細川ガラシャ玉 辞世 散りぬべき時知りてこそ世の中の花も花なれ人も人なれ
細川ガラシャ玉 辞世散りぬべき時知りてこそ 世の中の花も花なれ人も人なれ先立つはけふを限りの命とも まさりて惜しき別れとぞ知れ慶長五年(1600)旧暦七月(新暦8月)散ってしまうであろう時を知ってこそこの世の中の花は花なのだ 人も人なのだ。あの世へ先立つくやしさは今日を限りに果てる命ということよりもあなたとの今生のお別れなのだと知ったのです。註細川ガラシャ玉(または珠):戦国武将・明智光秀の娘で細川忠興の妻。ガラシャ(Gracia、グラツィア、グラーシャ)はキリスト教の洗礼名(クリスチャン・ネーム)。英語グレイス Grace。ラテン語(古代ローマ公用語)で(神の)恩寵・賜物の意味。本名「たま」に掛けて名づけられたとも言われる。辞世:この世を辞するにあたり短歌を詠む伝統的風習。また、その歌。「こそ・・・なれ」は、強調の係り結び。命令形ではない。「ぞ・・・知れ」も同様。