|
テーマ:旅の写真(3468)
カテゴリ:水彩画紀行
長い間、一度、小説を書いてみたいと思っていた。 そして井上光晴の「小説入門」を読んだ 彼は、全国、数ヶ所に「文学伝習所」なるものを設け小説を指導。 さまざまな職業の人々に、たとえば「血」とか「市場」とか言うモチーフで、 50枚の小説の書き出しを書けと課題を出し、その作品を討議し添削した。 夜は酒場で文学を語りあうと言うユニークなかたちで小説を教えていた。 炭鉱の鉱夫などが書いた作品が、とても生々しくどれも素晴らしかった。 小説は,深い実体験に裏打ちされることが必要と痛感した。 まず、私の脳の中身が小説を書くに値するかを吟味せざるをえない。 さて小説の名文として心に残っている文章がふたつある。 ひとつは、三浦哲郎が芥川賞をとった「忍ぶ川」の名文。 恋人志乃を生まれ故郷の北国へ連れて帰り、家族に紹介したあと、 初夜を迎えるときの妖しく美しいたった一行。 「志乃は精巧にできた人形で、私は拙い人形使いだった。」 どんな長い表現より、この一行の方が、より多くのことを物語っている。 最近の若い人も、うまい描写をすると感心したのが石田衣良の「娼年」。 この夏、この小説を読みながら竹芝桟橋から南の海へ絵を描きにいった。 今回の式根島には、深夜出発して、明け方、島に到着する。 出航直後、お台場の夜景が美しかった。 さて、川端康成が越後湯沢で書いたと言う名文は、 「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。 夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。」 今回の式根島の旅を、それに習って表現すると 「甲板で長い夜をあかすと、そこは南国であった。 海の底が深く透明だった。桟橋に船が止まった。」 昼は海辺で「 Mid blue」という若者グループとバーベキューし、 夜は、みんなで海辺の広大な露天風呂や花火を楽しんだ。 夏の海の楽しい思い出を裸婦で表現すると、こんな絵になった。 たくさんの深く碧い入り江があり、透明な碧い海を描いた。 デザイン・アート部門のプログランキング参加中。 クリックして応援してくださいね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[水彩画紀行] カテゴリの最新記事
|