カテゴリ:ライブレポ・タイミュージシャン
ドリフのコントで最後にざばーんって水が流れ込んでくるやつあったけど、あれ級の雨。
乾期ですよ、乾期!今乾期ですよ、タイランドさん!と、空に叫んでみても止むわけがない。とにかくものすごい土砂降り。 そこで、あたし、まむあんさんに以前聞いたあることを思い出した。 「あっ、タイトル忘れたけど「ワンニーフォントック(今日は雨~)♪」って歌、まむあんさん、雨の日しかやらないって言ってた。」 「じゃあ、SEKが会場に入ったときには雨がもう降ってたってことか???」 そう!バンコク出るときも、かんかん照り、オープンエアの席でビール飲んでるときだって「パタヤってたくさん星が出てるんだねー!」「町なのにやっぱりバンコクより田舎なんだねー」なんてしゃべりながら星空にうっとりしていなはず。どう考えたって雨なんか降るわけがなかったのだ。 空模様ぐらい予告してよー!って思ったけど、実はゾンビ、いや、欧米人たちの横暴振りを見ていてまったく気がつかなかっただけで、SEK御大からの「雨降ってますよー」の業務連絡は静かに行われていたのだった。まるで雨が降った時、イトーヨーカドーで流れる「悲しき雨音」のように、予告はさり気なくあったのだった。 確かにやってた!やってました! えーっ、その頃から降ってたとするとタイの「一時的集中豪雨」ではなくずっと降ってるってこと?そんなぁ? ぎゃーすか言っている間も雨はどんどん酷くなる。屋根の中にも入ってきて、水しぶきあびちゃうし、でかい黒犬君も震えながら他のお客さんと一緒に雨が上がるのを待っている。 おまけにいろんな席を回って人から酒をちびちびもらいまわっていたプロレスラーみたいな欧米人ばばぁと店員の大喧嘩が見ものだった。店員に「金よこせ!」と怒鳴られているのに「あたしは飲んでいない!」と払う気もないらしく、温和なタイ人に「死ね!」と叫ばれていて。実はこの女、うちらの席にもきて「酒くれ」とかいったけど、「NO!」と断固拒否してやったんだけどね。ステージにまで上がっちゃって大変だったのよ。 ああ、雨を待っている間に、なんだか殺伐としたムードも漂い始めちゃった。 「なんだかまだ中で飲んでりゃ良かったね」「わかんなかったもんねえ」 ところで、どれくらい待てば止むんでしょうか。今まで雨降らなかったのに。結局この日以外のこの滞在では雨なんて一滴も降らなかったのに。ステージでゾンビに絡まれるSEK御大をつまみにウイスキー飲んでいたバチかも?反則だよ、パタヤ。 だんだん寒くなって子犬のようにぷるぷる震え始めた頃、ある事に気がついた。はっ!!もう4時!!!「ねえ、これってさ、バスで帰れるじゃないの?どうせ雨やまないし、タクシーなんか走ってもいないし」「・・・ほ、ほんとだ!だってやまないし(笑)」 あららら、これってラッキー?移動費ずいぶん安く上がりそう。しかもすごいことに、ここ、エキサイト前にはずうっとモタサイさんたちが待機している。どしゃぶりの中でもカッパ着て待機。バンコクとは全然違うぞ! 「少しでも小ぶりになったらモタサイ乗ってバスターミナルいってしまおう。確かチケット売り場は4時30分には空いてるって書いてあったし」 それから待つこと30分。雨脚は弱まり、お客さんもなんとなく帰り始めた。気がついたんだけど、エキサイト、中はDJが皿回してダンサーも踊り狂っていてお客さんも踊り狂っていて、営業中。おかしい。タイの営業法ってこんな時間まで許可してたっけ? 我々もモタサイズのいる場所へ。 ぎゃーっ!目の前のカップルに拾われた!「ちっくしょー!」と叫んでいたところへ・・・ビニールガッパも着用せず、びしょびしょに濡れそぼった坊主頭のモタサイオヤジが、にこにこ微笑みながら「乗るかい?」と走りこんできた。 この人、みんなカッパ着てるのに一人でびしょびしょになりながらずっと仕事をしていたらしい。かわいそうに。オヤジは女の子二人乗るのだからと、びしょびしょのシートをせっせとふいてくれた。 なんてかわいらしい。 「よいしょ」と2ケツでまたがると「足はこれを二人で乗せなさい」と丁寧。Tちゃん、おやじの背中の湿り気を感じて「この人、びしょびしょだ。すごくまじめなんだ。」と声を震わせて感動している。ん?寒くて震えているのか? 途中、大雨のせいで道が水没している。おじさん、極力スピードを落としてその池みたいな水溜りを走り始めた。ぎゃああ!スピード落としても水がひっかかるよー!さぶいよーー! もう笑うしかなくて、運ちゃんふくめて3人で大爆笑しながら早朝のドライブ。ここで一気にほろ酔いが冷める。どうもSEK御大のライブにくると、どんなに酔っ払っていても酔いをきれいに醒ましてくれる出来事が起こるらしい。さらに洗礼も受けるらしい。恐くなってきた。 おじさんは「この時期にこんなに雨が降ることなんてまずないよ。今まで全然降ってなかったのに。でもここの道は雨季になるとこうなっちゃうんだけど」とびっくり。 ・・・やられた。はめられたんだ(何に?)・・・脳震盪の次はこう来るとは。 やっとの思いでバスターミナルにつき、朝一(5時40分発)のチケットを購入しると、ぶるっと寒気が襲ってきた。おまけにお腹も減った。当たり前だ、夕食、食べてからずっと立ちっぱなしではしゃいでいたんだもの。 そこでコンビ二へ。 めぼしいものは何もなく、ママーでも食べて温まろうかと思ったところ、コンビニの前にこの真夜中に営業し続ける麺屋台を発見。 「クイティオ食べるっていうのも手じゃない?」「ほんとだ!それ乗った!」 あったかい汁麺で温まりたい・・・おかしい、乾期なのに。 店先ではモタサイのおじさんがカノムチンを食べている。あたしたちがきょろきょろとお店の人を捜していると、目で追って心配そうな顔をしている。だっていないんだもの、誰も。「食うのかい?」とおじさん。「はい」と私達。 「ちょっと待ってろ。」おじさん、お店の人を捜しにいってくれた。なんて優しいの!モタサイのおじさんと慌てて帰ってきた店のおばちゃんにあったかいクィティアオナームを頼み、いただく。 うわあ、美味しい!甘みがなくて、コクがあってほんっとに美味しい!具の鶏肉はとてもやわらかく煮込んであって、味がとてもよく染みている。さりげなくさっていく親切なモタサイのおじさんに「ありがとう!」というと、照れくさそうにこくっと頷いて去っていった。なんだかじーんとする。 服が濡れていてまだ寒いといえば寒いけど、体は温まってバスターミナルへ。その途中で見覚えのあるファンキーな長髪が。あれ?あれ? 「おじさん!」思わずあたしは声をかけてしまった。そう、行きにエキサイトとあの美味しいシーフード屋に連れて行ってくれたモタサイのおやじだったのだ!もう一度会えるなんてうれしいよ! おやじは目をまん丸にして「え?もう帰るのか?あんたたち泊まらないのか?」とびっくり。おやじはあの時間に仕事を終え、一眠りしてからここにいる。うちらはというと、食って、飲んで、ライブ見てはしゃいで、雨にふられて、ぬれそぼって、麺食って(爆笑)・・・そりゃびびっただろう。「そうか、気をつけてかえれよー!」とおやじ、心配そう。 なんだか、最初から最後までパタヤの人情とパタヤの面白さと、Tちゃんとの旅の面白さと・・・美味しいとこ取り、感動しっぱなし、笑いっぱなしの小旅行になった。 パタヤのモタサイのおじさんたち、とてもまじめで優しく働き者なのですね。 なんだかパタヤが大好きになった。ありがとう、SEK御大。 バスに乗った瞬間、オンヌットだった(爆笑)。というか乗った瞬間、気絶したみたいに寝てしまったようだ。 BTSは鬼のようにクーラーがきいていて、いまだ湿っている衣服のわれらは凍死寸前。さわやかでおしゃれなサービスアパートに、朝の7時30分に到着。って・・・待て?パタヤからバスの運ちゃんどれだけ飛ばしたんだ!?寝ている間に横転して死にかねないスピードじゃん???多分、オンヌットまで1時間20分・・・早すぎ。 信じられないほどの神がかり的な雨のおかげで、スムーズで面白すぎる体験ができたわけ。 あー、面白すぎた。全てが面白すぎた・・・。ちなみに、あたしはこれで完全に風邪を引き、二日後、発熱。高熱のまま空港へ、そして日本へ帰国する羽目に。ごめんなさい。もう二度とゾンビの襲撃を受けている人を見ても笑いません。 応援にぽちっとおしてください。ランキング参加中です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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