。スローインは二人がおとりになったら相手に一人とか、で、セットプレーもそう、あとリスタート、コーナーキックとか、そこは徹底して今日。そこだけちょっと見たいから。で、けがしないように。無理しないで」ワッキーコーチ「ほんで、調整だから、関係ないとこでピーっとやって止めて、こっからフリーキックやらしてってフリーキックやったりするから。コーナーキックをもう一回やったりだとか、スローインをもう一回やったりだとか」ぺナキッズが苦手だったセットプレーですが、夏合宿で元名古屋グランパスの沢入重雄さんから秘策を教わりました。沢入さん「たとえ愛知FCでも、一回ぐらい必ず君たちの形になるから」スローインは走りまわって相手のディフェンスをかく乱し、フリーとなった選手にボールを渡します。広いピッチでのコーナーは、一度前に出して距離をつめてから改めて打ちます。ゴール前の選手は、せきをきったようになだれこみ体で押し込んでいきます。フリーキックにおいても、みんなでなだれこみみんなで一点を取る精神もこの合宿で学びました。この「皆で取る一点」の精神は、最近の試合で形になりつつあります。この日でぺナキッズの前から去らなければならないヒデ監督とワッキーコーチは、セットプレーの重要さを最後まで伝えるためフォーメーションチェックを入念に行うことにしました。そして愛知FC戦に向けて、門弟山スポーツ少年団との調整試合が始まります。ヒデ監督「実際愛知FCとの試合の時に、グランド広いからね。それを考えて」はやたくんのパスからのシュートが決まらなかったため、チェックが入りました。ヒデ監督「すいません、もう一回お願いします。そこひとつなぁ。はやた、次ちがう方向でもいいし、今のでもいいし」そしてあきらくんへのパスはおしいところで決まりません。ワッキーコーチ「あきら、来るって思っとかないとだめだよ」ヒデ監督「今わざと次反対に蹴ってもらったんだけど、お前準備してないってのはもろわかるじゃん」愛知FCとのリベンジ戦を前に、ぺナキッズの動きは緊張で堅くなっています。ヒデ監督「だめ、右も左も来ると。逆にだますぐらいじゃないとだめだよ」感覚を体に覚えさせるため、ヒデ監督は何度もホイッスルを吹いてプレーをやり直しさせます。ヒデ監督「OK,こっからフリーキックお願いします」ワッキーコーチ「はやた、これほぼシュートみたいなの打っていいから」はやたくんのフリーキックをいい形で決めるため、もう一度フリーキックをやり直しさせました。ワッキーコーチ「シュート性の高い球行くからな、ちょっとさわるだけでいい球行くからね。コース変えるだけでいい球が」はやたくんのフリーキックはシュートにつなげることができず、りょうまくんがコーナーキックを蹴りますがぺナキッズはみんなでゴール前に押し寄せすぎてしまいます。ヒデ監督「一回、一回離れる、一回離れる。教えたでしょ、シュート打ちたいところあけとくの。ここで打ちたかったらあけといてそこに行くの、そこで当てる」りょうまくんのフリーキックは、なかなかゴールにはつながりません。セットプレーの中でも、ヒデ監督は特にコーナーキックにこだわります。前回Alma大垣に大勝した試合で、2点がコーナーキックからの得点だったためでした。ヒデ監督「あけといていいんだよ、ちょっとみんな聞いて。みんなあけといていいの。走りこんで、ここでボールもらうんだよ。あけとくの、あけとくの。したらもう、勝手にディフェンスがついてくるから。最初からいない、そんなキック力もね、ヘディングの力もないんだから、走った勢いで決めるつもりで行かないと」ヒデ監督の言うとおりに走りこもうとしますが、なかなか形にはなりません。しかし少しづつイメージはできあがりつつあります。ヒデ監督「イメージね、イメージね。OK、OK」決戦当日の一週間前、ぺナキッズは自主トレでもコーナーキックを重点的に練習していました。けいじくん「みんなやる気があって、このまま愛知FC戦にのぞめればいいけど。(夏休みの宿題は)ほとんどやってある」夏休み返上で愛知FCとのリベンジ戦に向けて決戦の前日までぺナキッズは全力を注ぎ続けます。練習の成果もあり、なかなか出なかった声も出せるようになりました。はやたくん「攻撃のカタチができてきとる」とおやくん「早く試合したい」あきらくん「愛知FC戦、一点でもいいからとりたい」しょうやくん「とにかく勝ちたい」さまざまな思いを胸に、ぺナキッズは決戦の日を迎えます、、、。愛知FCとのリベンジ戦当日、これまで実戦を通して学んできた技術と精神を、調整試合で再確認してきました。そこで見せたのが、愛知FCのお株を奪うサイド攻撃です。二人のディフェンダーに囲まれて、動けないあきとくんからサイドライン近くでボールをもらったけんごくんが、仲間のピンチを救うため、積極的にあがりあきとくんからボールをもらい、そのままドリブルで持ち上げてセンタリングしました。そしてシュートが決まり、みごとに得点に結びつきます。ヒデ監督「いいよ、今のイメージね」ワッキーコーチ「あきと、けんご!今のよかったよ、すごく。イメージしといてね」ぺナキッズは自分たちのプレーに、少しづつ自信を持ち始めました。けんごくん「(愛知FCに)勝てそう」あきとくん「緊張と楽しみが混ざったカンジ」練習後のとんぼも一緒に引く2人は、愛知FCとのリベンジ戦で旋風を巻き起こそうとしています、、、。