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テーマ:読書の愉しみ(957)
カテゴリ:詩とやまと歌と
苞(つと)割れば笑みこぼれたり冬牡丹 虚子 苞(つと)は、わらで作った霜よけです。中から現れるのは大輪の冬牡丹、大輪の笑みが咲きこぼれます。「咲」には「笑う」の意味もあります。 雪間の牡丹の美しさは、見る者も笑顔にしてくれます。 火を焚かぬ煖爐(だんろ)の側や冬牡丹 朝下る寒暖計や冬牡丹 冬牡丹頼み少なく咲きにけり 子規 子規の時代の寒暖計は、赤いアルコールが上下するアナログなスタイル。気温の上下が一目瞭然です。 『墨汁一滴』の冒頭一月一六日の記述に「病める枕辺に巻紙状袋など入れたる箱あり、その上に寒暖計を置ける。」とあるので、自宅、病室の寒暖計でしょう。この寒暖計に、新年を寿ぐ輪かざりをつけたという記述もあります。 病床にあって、見る物も限られていた子規を慰める寒牡丹の句です。 引用元:高浜虚子・選『子規句集』岩波文庫 『虚子五句集』岩波文庫 *写真は上野東照宮ぼたん園で撮影 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
January 4, 2024 12:00:25 AM
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