岩谷時子 サン・トワ・マミー
岩谷時子(いわたに・ときこ)サン・トワ・マミー楽しい夢のような あの頃を思い出せばサン・トワ・マミー 悲しくて眼の前が暗くなる サン・トワ・マミー* 歌詞全文Sans Toi M'amie原詞:サルヴァトール・アダモ訳詞:岩谷時子作曲:サルヴァトール・アダモ唄: 越路吹雪昭和39年(1964)* 日本語盤(越路吹雪盤)は、前回の東京オリンピックの年に発表された。「Sans Toi M'amie」は、英語でいえば「Without you, my love」。「あなたなしでは(いられない)、我が愛しの人よ」というような意味。原詞は、男から女へ呼びかけているが、岩谷時子が盟友・越路吹雪の歌唱を前提として大胆に改変した。岩谷訳では、女があやまちを犯して男に去られるという設定になっている。こうしたシチュエーションの歌詞は、当時まだ男尊女卑の傾向が強く、女性の生き方に「貞淑な良妻賢母」や「内助の功」しか期待されなかった日本の精神風土では、革命的だったかも知れない。せいぜい「さすがは舶来だね」といった受け止め方だったろう。その後、女の不倫を原因とする苦悩や破局・別離を描いた歌が現われるようになった。今直ちに思い出せるだけでも、和田アキ子「笑って許して」、八神純子「みずいろの雨」、竹内まりや「マンハッタン・キス」、小林明子「恋におちて -Fall in Love-」などがある。ル・クプル「ひだまりの詩」に至っては、ダブル不倫さえにおわせている。最近では、EXILEの「Ti Amo」も、男声ヴォーカルながら歌詞は女性目線から見た不倫関係である。いずれも、それぞれの歌手を代表するような名曲になっている。・・・石田純一氏が「不倫は文化だ」と喝破した発言は、やはり名言だったのかも知れない