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テーマ:読書(8214)
カテゴリ:【読書】自然科学
本のタイトル・作者 ![]() ジェンダーと脳ーー性別を超える脳の多様性 [ ダフナ・ジョエル ] "GENDER MOSAIC" by Daphna Joel and Luba Vikhanski 本の目次・あらすじ 1 性別と脳 第1章 覚醒 第2章 ねじ曲げられた事実の歴史 第3章 脳の性差が積み重なると 第4章 生まれか育ちか 2 人間はモザイク 第5章 変化する脳 第6章 性別がすべてではない 第7章 脳のモザイク 第8章 現れては消えるわけ 第9章 ブラインドデートに何を期待する? 第10章 脳のタイプーー典型的な脳と稀な脳 第11章 ストレス下の女と男 第12章 健康のモザイク 第13章 心のモザイク 3 ジェンダーの何が問題か 第14章 男女というバイナリーから多様性のモザイクへ 第15章 ジェンダーという幻想 第16章 バイナリーの洗脳 4 ジェンダーのない世界へ 第17章 ジェンダーという神話にどう対処するか 第18章 混ざりあうジェンダー 第19章 ジェンダーフリーの教育 第20章 子どもたちをジェンダーから解放する 第21章 ジェンダーへの気づき 第22章 行動に移す 第23章 未来の展望 原注 参考文献 索引 謝辞 感想 2021年読書:229冊目 おすすめ度:★★★ 黒川伊保子さん(脳機能論とAIが専門)の本を読んで、「男脳女脳っていうのはなくて、それぞれ使う部分が違う」みたいな話だったな…とこの本を読んでみた。 昔、「地図が読めない女」みたいな本あったじゃないですか。 男女の能力の差は、脳の機能によるものなんだ、みたいな論調。 だから私も漠然と、そうなのだと思っていた。 この本はそれを真っ向から否定する。 人の脳は「男」「女」で二分されない。 それは、その人それぞれのモザイク。 「女らしい」「男らしい」とされるものの組み合わせ。 そしてそれは、習慣や経験により変化する―――社会的「性」がそれを強化している。 だとしたら、いったい「何ができるか」「できないか」を「男」と「女」で分けることに一体何の意味があるのか。 ![]() 読了メモ。 科学が性差が「あること」を証明するために使われてきたの、人種差別の本でも読んだ。 やっぱり、同じだな、と思う。 人を人の下に置くために、上に置くために、必要とする。理由を。 宗教を、その名を代えた科学を。 でも、「理由」が必要な時点で、それはもう「理由」でないのではないか? 子どものオモチャのコーナーは、ブルーとピンクの二色に分けられている。 私もついつい、子どもを「性」でカテゴライズしてしまう。 この本を読んでいて、赤ん坊が黄色や、性別の分からない色の服を着ていた時のことを思い出した。 大人は戸惑う、のだ。 その赤ん坊の性別が分からないことに。 「可愛い赤ちゃん」の次に訊く。「男の子?女の子?」 そして安心して話し始める。 そこにはすでに「男」と「女」の型があるから、あてはめやすいんだ。 なぜこんなにも性別は重要なファクターになるのだろう。 その昔、私が子供だった頃にはまだ、「左利き」は矯正されるものだった。 世の中の多数が「右利き」だから不便であるというのもあるのだろうけれど。 でも今は、矯正するというのはほとんどない。 右利きは右利きのまま、左利きは左利きのまま。 そして誰でも、利き手とは逆の手で書いてみたことがあるのでは? それと同じことが、性別にも起こるのだろうか。 私が物心つくころ、世界は二色対立だった。 ランドセルは赤と黒。 けれど今、世界はもっとカラフルになってきてる。 そのモザイクを、見てみたい。 「万華鏡のように」と著者はいう。 色を変えていくモザイク。 それはきっと、きれいだろうな。 これまでの関連レビュー ・妻のトリセツ [ 黒川伊保子 ] ・夫のトリセツ [ 黒川伊保子 ] ・家族のトリセツ [ 黒川伊保子 ] お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.01.01 17:48:06
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