透明な瓶に手紙をつめてインターネットの海へ 　　　　　　　　　　　by雪虫の伝説

[歴史のお話・・勝手な私のひとりごと] カテゴリの記事

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• 慶応３年の秋、３人は

       英国人アーネスト・サトウは書いています。 小松は私の知っている日本人の中で、一番魅力的な人物だった。家老の家柄だが、そんな階級の人間に似合わず、政治的な才能があった。態度は人に優れ、友情が厚く、人々に傑出していた。顔の色も普通よりきれいだった。ただ口の大きいのが、美貌をそこなっていた。 小松帯刀は口が大きかったのです。 そういうこととは関係なく・・・慶応３年１８６７年１０月２６日に・・・・  

  2008年11月27日

• かけだしの西郷と月照

  西郷とセットで語られることが多いために彼の人生は最後の二ヶ月だけが大きく語られてしまっています。しかしどのようにひいき目に見ても月照の方が西郷よりも重要人物です。安政５年。彼は４６歳。西郷は３１歳に過ぎません。西郷吉兵衛はまだ駆け出しです。７月１６日に島津斉彬が国元で急逝した知らせは２４日には京都にもたらされました。帰藩しようとしていた失意の西郷に月照が命じたのは水戸・尾張に近衛左府の密書を届けることでした。しきりに帰藩を志しこの大役をうけようとしない西郷は月照の厳しい叱咤激励を受けて水戸に向けて旅立ちました。西郷吉兵衛はものすごいスピードで走りぬけています。８月２日に京を出て７日には江戸の薩摩藩藩邸に入っています。歴史が西郷を殺さなかったのではなく月照というたぐいまれな知性が西郷を生かしたのでした。わずか２３歳で清水寺成就院二十四世に就任した月照は大坂の医師玉井宋江の息子として生まれています。

  2008年07月04日

• 本当に勝手なひとりごと・・・篤姫を見たあとで

  松平慶永の命を受けて橋本左内が京都に入ったのは２月７日です。安政５年のお話です。彼が三条実万を中心とする諸公家に遊説した内容は条約に対する朝廷の勅許を出したいということでした。けれども条約の勅許を得ることよりもまず継嗣問題の解決が優先であることを見取って彼は方向を転換、再び継嗣問題解決に全力を尽くすことになります。西郷は江戸にいて直接将軍に働きかける工作を行っていましたが、なかなか進展しない大奥工作に見切りをつけて、京都における内勅降下の工作に加わることにしました。三月初め篤姫から近衛家への密書を携えて京に向かいました。彼らの運動が功を奏して内勅降下の決定をみたのは三月下旬のことです。しかし歴史の結果から見れば慶喜擁立派の策謀は破れてしまうことになります。しかもその敗因は松平慶永にあった・・・そう思います。慶喜擁立派の内部事情です。興奮してキイボードを叩いているのに別に深い意味などありません。ただただどうにも釈然としない・・そんな思いが胸にたまってきてしまうのです。ドラマ篤姫・・・・何かが胸の中でもやもやです。楽しみにして見てはいるのです。ただ私の好きな人々が私の勝手なミーハー的な思い込みの中の歴史上の人物たちが何となくスケール小さく描かれているようで・・・・・素直でありません。ひねくれものなのです。私が・・・です。誰も聞いてはいないところで、誰にも聞こえないようにブツクサ言ってみているのです。ブツクサブツクサ・・・ブツクサブツクサです。

  2008年06月29日

• 西郷は小松帯刀に会いました。

  久光上洛に連動して極秘の作業が進められる計画でした。このとき計画を立案実行しようとしていた薩摩首脳陣は三名小松帯刀と大久保一蔵そして久光の寵臣中山尚之介です。時間を少々戻します。正月に大島をたった西郷が鹿児島に着いたのは２月１２日です。文久２年１８６２年２月１２日です。そして翌日２月１３日。とてもよいお天気でした。散歩には最適です。少々寒いことはしかたありません。西郷は鹿児島中央駅のすぐ近くの自宅から駅の方向へ進みそのまま西田本通りを西へ鶴丸高校付近で北へ曲がりそのまま高校の前を歩きます。薬師町で再び西へ折れてそのまま真っ直ぐ原良町へ大した距離ではありません。およそ２km・・そんなものです。西郷が小松帯刀の家を訪れたのは、おそらく始めてのことです。おそらく顔を合わせるのも始めてです。書かれていないことが、なかったことと断言することはできませんが。物理的に時間的に西郷・小松がこれより前に会うことには無理があります。薩摩藩の動きを決する四人はこの日小松邸で顔を合わせました。そして極秘の大策について話し合いました。小松帯刀・・・ドラマのおかげで最近少々人気です。私のイメージでは、もうちょっとパワフルでもうちょっとしたたかなのですが。

  2008年06月24日

• 久光も出発です

  千余人の兵を率いて久光が出発したのは西郷の出発の三日後文久２年１８６２年３月６日です。幕末の台風の目はこの日北上をはじめました。西郷に久光が与えた指示は九州各地の情報を集めて下関でオレの来るのを待て・・・・でした。久光に同行していたのは小松帯刀・中山尚之介そして大久保一蔵（利通）たちです。ココに来て大久保一蔵はかなりの深く久光の信頼を得ています。小松帯刀を精忠組に勧誘し間接的に久光に紹介したのも大久保です。彼が頭角を現すのは久光のときです。斉彬の信を得ていた西郷とはスタートラインが大きく異なっているのです。もちろん西郷＝大久保ラインがゆるぎないものであったことは間違いありません。

  2008年06月21日

• 西郷には稚拙な計画に思えました

  しかし西郷は話を聞いてがっくりきてしまいました。１８６２年文久２年のお話です。あのお話の続きです。久光の上京計画も大久保たちの意見も全てが稚拙に見えてしまったのです。二度の島流しを境に西郷は大きく変身したと思います。この時点ではまだ大島に一度流されただけですが何よりも読書量と思考の時間がたくさんありました。大島でのできごとはあまり公になっていないものを選んで改めて紹介できるかも知れません。大久保の必死の説得に西郷は重い腰をあげました。村田新八を連れて鹿児島をたったのは３月１３日のことです。

  2008年06月20日

• そして西郷は帰国しました。

  薩摩藩は外交もこなさなくてはなりません。他の藩の尊王派や攘夷派に対しても対策を講じなくてはなりません。誰にその仕事を託せるか。信望が厚く顔が売れ統率能力を持つ人物。一級品でなければなりません。奄美大島にいる西郷吉之助だけが誰の頭にも浮かぶしかも唯一の該当者でした。精忠派はもとより日置派までが推薦しました。久光もまた彼に託すしかないと判断していました。西郷が足かけ三年ぶりに帰国を果たしたのは２月１１日のことです。文久２年１８６２年のできごとです。しかし西郷は・・・・。

  2008年06月16日

• 今後は他藩の浪士などと交際するのをひかえよ

  幕府もまた薩摩藩の動向を久光の真意を計りかねていました。困っていました。幕府は薩摩藩に伝えています。天璋院篤姫から火事の見舞金として三万両くださったぞ。それで急ぎ家を建ててできるだけ早く出府しておくれよ・・・とです。くわえて木曽川の修理工事費用として幕府が用立てていた七万五千両ももうなかったこととして免除してあげるから、なんとか江戸へ来てくれないか・・・とです。久光ももうこれ以上延期することもできません。息子に代わって久光が東上することにしました。久光が出兵して上京ということになればそれだけで内外が騒然となります。それはわかりきったことです。上京を前に久光は告示しています。今後は他藩の浪士などと交際するのをひかえよ。国父のキツイ命令です。

  2008年06月13日

• 寺田屋事件が起きたのは（１）

  理由はたくさんあります。西南雄藩第一の実力者ではありました。けれども久光は幕府公式の場では単に島津一門のひとりに過ぎません。格式を持っていなかったのです。どうあっても朝廷からのお墨付きが欲しいところです。上洛するようにという勅命が必要です。京都に入る名目が必要でした。万延元年の桜田門外の変からあと薩摩藩主茂久は参勤交代を行っていません。病気という名目です。みえみえです。幕府はしつこく催促してきます。この時点で久光は息子茂久を江戸に上げることができません。幕府の人質となり薩摩藩の行動が制限される可能性があります。そのとき薩摩がとった行動は・・・・・三田の薩摩藩邸が火事で焼き落ちてしまったことを理由にあげます。江戸にあがりたいけれども泊まるところがなくて・・・・でなものです。もちろん薩摩藩が自分の藩邸に火をつけて焼き払ったのです。けっこう無茶苦茶です。天璋院篤姫は大変純粋な人です。このとき彼女は・・・・

  2008年06月11日

• 西郷吉之助は奄美大島にいました

  文久２年１８６２年の時点です。薩摩藩の藩庁は公式の見解として今回の島津久光の東上は公武周旋が目的であり他意はない・・としていました。次々と薩摩に乗り込んでくる各藩の有志・責任者・尊王派・攘夷派・・・そんな人々への説明です。京都政府の樹立を想像していた志士の多くはがっかりして引き返していきました。ただし実際に接待にあたっていた有馬新七たちの中には海面下で個人の資格で尊王討幕を密議していた者たちもいました。この時点ですでに大久保ら精忠組は薩摩藩の中枢に入り込んでいます。久光の信頼を得ていた・・・そういうことです。ただしこの時点で実質上の責任者西郷吉之助はまだ奄美大島にいて国父久光の赦しが出るのを待っています。名を変えて奄美にいました。死んだものとして幕府には届けられていたわけです。例の月照との入水未遂事件の処理です。

  2008年06月09日

• フランシスコ・ザビエルの手紙

  私はヤジロウに、もしも私が彼とともに日本へ行くとしたら、日本の人々は信者になるだろうかと尋ねた。彼は彼の郷里鹿児島では、すぐには信者にならないだろうと答えた。そして日本人はまず初めにいろいろと質問をし、私が答えたことと、私にどれほどの知識があるかを観察するだろう。特に私の生活態度が私の話していることと一致しているかどうかを見るだろう。そして私が二つのこと、つまり彼らの質問によく答えて満足させ、私の生活態度にとがむべきことを見出さなかったなら、半年くらい私を試してみた後で、領主（島津貴久）や貴族（武士）たち、また一般の人々も、キリスト信者になるかどうかを考え、判断するだろうと言った。彼が言うには日本人は理性によってのみ導かれる人々であるとのことである。少々長い手紙です。フランシスコ・ザビエルの手紙です。１５４８年１月２０日コーチンにて・・・と文末にあります。彼もたくさんの手紙を残しています。引用が長くなりすぎて・・・何を書こうとしたのかちょっと混乱しています。収拾がつかなくなりましたが。今夜はとても眠たくて、今夜はこれにて・・・打ち切りです。

  2008年06月05日

• 

  鶴丸城にカイコウズの赤い花が咲いていました

  今日鶴丸城の内部の作りの詳細を手に入れました。少し前に判明して作られたばかりの絵図です。・・・本物です。これで鶴丸城に忍び込んでも大丈夫です。忍者です。タイムマシンに乗ってでなければ果たせることではありませんけれども・・・鶴丸城の城址にはカイコウズの赤い花が咲いていました。梅雨の晴れ間です。

  2008年06月04日

• 国境なき海の民・・ヤジローのこと（３）

  人をあやめてしまったヤジローは山川に逃亡しました。寺に隠れていたのです。薩摩半島の南端近く指宿の近くの漁港のあるところです。山川港に入港したポルトガルの船に旧知の友人アルバロ・バスが乗っていました。彼に海外逃亡の相談をもちかけた・・・そう推測されています。貿易の仕事で手がはなせなかったバスに紹介状をもらってドン・フェルナンドそして最終的にはジョルジ・アルバレス船長の船に乗ってマラッカに渡りました。私が直接調べた訳ではありませんが。彼らが本国に提出した日本に関する報告書は現存しています。ポルトガル船はこのころ鹿児島・山川・坊津・・・など少なくとも１５ヶ所の港には寄港しています。鹿児島は地の利を持っていました。海は世界の終焉・境界線などではなく世界へ向かって開かれた入り口だったのです。１６世紀中頃のお話です。

  2008年06月03日

• 国境なき海の民・・ヤジローのこと（２）

  私は高校生の頃合唱部でした。フランシスコ・ザビエルが日本にやってきて最初に作った協会がザビエル協会です。私はザビエル協会のミサで讃美歌を歌ったことがあります。自慢にならない自慢をしてみたかったわけです。ヤジローは別名をアンジローともいいます。弥次郎または半次郎という名前だったのではないでしょうか。彼は鹿児島城下で海運業をしていたらしくお金持ちでもあり、ポルトガル語もいくらかはできるインテリ商人だったのです。その彼が理由は定かではありませんが、人を殺してしまいました。現在のザビエル協会の道路を隔てた向かい側に公園があります。ザビエル公園です。ザビエル公園のザビエル像向かって左の人物がヤジローです。

  2008年06月02日

• 日本で初めての電信の実験

  情報をいかに早く入手するか。内容の真偽の確認はできているのか。昔も今も事情はあまり変わらないのかも知れません。幕末の動乱の中・・・情報戦がどれだけ大きな意味を持つのかを知っていた人物がいました。久光の像のすぐ近くにこの小さな碑は立っています。電信使用の地碑・・です。碑文にはあります。安政４年（１８５７年）鶴丸城の本丸とここ（二の丸の庭園探勝園）の間で、日本ではじめての電信の実験が行われた・・・と。こんな実験を指導してやらせたのはもちろん島津斉彬です。最初に薩摩入りを果たしたのは、久留米の神主真木和泉です。長州藩士来原退蔵、続いて久坂玄瑞の使者として掘五郎。豊後岡藩士小河一敏、肥後藩の宮部鼎臟・・・・・つぎつぎとやってきます。摩藩が、いよいよ討幕出兵に踏み切った・・・そう考えたものが多かったはずです。けれどもそれにしては挙兵の名目、他藩との協議、作戦計画などで不審の点が多すぎます。薩摩藩の久光の考えの根幹はどうなっているのか真相はどうなのか・・・・調べなくてはなりません。訊いてみなければなりません。考えてみなければなりません。いつの時代も情報は重要です。

  2008年05月29日

• 島津久光という人物は（２）

  文久２年１８６２年正月国父島津久光が3月に兵を率いて江戸に向かうことが藩庁から発表されました。新聞もテレビも電話もなかったこの時代に西南諸藩の攘夷論者たちの間に重大ニュースとして伝わるのにさほど時間はかかりませんでした。詳細を知ろうと各藩の有志が続々と薩摩に向かいます。

  2008年05月29日

• 雨の降り出しそうな季節のひとり遊び

  島津久光は鹿児島では国父と呼ばれていました。現在でも国父といえば彼をさします。彼は藩主にはなりませんでした。偉大なる兄斉彬の後を継いだのは久光の息子茂久です。けれども彼は幕末最も名を知られた政治家のひとりではありました。誰もが薩摩を率いているのが久光であることを知っていたからです。イギリスもフランスも、もちろんアメリカも久光の動向を知ろうと努めていました。歴史の教科書に記されたものを素直に言葉通りに読んでしまうと、物語の複雑さに混乱してしまいます。外様の薩摩がどうして雄藩と呼ばれていたのか。あれほど国政に口を挟むことができたのか。あれほどわがままに行動できたのか。人の行動は理屈通りではありません。ましてシナリオ通りには歴史も人も動いてはいません。起承転結などあろうはずもありません。正解も不正解もありません。そう思います。雨の降り出しそうな季節に想像たくましく・・妄想の歴史をたどるのは楽しい遊びではあります。島津久光は菩提寺福昌寺（跡）に眠っています。

  2008年05月27日

• 小松帯刀の手紙

  書かれた歴史にはそれを書き留めた者の思惑が忍び込んでしまってけれども、だからこそ面白くて興味はつきない。書かれた歴史は修正を受け補強され、ときに新しい項目を書き込まれて書かれたことと書かれなかったことと書けなかったことと小松帯刀の新しい手紙が発見されたと報じられていました。

  2008年05月26日

• 

  その日鹿児島は晴れていました

  その日鹿児島はいいお天気でした。晴天です。万延元年三月三日のお話です。その日、江戸は珍しい雪で桜田門外では大きな事件がありました。小松帯刀は生真面目に日記をつけていました。そんな人です。家を出た時刻。帰宅した時刻。来客のこと。天気のこと・・・。そんな人です。万延元年１８６０年三月三日小松帯刀はまだ鹿児島薩摩にいて・・事件のことは知りません。彼が歴史に登場するのはもう少し・・あと少し先のことです。

  2008年05月24日

• 水鏡天満宮・・一度行ってみたいです。

  今度福岡に行く機会があれば行ってみたいところがあります。天神「水鏡天満宮」というところです。菅原道真が流罪となって博多に上陸したときに流れに臨んで水鏡に姿を映したといいます。私が目にしたことのある水鏡天神は荒れ狂う水面に怒りと怨みの道真がおのれの顔を映している・・そんな絵です。水鏡天神・容見天神すがたみてんじんは不思議な天神です。

  2008年05月02日

• 吹上浜とコノハナサクヤヒメ

  記紀神話によれば天孫ニニギノミコトが土地の娘アタツヒメと出会って結婚し、アタツヒメが一夜の契りでニニギノミコトの子を妊ったことから貞操を疑われたという、そのゆかりの地です。アタツヒメの名前は薩摩の国阿多の娘という意味です。「アタ」という地名は鹿児島にたくさん残されています。市来、日吉、吹上、金峰、加世田、大浦、笠沙、坊津、川辺・・・・さらに枕崎にも・・数多くあります。アタのハヤトの主たる生活圏は野間半島の付け根から市来にいたる海岸線はては加世田へ３０余キロにわたる砂丘地帯・・この海岸線を吹上浜といいます。そのアタのハヤトたる大富豪の娘だからアタツヒメ（阿多の娘）と名付けられたのであって本名というわけではありません。このアタツヒメには別に異名もあります。コノハナサクヤヒメです。この人物どうも実在の人物のようです。するとニニギノミコトもまた実在していたのかも知れません。彼が高天原からやってきたのだということを事実だと言っているのではありませんが。海を見ながら浜を眺めながらいろんなことを考えます。

  2008年04月28日

• 西郷公園の桜も・・

  雨が花びらを散らします。雨が桜の季節の幕をひきます。明治８年４月８日７人を連れて菅実秀は東京を出発しました。新橋駅を汽車でたったのです。菅実秀・・・この西郷と向き合って話しているおじさんです。

  2008年04月17日

• 学問の神様・天神様　・・道真が鬼神となったのは　（２）　

  政治家であり儒学者でもあった菅原道真は「類聚国史」を撰修したほか「日本三代実録」の編纂にも加わっています。彼は政治面でも活躍した人物であり歴史物の編纂にも大きく貢献していたのです。けれども菅原道真という人物をもっとも有名にしているのは「学問の神・天神様」として祀られたことです。しかしながらそのことも真相は道真を蹴落とすための中傷によって筑前太宰府に大宰権師の身分で左遷された哀しい話に端を発していたことは言うまでもありません。道真は鬼神となるべくして最強の祟り神になったような気がします。聖徳太子と菅原道真は私の中では一二を争う祟り神です。

  2008年04月05日

• 野見宿禰から菅原道真へ（５）・・そして道真

  古人の四男清公きよとも（～842年）は父の期待に応え二十歳で文章生試もんじょうしょうしに合格、三十四歳で従五位下・大学助に任ぜられました。その後、文章博士、式部大輔、弾正大弼、左京大夫を歴任、従三位にまで登りました。この間に「令義解」などの編集にも参画しています。清公の子是善これよし（８１２～８８０年）もまた儒家の道を歩みました。彼は参議・従三位にまで進んでいます。長年にわたって文章博士をつとめ「貞観格式じょうがんかくしき」や「文徳実録」の編纂にも加わった人物です。是善の子菅原道真（８４５～９０３年）は古人から数えて四代目にあたります。平安前期の律令官人として、父是善を越えて８９９年従二位・右大臣にまで登りました。藤原時平の左大臣に対して、道真の右大臣就任は藤原王権による他氏排斥に大手を広げて立ちはだかる姿に映ったであろうことは容易に想像できます。王権を作り上げていった装置。王権を正統にした一族。この国の歴史を書いた人々。それは藤原氏です。鎌足が中大兄皇子を選んだときから歴史は変わり始めていたと思います。

  2008年04月02日

• 野見宿禰から菅原道真へ（４）・・土師宿禰古人という人物がいました。

  始めて菅原の姓を名乗った人物・・・土師宿禰古人はじのすくねふるひとは野見宿禰が土師臣いらいの宗家です。そして勅許された菅原氏の本宗です。約五世紀にもわたる涙ぐましい努力によってやっとギリギリ「世の人」になれたのでした。遠江介・従五位下・・・人の世界の最下層ではありますが・・・古人は清貧の生涯を終えていますが土師氏が菅原氏となってのちも子孫が出世するにはひたすら学問に励む以外にはないのだ・・その旨を子どもたちに諭していました。菅原の子どもたちは出世するために学問に励むことになります。出世する・・世に出る・・この言葉の意味は現在のものとは違います。世に出る・・人間になるという意味なのですから・・・・

  2008年04月01日

• やっぱりちょっとかっこいいです。斉彬です。

  斉彬の仁政をあんまり語りすぎるとウソみたいに聞こえてきます。小説にも歴史的人物の文言の中にも彼を褒める言葉は多すぎです。ふたつ、みっつ、よっつ、くらいならすぐに書き記すことができます。１８５１年嘉永四年の島津斉彬が島津二十八代藩主におさまった年です。二月のことでした。前年は大風が吹き台風がいくつもやってきた暑い夏であり米は完全に不作でした。領内では米の値段は高騰し人々は困り果てていました。そんな五月に斉彬はお国入りをしたのでした。彼は直ちに藩の米倉を開いて四千石を払い下げます。続けてすぐに五千石を市井に流しました。側近に異議がなかったわけでもありませんでした。ドラマで使われていたセリフは創作ではありません。彼自身の文章が残っているのです。目先の利害にとらわれるな。信義や礼節をやかましく言っても士民がひもじい目をしていては、話にならぬ。天のときも、地の利も、人の和にしかずではないか。やっぱりちょっとかっこいいです。別に選挙のために書かれた言葉ではありませんから・・・・なおさらです。

  2008年01月28日

• 西郷従道は顔色を変えて・・・

  事件の第一報をもたらしたのは馬丁の芳松でした。全速力で宮内省に走り込んで門衛に事件のことを告げその足で近くの警視第三方面二分署にころげこみました。居あわせた警部巡査はおっとり刀で現場に急行しました。西郷従道（じゅうどう西郷隆盛の弟）はすでに参朝して宮内省にいました。彼は顔色を変えて馬車に飛び乗りました。大久保利通が暗殺されたときの話です。今日西郷さんの銅像のところでヘンなヤツに会いました。大きすぎてちょっと怖いくらいでした。

  2007年10月18日

• もうひとつの大久保利通の像

  明治１１年１８７８年５月１４日一台の馬車が紀尾井町一番地に差しかかりました。閑静な屋敷町で人通りも少ないところです。この日は朝早くから花曇りの日で往来に人影はありませんでした。右手には北白川の宮の邸宅。左は華族の壬生基修の屋敷です。高い土手には雑草が生い茂り・・土手が切れると一面の桑畑です。道路脇に書生風の男が手に花を持って立っています。肩をたたきながらニコニコ話し合っている様子です。大久保利通の物語です。今日の像はいつもの像とは違います。中村晋也美術館の保管庫に眠っているもうひとつの大久保利通です。たくさんの仲間も一緒です。

  2007年10月12日

• 大島の西郷吉之助に・・

  桜田門外の変の報が奄美大島の西郷吉之助のもとにもとらされたのは４月のことでした。西郷はその手紙を読み終わるやいなや刀を抜いて庭におどりでました。チェストー。チェストー。そう繰り返しながら松の木に切りつけたといいます。島妻の愛加那は夫がどうかしてしまった・・・そう思いました。誰が見ていたのかは分かりませんが・・・・大久保らのはからいで大島の西郷を召還する命がくだったのは文久元年１９６１年の暮れのことです。西郷が精忠組に帰ってきます。薩摩に帰ってきます。やっと歴史の舞台に呼び出されます。ただまたすぐに舞台のそでに引き上げてしまいますけれども

  2007年09月17日

• 有村雄助は鹿児島に帰ってきました。

  鹿児島に帰り着いた有村雄助は藩の命令によってその夜に切腹して責任をとることになりました。藩の本音としては褒めてやるべき挙兵でした。けれども生かしておいては後々幕府ともめるに決まっています。本人も最初から死を覚悟していたに違いありません。不本意・不憫ではあるけれども・・・・・価値観が倫理観が現在とは違います。武士道とは道理がありそうでなさそうで・・・いずれにしても現在の価値観で推し量ることはできません。同志からはそれこそ命がけの助命嘆願が相次いでいました。それを諄々と戒めたのも有村雄助本人でした。雄助２６歳のことです。

  2007年09月09日

• 有村雄助一行は四日市に入りました。

  万延元年１８６０年箱根の関です。使命を帯びた三人が箱根の関を越えようとしていました。金子孫二郎と佐藤鉄三郎そして薩摩の有村雄助の三人です。雄助が主人。金子は若党。そして佐藤は仲間の槍持ちという役柄で箱根の関を抜けました。昼夜兼行で伊勢の四日市に到着したのは三月九日夜のことでした。京都は目と鼻のさきそして薩摩藩の追っ手は真後ろにせまっていました。

  2007年09月06日

• 桜田門外の変・・その後始末３

  桜田門外の変はすぐに江戸中に伝わりました。有村兄弟の言上書から雄助の上京がわかりました。薩摩藩江戸藩邸は緊急会議を開いて雄助が幕吏に捕らわれるとまずい・・そう結論しました。雄助を薩摩藩の手で捕らえて国元に送り届けるために坂口周右衛門が派遣されました。足軽六人をつけて追跡です。坂口周右衛門は西郷と月照が大崎ガ鼻で心中をはかったときに舟板をはいで海中に投げ込んだ人物です。帆綱を切って速度を落とした人物です。老練な下士です。下士にこのような人物がいた薩摩藩の人材の層の厚さを証明するような人です。そう思います。日記を詳細につけています。歴史の教科書には載らない様々なできごとがあります。もちろん本当に事実なのかは分かりません。日記にも・・日記だからこそ私情がいっぱいです。小松も大久保もそしてこの坂口も日記をつけています。私情だからこそ信用していい部分もあるのではないかと思っています。日記は公開するものではなかったからです。

  2007年08月01日

• 有村次左衛門は２３歳でした。

  有村次左衛門は全身に傷を受けながらもうろうとしながらも広岡子之次郎と引き上げました。井伊直弼の家臣小河秀之丞の一太刀を背後から受けて倒れました。広岡はたちまち小河を切り捨てましたが次左衛門はもう歩けなくなっていました。遠藤但馬守の辻番所の前です。その頃にはもう人がたくさん集まってきていました。次左衛門は「どなたか介錯を」と出ない声を振り絞って繰り返しましたが誰も名乗って出てはくれませんでした。直弼の首を傍らに置いてやっとのことで自刃して果てました。有村次左衛門はにおうような美青年だったといいます。直情径行の性格・・示現流の使い手でそして母親の蓮に似て歌もつくり人々に愛されたといいます。２３歳でした。

  2007年07月22日

• 有村次左衛門は井伊直弼の首を剣尖に刺して走りました。

  芝愛宕山下で勢揃いした水戸浪士関鉄之助以下１７人と有村次左衛門の合計１８人は桜田門に急ぎました。筋書き通り井伊直弼大老の列がやってきます。６，７０人の真ん中に大老の駕籠です。一発の銃声を合図に１８人は隊列に襲いかかりました。ときに万延元年三月三日・・五ツ半・・午前９時頃の出来事です。世にいう桜田門外の変です。多勢に対して少勢ではあったのですが井伊の行列は刀の柄袋を解く暇もありませんでした。それでもたちまち激闘になりました。めざす井伊直弼の駕籠に初太刀を入れたのは稲田重蔵です。二の太刀を刺したのは佐野竹之助・・そこへ有村次左衛門が来て駕籠の戸を破って大老を引き出しました。有村は一太刀で首をはね、剣尖に刺して走り出しました。銃声一発からおよそ１０分ほどの短時間であったといいます。もちろん見てきたわけではありませんが。見ていたような気分にはなっているのです。妄想です。空想です。・・・・・実はほとんど夢の中です。夢想です。

  2007年07月21日

• 仙巌園で朝顔展が開かれています

  島津斉彬は朝顔が好きでした。自分で種をまいて自分で手入れをしました。斉彬はその朝顔を弟の久光にもわけてやりました。万延元年１８６０年七月の斉彬の三年忌久光は「賜はりし朝顔を見てよめる」と題して歌を詠んでいます。あはれいかにはかなき露の朝顔も秋はふりせず花咲くものを磯の別邸で斉彬の愛した朝顔を引き継いで育てていたのは弟の久光でした。斉彬の近代化政策は彼の死によって一度中断されました。それを再び復興させ仕上げていったのも久光です。鹿児島の磯庭園・・仙厳園では今斉彬にちなんだ朝顔展が開かれています。

  2007年07月20日

• 仙巌園で斉彬の朝顔展がひらかれています

  どこかの町の事件はその日のうちに世界に向かって発信されます。それが重大な事件であればあるほどそのスピードは速く・・です。暗殺計画を企てていた者たちは自分たちの行動がどのように伝わってどのように効果的に使われればいいのか考えていました。えどの事件は早便で京都に伝わります。急使が京都に入っても近衛家のあっせんがないことには朝廷にニュースが届くことは期待できません。水戸藩士水戸浪士がどのように動いても相手にされることはありません。近衛家に縁の深い薩摩藩・・そしてその薩摩の藩士でなければ朝廷に近づけません。この大役に選ばれたのが有村雄助でした。有村に水戸側から首領格の金子孫二郎と佐藤鉄三郎が同行する手はずになっていました。３月３日早朝雪の中で三人は別れました。有村兄弟はこれが今生の別れとなりました。雄助と金子は品川へ次左衛門は芝愛宕山下へ向かいました。万延元年三月三日の早朝です。それは珍しく雪のふる桃の節句のできごとです。・・・最近自分が何をやっているのか何をやりたいのか・・わからなくなってしまっています。アリバイのように文章を打ち出しています。何をやりたいのか・・・そんなものは初めからありはしないのですけれども。ふ～・・と息をはきます。斉彬の愛でた朝顔を見てきました。

  2007年07月19日

• 桜田門外の変・・・その朝

  万延元年三月三日雪降りぬ純白の雪を鮮烈な血で染めた桜田門外の変を歌った句です。その朝有村雄助と有村次左衛門の兄弟は暗いうちに起き出しました。薩摩藩藩邸の長屋に匿っていた水戸浪士の金子孫二郎と三人連れだって戸外に出ました。外は降りしきる雪です。藩邸を出るときに有村兄弟は一通の手紙を残しました。水戸の有志との大事決行を告げたものです。天朝危機の時局を黙視できなかった・・・・と趣意を述べたものでした。刀でしか改革を行えないと考える者たちがいた時代でした。正義とか人道とか自由とか意志とか・・・そんな言葉が確立される以前のできごとでした。人の命が自分の命も他人の命も軽く扱われていた時代でした。歴史を正しいとか正しくないとかで測ることはできませんが・・私に歴史を語る資格などありませんが・・・・暗い空に赤みがかかった暗い雲台風が去った土曜日に私の部屋の窓から見えていた空です。

  2007年07月17日

• 藩主茂久の参勤交代の列が西田橋をわたったのは３月１３日でした。

  ３月８日様々な人物の様々な思惑を含んで藩主島津茂久の参勤交代の追加メンバー３０人が発表されています。精忠組を一人も含んでいないこの発表にとうとう大久保一蔵は憤慨直接久光に会うしかないと決心します。初めて大久保が国父久光と直接顔を合わせたのは３月１１日です。結果的に一滴の血も流れてはいませんが大久保が命をかけていたことは間違いありません。そしてその時の会談の内容は歴史に明らかではありません。万延元年１８６０年３月１３日藩主茂久の参勤交代の行列は西田橋をわたり江戸へ発ちました。様々な人物の様々な思惑をつれて行列は江戸へ向かいました。ただそのときすでに桜田門外の変は終わってしまっていたのです。そんなことは誰も知らないままでした。彼らが渡った西田橋は私たちの親しんだ橋そのものでした。平成５年の水害の時まで西田橋は石造りの当時のままの西田橋だったのです。

  2007年07月14日

• 水戸のクーデター計画

  江戸からの情報が集まるにつれて薩摩藩内部でも盛んに議論が戦わされていました。大久保は必死でなだめます。堀は提案しました。有村兄弟は水戸有志とすでに盟約をかわしているので翻意はできないかも知れない脱藩亡命者とすれば薩摩藩とは関係がなくなる。誰かが上京して特に水戸藩の情報を収集しなければなりません。大久保ではなく堀が出府しました。堀が出発して三日目・・２月２１日江戸にいた田中直之進が帰藩しました。田中は井伊直弼襲撃計画の全容を持ち帰りました。決行と同時に京都の朝廷守護のために藩兵を送り、横浜の商館を焼き討ち幕政改革を天下に知らしめる。このため薩摩藩から兵３０００を京都に上らせられたい一大クーデター計画だったのです。しかも水戸有志は一度事変が起こるや尊王心の強い薩摩藩は藩をあげてわれわれの義挙に呼応することを信じ切っている・・・・・そう付け加えられていました。水戸藩はここでクーデターを起こすはずだったのです。ひとつ間違えばこの時点で薩摩藩も兵をあげていたかも知れません。明治は違った形になっていました。もちろん歴史に「もしも」はありませんが。

  2007年07月13日

• 大久保一蔵はまだ久光に会えません

  久光も筆頭家老の島津左衛門と同じ考えです。そうであったはずです。大久保たちのことを時限爆弾だと見ていました。うっかり許可したら江戸で爆発のおそれがあります。堀には帰藩命令を出すからと大久保の出願を却下しました。再度の大久保の嘆願も却下です。それもまたしかたのないことでした。大久保一蔵は久光に簡単に会うこともできない下級士に過ぎませんでしたから。やむなく堀仲左衛門に手紙を書きました。堀が高橋五六を伴って江戸をたち薩摩に帰藩したのは年が明けて万延元年１８６０年正月のことです。二ヶ月後には桜田門外の変が起きます。歴史の海面下では大きな流れが生まれていました。歴史に正しいも誤りもありません。ただ留めようとする者と転がそうとする者がいます。個人の資質とどうしようもない潮流と・・この時すでに幕末の大きなうねりの最初の揺れが起きていました。水戸でも薩摩でも・・・です。

  2007年07月10日

• 「桜田門外の変」を中止させること

  しかし大久保たちが期待をかけた島津左衛門はその期待をすっかり裏切ってしまいました。順聖院さあ・・島津斉彬が亡くなってまだ一年半しかたたないというのに彼はすっかり老いぼれてしまった。　　　　　　　　　　　　　・・・・・若い者の方はそんな風に考えました。逆に左衛門の方から見ればどいつもこいつも時限爆弾のような危ないヤツです。物騒な集団です。彼は保守的にならざるを得ません。そこへ大久保一蔵が・・江戸へやっていただきたい・・・そう言ってきました。精忠組の集団脱藩計画は久光の英断で中止されました。けれども江戸では井伊直弼襲撃計画は進行中です。桜田門外の変は突発的に起こった事件ではありません。水戸藩が単独で計画実行したものでもありません。この時点で掘仲左衛門（伊地知貞馨）、有村雄介・次左衛門兄弟たちは水戸藩の有志たちと着々と計画を進めていました。そして薩摩で何が起こっていたかを知ることはできなかったのです。決行は近づいています。大久保は直接江戸に乗り込んでその計画を中止させなければならないと思ったのです。歴史に「もしも」はありません。けれどもその渦中にある者たちには歴史の流れは見えません。ましてこれから起こってしまうことが見えるはずもありません。同時に何が起きているのかさえ掴むことはできないのですから。歴史は面白い読み物です。

  2007年07月09日

• 島津斉興・・・変顔のおじさん顔の絵しか見つけられませんでした。

  孫の藩主茂久の後見人だった斉興は安政６年１８５９年９月玉里邸で死去しました。ここでおおっぴらに久光が登場です。実質的な藩主です。久光と斉彬は兄弟です。ふたりとも斉興の息子です。実際斉興は斉彬を廃して久光を藩主にと画策しました。けれども斉彬の死後父斉興が再び頭をもたげてきて藩の実験を握ったときに久光は人形になることを拒否していたのだと思います。それくらいならば馬鹿な隠居のふりをして読書の日々を送ることを選んだのです。そう思います。精忠組は考えていました。藩の体制を根本から改めなければならない・・とです。ときの筆頭家老は島津豊後（久宝）でした。彼が新納駿河（久仰）と組んで斉彬没後の保守反動になったのだ。精忠組はそう考えていました。久光は大久保の建書をいれてまず島津豊後をやめさせました。そして斉彬がかつて重用した島津左衛門（久徴）を再び採用です。大久保の意見書が出てから三日目のことでした。 大久保はよっぽどうれしかったのです。うれしくてうれしくて手紙を書きました。自分以上に喜んでくれるはずの朋友西郷吉之助にあてて・・です。島津斉興はちょっとかわいそうです。薩摩には写真機もあったのですが・・・へんなおじさん顔の絵だけしか・・見あたりません。

  2007年07月06日

• 雨の日は・・本を読んでいます。晴れていてもあんまり変わりはしませんが。

  ただただブログの今日の一日分を埋めるために何も考えず頭も使わずわずかばかりの引き出しを開けて底にちょっぴりこびりついているものをはがしてただただ・・・ここに書き出すことは心苦しい事ではあります。けれどもそれが楽だからこそ・・・連日それで・・アリバイです。自分自身へのアリバイです。＊＊＊＊＊大久保一蔵（利通）は囲碁を軽く見ていました。国家大事のときに暇つぶしなど・・・と考えていたのです。その彼が急に碁の猛練習を始めました。ある程度打てるようになって僧乗願のもとにでかけました。乗願は同志税所長藏（篤）の実兄です。そして久光の碁の相手だったのです。全く無名の大久保です。全く無名だったからこそいろいろなことを試みました。人も集めました。友人の奈良原幸五郎が小松帯刀（清廉）の人柄をほめていました。大久保はさっそく名門の小松に会いにいきます。そして人物を確認すると久光の側近中山尚之介（中左衛門・実善）に売り込みました。人を集めて周囲を固めて・・・大久保の下準備です。精忠組につきが回ってくるのは斉興が死んでからのことです。

  2007年07月05日

• 大久保一蔵の上申書

  ４９名の署名による請書とは別に大久保一蔵は上申書も提出しています。人望のある島津左衛門（久徴）を主席家老に起用してほしい。また英断を持って菊池源吾を大島から帰し王政の大志を進めてもらいたい。　　　　　　　・・・そんな嘆願だったのです。こうして薩摩藩の公武合体への運動体制は基本的に固まりました。その推進役は国父の島津久光です。久光を無能扱いする歴史家や作家はたくさんいます。実兄の斉彬があまりにも偉大であったために実母のお由羅が悪女の見本のように扱われたために英雄西郷との仲がうまくいっていないと評価されたために彼は生まれながらにして損な役割を演じさせられたのかも知れません。実像はどうであれ・・・という話ではありますが。私は久光もまた決して愚鈍な人物であるとは思いません。保守的な人物ではありますがある時代にはなかなか革新的な面も見せてくれています。

  2007年07月04日

• オイが生きちょんうちは・・・大久保は言いました。

  大久保一蔵は尊王の心を藩主が全面的に認めてくれたことに光栄と感激を覚えたのだと思います。さっそく同志に集合がかかりました。報告が行われます。けれども組織内には当然反対の声も出ました。若い藩主の言うことは信じることができない。自分たちはだまされているのではないか。今にも藩の取り方がココに踏み込んで来るのではないか。早く挙兵して行動に移ろう。過激派も何名か声を上げてきました。首領の大久保は叱りつけるように言いました。騒ぐことはなか。どうしてん脱藩する～ちゅう士はオイドンの首をはねてから出発せえ。オイが生きちょんうちはたとえ一歩でん、藩地から脱出させるわけにゃあ～いかん！この時の大久保の態度は「励声一番、意気軒昂」であったと言います。この言葉に左派はすっかり飲み込まれました。ここに悲壮な脱藩計画は発展的に解消しました。大久保が起案して書かれた請書が残っています。誓約書であり礼状でもありました。署名にあたって最初に書かれた名前は大島渡海、菊池源吾・・・でした。自分の名前は二番目です。菊池源吾・・大久保一蔵の竹馬の友西郷吉之助の名前です。健在で城下にいるとしたら当然党首であったはずの西郷です。

  2007年06月30日

• 精忠組・・名前決定

  どこから話が伝わったのかは諸説あります。ある日側近谷村小吉は用をたしにたった藩主茂久のあとについていって人影のないところでそっと耳打ちをしました。脱藩計画のことです。若い藩主はすっかり驚いてしまいました。そして父の国父久光に相談しました。脱藩を思い留まるように自分で論告書を書きました。１１月５日大久保は文書を受け取っています。今の世の中は動揺して容易ならぬ時節である。しかし時期がくるならば自分は順聖院様（斉彬）の深い心を奉じ全藩を率いて忠勤につとめる決意でいる。みんなは自分のこの決心をくみ取って藩の柱石となり自分を補佐し藩名を汚さずに誠忠をつくしてくれるよう・・ひとえに頼む本当に異例の論告です。脱藩は死罪の大逆です。そして先君斉彬を引用したことが大久保たちの胸を打ちました。さらにこの文章のタイトルは「精忠士面々へ」だったのです。これより彼らのグループの名は「精忠組」となりました。

  2007年06月29日

• 藩主茂久からの急使がやってきました

  精忠組の脱藩準備は９月には整ったようです。志士の多くは遺書も用意しました。そして有志一同の名前で藩庁への脱藩趣意書も用意されました。それとは別に大久保一蔵は藩主茂久（忠義）あてに上申書も準備しました。先君が有力諸侯と結んで一橋慶喜をたてて幕政を改革しようとされたのに幕府は慶喜をしりぞけ幼主慶福をたて無断で条約にも調印した。本来ならば藩命に従うところであるがいでて元凶の井伊を討つ。願わくば主も一同の赤心をくみ英断をもって処置されよ。そんな内容です。決起をうながす東国からの使者は１０月になっても来ません。１１月に入りいよいよ決行というときになって意外なところから急使が来ました。藩主茂久からの使者です。計画が発覚したのです。藩主からの文章には・・・・

  2007年06月28日

• 脱藩計画が形になってきました

  カツオ船で直接鹿児島から上坂することが決まりました。森山新蔵は必要な兵器や食糧を準備しました。そして船長には自分が目をかけてきた田中新兵衛という若者を当てました。田中新兵衛・・・別名人切り新兵衛とも言われた男です。示現流の達人です。仲裁無用・・・と張り紙をして決闘する有名な場面があります。机竜之介と田中新兵衛の決闘シーンです。人切り新兵衛は黒の着物に小倉のはかまで高足駄をはき鉄扇を持った壮士です。小刀のわりには刀は四尺もあります。頭のてっぺんから竜之介を見下ろして近づきます。竜之介が何流かと尋ねます。拙者は自源流を学びもした自源流？関東にはお聞き及びござるまいが薩州伊王ケ滝の自源坊より瀬戸口備前守が精妙に伝えし誉れの太刀筋・・ここで新兵衛が解説します。未完の名作大作大菩薩峠です。中里介山です。壬生と島原の巻です。二人の決闘は新撰組の山崎譲が仲裁に入って引き分けになりますが。この田中新兵衛は実在の人物です。

  2007年06月27日

• 集団脱藩計画

  十数人がいっせいに脱藩する方法を考えました。陸路を肥後に向かったのでは阿久根か出水の藩の関所もあります。追っ手を振り払うのも大変です。日向路をとって細島から船で行こうということになりました。有馬新七が細島に調べに向かいましたが船便がうまく行かないことがわかりました。代わりにカツオ船を二隻買って帰ってきました。お金はもちろん森山から出ています。幕末多くの志士が自らの藩を出ています。脱藩は会社を辞めるのとは違います。重罪です。追っ手もかかります。たとえば坂本龍馬脱藩というとかっこよくも聞こえます。けれども命がけの仕事であったわけです。武士層が藩を離れる・・まして脱藩するということは中途半端な覚悟ではありません。そして話は薩摩です。つかまれば死罪の薩摩です。計画だけでも漏れれば腹を切らねばなりません。

  2007年06月26日

• 男は形から入るものです。

  松方助左衛門（正義・のち首相）は後年語りました。当時の精忠組の侍は道を歩いていて一目でそれとわかったのだ・・・・と。袴のつけかた刀の差し方髪型までもが一般の士とはちがっていたのです。男は形から入るものです。形はとても大切です。そう思います。女だって形から入るものです。心は外からは見えませんから。血気みなぎる精忠組スタイルがあったようです。よく考えるとめだっていたのでは隠密行動にはならないような気もしますがその時はその時でそれなりの姿になったのでしょう。あの大久保が精忠組スタイルでいたかと思うとおかしい気もしますがなにしろ彼は実質上のリーダーです。率先してスタイル・・やっていたに決まっています。松方も後に精忠組に参加しています。

  2007年06月24日

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