2698671 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

つれづれなるままに―日本一学歴の高い掃除夫だった不具のブログ―

つれづれなるままに―日本一学歴の高い掃除夫だった不具のブログ―

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Calendar

Category

Freepage List

2020.06.19
XML
カテゴリ:ミステリー
思考機械の短編集は、正式には、2冊しか刊行されていない。創元推理文庫の3冊本は、単行本未収録のものも含めてのものだ。本巻で第2短編集収録作品は「オペラボックス」「失われたネックレス」「嫉妬する心」「完璧なアリバイ」「幽霊自動車」「茶色の上着」「余分な指」「妨害された無線の謎」の8編。

「幽霊自動車」のトリックは、子ども向けのミステリークイズ本で昭和の昔から使い古されて陳腐になってしまった。「失われたネックレス」のレイトンは犯罪の天才というふれこみだがモリアーティには及ばないし、単行本未収録作「絵はがきの謎」で再登場したものの、あっけなく捕まってしまう。これなら遺作となった「泥棒ガラス」の二人組の方がよっぽどピカレスクである。

単行本未収録作品は上記の2作の他に、「にやにや笑う神像」という一見オカルトもの、「偉大な論理家との初めての出会い」というハッチンソンじゃない弁護士の述懐、「紐の結び目」「盗まれたルーベンス」「三着のオーバーコート」「オルガン弾きの謎」「隠された百万ドル」「タクシーの謎」「コンパートメント客室の謎」「バツ印の謎」「女の幽霊鵜の謎」「銀の箱」、禁断の双子トリックの「囚人九十七号」、「空き家の謎」「赤いバラの謎」「消えた男」「壊れたブレスレット」、遺作となった「救命いかだの悲劇」「無線で五百万」「科学的殺人犯人」。

見てわかるように、「謎」(problem)というタイトルの話が多い。つまりこの頃は推理小説がトリック小説でもあった、幸福な時代でもあったのだ。中にはどうかと思う作品もあるが、それはホームズものも同じ。読者も質より量を求めたのかもしれない。

「呪われた鉦」は日本絡みの短編だが、ある長編小説と抱き合わせで単行本になった経緯がある。これこそ純粋なミステリーというよりオカルトだと思うが、思考機械は問題にもしていない。

巻末の「巨大のスーツケースの謎」は、ホームズものパスティッシュである。実際にあった事件をもとにしているので、ホームズの推理が当たったかどうかが明白になる。フットレルがこの後思考機械ものを創造したのは、あるいはその結果に満足しなかったせいかもしれない、と思う。

忘れていた。マーサの存在だ。ホームズものでいえばハドソン夫人に当たる女性だが、もっと年配だ。だが教授のお世話はこれくらいでなければ務まらないのかもしれない。


思考機械 完全版 第2巻/ジャック・フットレル/平山雄一【1000円以上送料無料】


【中古】 思考機械の事件簿 3 / ジャック フットレル, 吉田 利子 / 東京創元社 [文庫]【宅配便出荷】





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2021.07.22 23:13:17
コメント(0) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.