|
|
|
2013.07.22
カテゴリ：病院
最近、新聞でMeningokokkenの記事をよく目にするようになった。ベルリンでの同性愛者80000人に対する予防接種の勧告などである。髄膜炎菌による感染は日本ではあまり流行していないが、ドイツではメジャーな病気のようだ。どういう病気なのか、調べてみた。
Meningokokken感染症（髄膜炎菌感染）は細菌によって引き起こされる感染症で、唾液（つば、せき、くしゃみ、キス）等を介して感染する。A, B, C, W135,Y等、約12の型が分類されている。このうちドイツではB型（71％）とC型（21％）を中心とする感染が見られる。先進国での発症率は10万人あたり0.5人から5人で、ドイツの場合は10万人当たり0.5人前後である（ロバートコッホ研究所）。 MeningokokkenC型に感染した場合の予後が非常に悪く、致死率は10％にも上る。感染すると、脳の皮質に深刻な炎症が生じたり、菌によって産出される毒素によって血液の循環が阻害されて指の壊死が生じたりする。 発症後初期の集中的な抗生物質の投与が有効だが、発症者の10％は死亡し、20％は後遺症が残るという。発症後48時間以内に死亡に至ることもあるなど、症状の進行が非常に早い。特徴的な症状は極度の頭痛、高熱、首筋の硬直、皮膚の紫斑、意識レベルの低下（呼びかけに答えない）等である。抗生物質の投与のタイミングで生死が分かれるということなので、病状に気付いたら、救急車を呼ぶなど、一刻も早く大きな病院で治療を開始することが必要になる。 ヨーロッパでの感染のピークは1月から3月で、患者の30％から40％がこの時期に発症する。また、罹患しやすい時期は1歳から2歳までの乳幼児期と、15歳から19歳までの青少年期である。Meningokokkenの予防には予防接種が有効である。ドイツではMeningokokkenCの予防接種が2006年より1歳児の定期接種として導入され、罹患率の低下に貢献している。 ロバートコッホ研究所によれば、ドイツ人口の約10％は、病気に既に感染しているということだ。一方、健康な成人が感染しても、のどや鼻などに菌を保有しているものの、多くの場合発症することはない模様だ。 ただし、保菌者との濃密な唾液の交換（深いキス）等がされた場合、感染・発症の原因になる。特に同性愛などの濃密な関係を持った後にMeningokokkenを発病しやすいことが知られている。保菌者との濃密な唾液の交換があった場合、およそ3分の1の確率でMeningokokkenを発症するということだ。 Meningokokkenの予防接種は、免疫障害がある場合、Meningokokken症例の特に多い地域を訪れる場合（アフリカや中東など）を除いて、これまで健康な成人については特に推奨されていなかった。しかし、このように同性愛の関係で感染するリスクが非常に高いことから、ベルリンなどの80000人のSchwuleに対して、予防接種が推奨されることになった。 （ソース） http://www.tagesspiegel.de/wissen/meningitis-und-blutvergiftung-meningokokken-warum-schwule-in-berlin-gefaehrdet-sind/8522520.html http://www.morgenpost.de/berlin-aktuell/article118235661/Meningokokken-Homosexuelle-sollen-sich-impfen-lassen.html http://www.rki.de/DE/Content/Infekt/EpidBull/Merkblaetter/Ratgeber_Meningokokken.html お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう
最終更新日
2013.07.22 06:59:31
[病院] カテゴリの最新記事
|
