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伊奈利短歌ツイ短歌小説「伏見稲荷大社の物語」・「働く女性たち駆け込み寺居酒屋ポン吉」最近では長編小説…小説西寺物語　小説盆栽物語小説鯖街道老人と性里坊さくら苑小説老人と性を書いています。ツイ川柳ツイコラムシルバー短歌

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2017年01月19日

小説…「働く女性たち」…「めんどう婚瑠璃子」１９話～「洋風居酒屋ポン吉」駆け込み寺音川伊奈利

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小説…「働く女性たち」…「めんどう婚瑠璃子」１９話～「洋風居酒屋ポン吉」駆け込み寺音川伊奈利

JR西大路駅近くにある「洋風居酒屋ポン吉」はブログで女性の駆け込み居酒屋として有名になっているのか悩みの多い女性客がかなり増えてきた。この店のマスターは６８歳の音吉だが、店はママの幸子に任して店にはほとんどでてこない。店の女性店員は常時２名はいるが、この店員はお洒落好きばかりで客の駅前の商店主からは「キャバクラポン吉」と呼ばれていた。

ママをはじめ店員のすべてはなにかしらの事情があって離婚、または男から逃げるために京都にきていた。そういう事情がある故、悩みがある女性から相談を受けいたが、そのアドバイスには信頼があった。その女性が今夜も一人来ていた。その女性は京都市内からで２８歳の瑠璃子といった。その瑠璃子はママに、
「高校２年から付き合っていた男と昨年の９月に結婚をしたの、高校を卒業してからも付き合いは続いて彼は食品問屋に就職して私は地元の信用金庫で働いていたの」
「あら、それならば１０年以上も付き合っての結婚だったの…もちろん愛し合っていたからよね…」
「まぁ～両方の親の公認で共にどちらの家にも泊まったりしていたからなんとなしに結婚が前提になってしまったの」
「それならなにが?問題なの?」
「ううん～なんていうか彼も私も結婚にはそんなに乗り気ではなかったの…でも、周りがそろそろだということで私は信用金庫を退職して花嫁修業をしていたの…」
「でも、去年の９月に結婚したのでしょう」

瑠璃子は彼以外の男性を好きになったことがないが彼との結婚は考えてはいなかった。しかし、今更また彼氏を作るという作業にも自信がなくというよりそれが「めんどう」にも感じて結婚をしたという。ママは、
「その「めんどう婚」って～よくあるの、でもそれで結婚して幸せになったカップルもあるから…そんなに珍しいことでもないよ…瑠璃子さん」
「そうですよね～でも…」
「でも…って、なにか旦那に不満があるの?たとえばセックス?」
「はい…私が求めるというより、赤ちゃんを早くほしいという意味ですが…」
「もう、新婚３か月でセックスレス?」
「はい、彼がいうには私とのセックスは高校２年からで週に２回していたとしても年に１００回、１０年で１０００回もしたからもう私との一生涯の「ノルマ」を果たしたといって相手にしてくれません」
「な、なんていう男なの…!」

それを横で聞いていた店のホステスの美香が、
「その旦那って付き合っているときは体を求めてきたのよね～?」
「はい、そら～チャンスがあればどんな時でも、でも私はそれが男だと思っていましたからそんなに嫌ではありませんでした」
「それにしても１０００回?私なんかもう３０歳だけどまだ１００回程度しかしていない」
「ですから私も結婚してもセックスは義務だと思っていたのに拍子抜けになります」
「あ、なるほど…それが瑠璃子さんの今日の悩み事なのね～」

ママは瑠璃子の悩みはそんなに深刻ではないが、それを解決するアドバイスも浮かばないとマスターの音吉に相談していた。それで音吉は店に来ていた。音吉は瑠璃子に、
「旦那は子供がほしくはないのか?」
「いえ、やはり両方の親から子供はまだかと催促を受けていますから、今夜は子供が授かる日だといえば月に１回ぐらいはいやいやセックスをしてくれます」
「それならば子供ができる可能性はあるよね?」
「はい、子供ができれば私は育てる自信はあります。それにこれも今更離婚なんていうのも「めんどう」ですから…」

音吉は瑠璃子に夫とのセックスの不満なんてものは女なら誰でももっている、しかし、そんなことを口が裂けてもいえないから何か違う不満を探している女が多い。しかし、瑠璃子さんは彼の不満はセックスだけだから男としては９０点ぐらいは点を上げられるいい旦那です。しかし、それでも何かモヤモヤしたものが残るのなら今夜のようにこの店でママや女の子と話をして不満を爆発させてください。その時は私の心から協力します。瑠璃子は、
「ありがとうございます。今夜は何となく気分がスカットしました」
「そうですか、それはよかった」
「マスター…その心からの協力を今夜していただけません?」
「いゃいゃ、でももう今夜は遅いから家に帰られては」
「いえ、今夜は夫が出張で家にはいません。今夜がチャンスです。音吉さんの心からの協力を今夜ください」

この話を聞き耳を立てて聞いていたママもホステスも、それに常連客全員が吉本新喜劇のずっこける真似をしていた。そしてみんな、なんや～おもろないわ～帰ろ帰ろといって音吉に挨拶もしないで全員店から撤収していた。

そして瑠璃子と二人きりになった。音吉は瑠璃子に、
「瑠璃子さん、今夜限りと約束してください」
「はい、マスター約束します。私もこれから子供を産んで幸せになります。もう彼との「めんどう」な駆け引きをやめます」
「そう、瑠璃子さんが悩んでいるそのことが頭が離れたら反対に彼がその気になるものです、そしてこれは彼の結婚後の一時的なセックスレスと信じることです」
「はい、そうします」
こうして瑠璃子と音吉を乗せたタクシーは京都南インターのラブホテル街に消えていた。

…画像は越冬中のヒルガオ