神戸製鋼所 (東証一部 : 5406) - 政治資金問題 「知らなかった」
神戸製鋼所(東証一部 : 5406)の犬伏泰夫社長らは10日、記者会見し、地方議員候補の選挙経費の一部を肩代わりしていたと発表。「内部統制に問題があった」と語った。犬伏社長と報道陣との一問一答は次の通り。 --なぜ、こういうことが起きたのか。 「関与した社員は法律が改正されたことは知っていたが、法律に触れるという認識はなかった。法令改正のたびにマニュアルを作り、徹底しているが甘かった。今回は物品の発注と、納入のチェックを同じ人物が担当しており、内部統制の面でも問題があった」 --会社として知らなかったのか。 「知らなかった。各事業所長も選挙支援をしているのは知っていたが、具体的内容までは把握していなかった」 --責任は。 「排出データ改ざん問題を受け、コンプライアンス(法令順守)に関する社内キャンペーンを行っていたのに、違反を防げなかったことに責任を痛感し、退任を決意した。水越会長も同様だ。新体制で信頼回復をしていきたい」 ◇経営にも影響必至 神戸製鋼所の不適切な政治資金支出問題は、会長、社長が同時に引責辞任するという異例の事態となった。同社は06年、兵庫県の加古川、神戸両製鉄所でばい煙問題を引き起こしたのを契機に法令順守を強化したことをアピールしていたが、取り組みの不十分さが浮かび上がった。 「企業の法令順守に対する視線は、日々厳しくなっている。今後、取引先からも反省を求められると思う」。神戸市で10日開かれた会見で辞任を表明した犬伏泰夫社長は、今回の不祥事が経営に与える影響に言及した。 神鋼はこれまでにも、基準値を超えるばい煙を排出していながらデータを改ざんしていたことが判明したほか、99年に元専務らによる総会屋への利益供与が発覚するなどの不祥事を起こしている。 それだけに、今回の不祥事によるイメージダウンは極めて大きい。犬伏社長は、厳しい経営環境を理由に「今回の問題が発覚するまでは社長続投に傾いていた」というが、引き続き経営のかじを取ることが許される状況ではなくなった。 鉄鋼業界では09年3月期の業績下方修正が相次ぎ、神鋼も今月3日に最終利益を従来予想の800億円から130億円に下方修正。次期社長となる佐藤広士副社長は「全社一丸となって努力する」と表明した。【上田宏明】============== ◇佐藤広士氏(さとう・ひろし) 九州大院修了。70年神戸製鋼所。取締役、専務を経て04年4月から副社長。大分県出身。毎日新聞 2009年2月11日 東京朝刊バックナンバー技術開発力と現場力で資源高騰を乗り越える - 2008年06月18日効率化で鋼材生産増 - 2008年05月28日