|
カテゴリ:現代日本文学
あれから県内で一番大きい本屋さんに行って、書店内の椅子に座って読み終えた。食事や携帯・トイレをはさんで、5時間かけて本を元の位置に戻したとき、平積みされていた本はもう3冊しか残っていなかった。おそらく日曜中には売れてしまっていただろう。
前提。 チェホフもディケンズもドストエフスキイも読んでいないのに、また課題図書が増えた。プルーストと『アフリカの日々』。まあ、マクベスやザムザや『アンナ・カレーニナ』の冒頭くらいは解説されなくてもわかるけど。 世界。 今までは青豆と天吾の物語が交互に語られていたのが、これに牛河が加わる。BOOK3だから3ということなのか、完結編ゆえの狂言回しか。いずれにせよ、牛河が教団内部の人間でないことは明らかになった。 リトル・ピープルとか空気さなぎというのは、1Q84の世界では、実在するらしい。謎は謎として解決されないまま終わり、主人公の二人は、危ういところで無事「移動」に成功する。 憶測。 天吾の育ての父親は、NHK集金人の姿を借りて、天吾と青豆に「警告」して回ったらしい。 看護師の安達クミは、婦人警官中野あゆみの精神的な「生まれ変わり」らしい。 1Q84は、どうやらそういう心霊的な世界らしい。 感想。 事実は、唐突に明かされる。青豆の名前は雅美。リーダーの姓名は深田保。死と再生に関する安達クミの台詞は、否応なしにキリストの再臨を連想させるし、そうなると青豆はまるで(イエスの母であり、またマクダラの)マリアだ。天吾はやはりリーダーの息子なのだろう。そうするとリーダーは「聖霊」か。まさか。 人は世界に囲まれている。それは太古の昔から変わらない。けれども現実のこの世界は、人間の意志で作り上げられたものだ。言い換えれば、現代人は、多かれ少なかれ、脳内世界に生きている。 村上春樹が提示しているのは、意識の世界だろうか。それとも無意識の世界だろうか。わかっているのは、本書が『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』、『海辺のカフカ』につづく、世界と私、客観と主観に対する、村上なりの処方箋ということだ。 リトル・ピープルは、空気さなぎの夢を見るのだろうか。 1Q84 (上) 韓国語版 1Q84 (下) 韓国語版 1Q84 BOOK3 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[現代日本文学] カテゴリの最新記事
|