「西側」が後ろ盾になっているウクライナの暫定政権で検察を統括する人物はネオナチのメンバー
ネオコンを後ろ盾とするウクライナの暫定政権の首相に選ばれたアルセニー・ヤツェニュクはウクライナ国立銀行の総裁や外相を経験したことのある人物で、多くの人が予想していたことだろう。ウクライナの富を狙う「国境なき巨大資本」にとって必要な人材であり、ジェオフリー・パイアット駐ウクライナ米国大使と電話で話した際、ビクトリア・ヌランド米国務次官補も高く評価していた。 興味深いのはネオ・ナチの「スボボダ」から3名が入閣していること。まずオレクサンドル・シクが副首相、アンドリー・モクニクがエコロジー相、オレクサンドル・ミルニーが農業相。それ以上に大きな意味を持ちそうな人事が司法長官。やはりスボボダのオレー・マクニスキーが就任したのだ。ネオ・ナチが検察を動かす意味は重い。 こうなると、アレキサンダー・ムージチコ(別名サーシャ・ビリー)やドミトリー・ヤロシュのグループによる犯罪的行為が公正に取り締まられるとは思えず、ビクトル・ヤヌコビッチ派狩りが本格化するのだろう。1973年9月11日にチリであった軍事クーデターを思い出す。このクーデターはヘンリー・キッシンジャーに操られたオーグスト・ピノチェトなる軍人を中心とする部隊が実行、新自由主義経済を導入する下地を作った。その際、障害になりそうな多くの人びとを逮捕、拷問、殺害している。このチリだけでなく、ウォール街を後ろ盾とするラテン・アメリカの独裁体制下では「死の部隊」が編成された。ウクライナでは「平和的な市民」による恐怖政治が始まるかもしれない。