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ちほの転び屋さん日記

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ちほころ@ Re:御礼(04/13) 大杉先生 わざわざコメントくださりあり…

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2007年03月23日
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国際私法をそれなりに勉強しているものの、どうにも理解するにはほど遠い。以下、何か根本的な誤解をしているような気がします。

日本に本拠を置く法人甲が日本国内において日本を労務提供地として乙と労働契約を締結。その際、準拠法をA国法と指定した。その後、甲は、A国法に基づいて乙を解雇した。乙が労基署に相談にきた場合、労基署はどのように対応すべきか。

この場合、客観的な渉外的要素は一切ないのにA国法が適用されてしまうのは、制限なしの当事者自治(通則法7条。主観的連結)を認めてしまっているがゆえ。

そのことは置いておくとして、原則としてA国法上の解雇法理が適用されるのは問題ないと。で、この先の問題として、労基署は、A国法上の解雇法理に従って判断しなければならないのか。それとも、A国法上の労働問題は管轄(所管)外だからA国の労基署的なところへいってくださいということになるのか(が、A国の国際私法がA国法を準拠法とするとは限らないし、A国の労基署が管轄を有するとも限らない)。日本の労基署は、日本の労基法が適用される事案にしか口を出さないと(というよりも、日本の労基法が適用されない事案は相談を受けることが禁止される?)。これは国際裁判管轄の労基署バージョンの問題。

この類の問題が戸籍実務上生じないように、法務省が国際家族法の分野であれこれやってたんじゃないかと思うんですが(「できるだけ日本法で」)、(厚生)労働省が法例改正に出張ってきてたなんて話は聞かないですよね。

通則法12条によれば、上記事例では、乙は、日本法の強行規定の適用を求めることができるわけですよね。そうすると、日本の労基署は、日本の強行規定が適用されるかぎりでは管轄を有することになるのかどうか(労働者の側からいうと、同条の意思表示をすることで、日本の労基署を巻き込むことができるのかってこと)。

たとえば、乙の解雇が天災を理由とするものだった場合、甲に対し「労基法19条2項に基づき労基署の認定を受けよ。違反すると罰則が課されることになるぞ」といえるのかどうか。
また、ここでいう認定は19条1項但書後段の事由による解雇を前提とするから、あくまでも日本法の19条1項の要件を満たすかどうかを認定すればすむのか。それとも、A国法上の労基法に定められた要件の認定もする必要があるのか。たとえば、A国法でも天災を理由とする解雇が認められているが認定制度は存在しないとして、A国法と日本法とでは天災の解釈が異なる場合、どちらの解釈にあわせて認定をすればいいのか(現実問題として、どっちにしても労基署は、解釈論にまでは踏み込まないで形式的な認定しかしないんでしょうが)。あるいは、日本法では解雇有効だが、A国法では解雇無効の場合、労基法はあくまで日本法に従って認定すればよいのか、A国法に従い、解雇無効として認定をださないことにするのか。
 A国法 解雇無効 認定不要
 日本法 解雇有効 認定必要
この場合、労基署の立場としては、日本法では有効ですよ、ということで認定をすれば仕事を果たしたことになるのかってことです。で、A国法上無効かどうかは裁判所でやってくださいとなるのか。
さらに、甲が認定を受けない場合に、甲に罰則を課すことが出来るのかどうか。

そもそも、19条2項は私法的効力とは結びつかない公法的規定だから、通則法12条の「特定の強行規定」にはあてはまらないのかどうか(労働法学説上、認定を受けないと解雇が無効になるという説もあるようですが、この説によれば「特定の強行規定」にあてはまることになるのか)。

逆に、罰則付きの公法的規定であるがゆえに「属地性あり」あるいは「絶対的強行法規」と扱われて適用されるのか。「日本国内」(刑法1条)における犯罪であることだし。そうだとすると、罰則付きの規定は、通則法12条のルートを通らないでも適用されてしまうのか。私法的効力は通則法12条のルートを通らない限り影響を受けないが、刑罰だけは日本国内で行われている限り適用されてしまうのか。たとえば、解雇の私法的効力はA国法に従い「有効」であり、乙が同条の意思表示をしないので日本法の強行規定が適用されない場合でも、日本の労基法上の罰則が課されてしまうのはいいのかどうか。
あるいは、準拠法上、日本の労基法が適用されると判断されてはじめて、甲は刑罰の主体たる「(使用)者」の資格を得ることになるのか。

これも、「民法と刑法」における独自説と従属説の争いに渉外的要素が加わった場合の問題なわけです。「A国」の私法上有効な行為を「日本」の刑法で刑罰を課してもいいのか、ということです。この点は、一国内の法体系における評価矛盾ではないっていうんで、別にいいんじゃない、って感じで終わっちゃいそうですが、それでいいのかな、っていうのが先日の日記でいいたかったことです。

仮に、労務提供地→密接関係地が「B国」で、乙が解雇されて日本に帰ってきてから日本の労基署に相談にきた場合はどうなるのか。この場合、準拠法としては、A国法+B国法の強行法規が適用されるわけだけども、日本の労基署は、日本の労基法が適用されないってことで乙の相談を無視しちゃっていいのかどうか。日本の「絶対的強行法規」が適用される限りでは口出しができる(あるいはしなきゃいけない)のかどうか(労基署は何が絶対的強行法規であるかを特定しないといけない?)。

乙が通則法12条を知らなかった場合、労基署は、乙に同条の意思表示をするように教えてあげる義務があるのかどうか(同条は、実質法そのものではないが国内法上の労働者保護法規であることに変わりはない。実質法的価値判断が混ざっているし)。このことは、密接関係地が日本法になるか外国法になるかで違いがあるか。労基署自身も密接関係地がどこにあるかを判断しなければならないのか。推定規定に乗っかっておけば足りるのか。

ケーススタディという名の判例分析ばかりやってると、こういう裁判外の問題には気が付きにくい気がします。

以上、管轄の問題と国際私法上の問題がごっちゃになってわかりにくいし、「のかどうか」ばかりで何ら結論を出せていません。





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最終更新日  2007年03月23日 16時54分17秒
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