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2014年03月30日
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カテゴリ:邦画


地道で長い辞書作りを支える 誰もが理解出来る 実直さ

舟を編む

The Great Passage
2013年4月 日本 133分

■監督 石井裕也
■出演 松田龍平、宮崎あおい、オダギリジョー、黒木華、渡辺美佐子
    小林薫、加藤剛



前回紹介した『黒部の太陽』 の 熊井啓 が監督した

日本へ仏教を拡める為 高僧を招く命を受け 遣唐使として中国へ渡った留学僧達の
四半世紀に渡る物語を壮大に描いた作品 『天平の甍』 という映画があり

何かの目的を達成する為 人生の大半を費やす様な事は
普通の生活を送る私達にとって 到底理解できない大変な人生だと

そんな印象を受けたものですが、よく考えてみると

仕事をする為会社に入って定年まで務め続ける事や
結婚して家庭を持ち家族と共に生き、ずっと暮らして行く事などと比べても

形や内容の差はあれ、どれも 人生を費やすという 実直 さには
何も変わりはない事が 分かります

『黒部の太陽』もそうでしたが、熊井啓監督とは
作品はどれも非常に エネルギッシュ で、

この様な壮大な内容を描いた作品にマッチする
類まれな映像作家に思われますが

壮大でありながら非常に地味な内容の
到底映画化は通らない様な作品にスポットを当て

長い年月をかけて準備し地道に企画を立て 何度も挫折を味わいながら
最後は映画化にまで漕ぎ着けるという 実直な人物 でもあります

エネルギッシュな演出に目が行きがちの熊井作品ですが
四半世紀に渡る壮大な物語を描く その支えとなっているのは

熊井監督自身の 長い年月に渡って企画を育てていく 実直さ にあると思います


本作品は 第37回日本アカデミー作品賞に輝いた
長年にわたる地道な作業が必要となる 辞書作りを描いた映画ですが

この、熊井作品に通ずる 実直さ が本作には根付いており

長年の地道な作業を描く中に 『天平の甍』の留学僧 達が生きて来た
壮大な人生にも似た


静かな作風の中に ゆったりと たゆたう様な 広大な海を思わせる
人の人生を 真っ直ぐな視線で見つめる 深い眼差しを感じる作品に思います


今回は 旧作を紹介するウチが珍しく新作の邦画を取り上げた
誰もが共感できる人間模様 をハートフルに描いた

舟を編む』をご紹介いたします

- 物語 -

1995年。玄武書房に勤める真面目で不器用な青年・馬締光也 (松田龍平)は、
浮いた存在だった営業部から辞書編集部に異動となる。

迎えたのは、定年間近のベテラン編集者・荒木(小林薫)
お調子者の 西岡(オダギリジョー) ら個性あふれる面々。

新しい辞書『大渡海』の編纂という難事業に取り組む彼らに
辞書の世界の奥深さを教えられ、

辞書作りに没頭していく馬締だったが…。


- 解説 -

作品レビューは 【楽天エンタメナビ】 リンク先 >>

辞書作りを支える 誰もが理解出来る実直さ」 の

投稿レビューも御覧ください☆

日本の ドラマ 映画といえば 『ウォーターボーイズ』 の成功以来
何かのジャンルや仕事を扱う内容になると一律

『内容紹介お笑いバラエティー』 か『起死回生あるあるバラエティー』 の
変化球
な造りとなるか

近年流行り出した、実直さがひたすら熱い、『実直熱血逆転バラエティー』の
魔球 な造りとなるか の バラエティー色が重視された

その手のドラマ映画が量産されてきました


このどちらでもない 直球 に描かれた本作は
これら 『バラエティー』 部類のカテゴリーに入る作品では無く

とてつもない長い時間を要する、
気の遠くなるような地道な作業の末ようやく達成される

辞書 の制作を静かな目線で描いた 真面目な作風の作品で

ことさら何かを狙ったわけではない 何でもない小さな出来事の一つ一つを
とても大事な 生地を 手作業で編みあげる様な

日々働く人であれば 誰もが理解出来る
日々を生きる事の大切さを知る人であれば 誰もが心の琴線に触れる

そんな風に作られた映画です


松田龍平 演じる 馬締光也 は 名前の通りまじめで実直な
無口で感情を見せない人物で

浮き沈みの激しい出版業界の営業には 不釣り合いな 社員でしたが
適材適所として配属された 辞書事業部で 仕事に魅せられ

辞書作りに没頭していきます


腹芸が出来ない主人公は 人の言う言葉を そのまま真に受けて取ってしまう
真面目で コミュニケーションに欠る人物ですが

だからこそ 何十万もの言葉を 言葉が本来持つ意味の大切さ、重さ、素晴らしさを
一つ一つ 噛み締めながら

十数年もの年月を通して 纏め上げる事が 出来た事が分かります


作品の描かれた時代に 『5時から男』 と呼ばれた軽いタイプの
何時の時代にも居る チャラ男 の典型の様な

オダギリジョー演じる 西岡正志が 馬締の言葉に泣くのも

達筆な恋文を渡し 宮崎あおい 演じる 林 香具矢 に責められ
馬締が告げた言葉や

加藤 剛 演じる 老国語学者を失い
馬締が香具矢に告げた一言の

これらの 何も飾らない 使い古された言葉 に 心打たれるのも

ネットに繋がる事が当たり前となった現代で
ともすれば人と対面する事の意味が ネットの中だけで帰結してしまうかの様な

言葉の持つ意味が 文字 だけで終始してしまいがちな 今の世の中に

コミニュケーションの苦手な 重度なネット依存症の若者を象徴したような

何かを知るにも、何かを伝えるにも、 膨大な 情報の、言葉の、海の中で

何を掴んでいいのか 何を選んでいいのか分からず 溺れてしまう
そんなタイプの主人公が

気の遠くなるような時間を重ねて
厳選に厳選を重ねて選んだ 情報と言葉で編んだ舟を創る様な

そんな実直な作業を通して得た 思いを伝えるために選んだ
心の奥深くから発した様な 一言 だから なのだと思うのです


本作は地味な内容で、さしたる事件も起こらず
すべての出来事は 出版事業を行う上の範囲内で起こる事で

出版間近で 校正に問題がある事が発覚するという
ラストの 若干の盛り上がりもありますが


熱く激しないと ドラマチックに見えない
刺激に慣れた 世の風潮に

世の中の 情報、言葉 が 生み出されては放り出される
吸い込んでは消し去る 巨大なネットの海の中に


一石を投じる舟を見る様な 深く印象に残る作品だと 思いました


楽天エンタメナビ
辞書作りを支える 誰もが理解出来る実直さ

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そう言えば いつもネットを使っていたから
ココの所辞書を引いてなかったですねえ・・・


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最終更新日  2014年05月07日 04時19分43秒
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