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2023.08.03
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テーマ:読書(8211)
書名






(いつもの書影リンクが貼れないので、別の方法で)

目次

第1章 「のこと」沼
第2章 「バテる」沼
第3章 「えーっと」沼
第4章 「あいうえお」沼
第5章 「パンパン」沼
第6章 「を」沼

感想

2023年169冊目
★★★★

言語が好き。
「文字を読んだ時に頭の中でする『声』はどうやって決まるのか」
を知りたくて、私は大学で言語学を選んだ。
(結局新入生歓迎会で日本語学の教授に「それは言語学ではないのでは」と言われ撃沈)

本が好き。物語が好き。文字が好き。言語が好き。どんな言葉でも。
大学でやった日本語学も面白くて夢中になったけど、その後もずっと「言語学っておもろいなあ」と思って折に触れて本を読んでいる。

この本は、タイトルに惹かれて読んだ。
言語スキーは日常生活に周りに仲間がそんなにいないので、「言語オタクが友だちに700日間語り続けて引きずり込んだ」言語沼、というタイトルが気になった。
そんな友だちいたら羨ましすぎる。
言語学の研究者(オタ)が、友人に語り尽くして沼落ちさせた話?エッセイ?と思ったら違った。

まさかのYouTube本だった。
著者2名は「ゆる言語ラジオ」というチャンネルをやっている。
が、この本は完全に新ネタの書き下ろし。すごい。
対談形式の言語学本ってたしかに新しい。読んだことなかったかも。
勉強の参考書が対話形式になると途端に読みやすくなるように、この本もボケとツッコミがあって面白く笑いながら読めた。
大学の言語学講義でやるような内容も入っているし、本文中の解説も丁寧だし、図解やイラスト、枠外参照もあって、非オタにもわかりやすい親切設計。
著者のお二人の本業は、

堀元見(ホリモトケン)
1992年生まれ。北海道出身。慶應義塾大学理工学部卒。専門は情報工学。作家とYouTuberのハイブリッドで、知的ふざけコンテンツを作り散らかしている。YouTubeチャンネル「ゆる言語学ラジオ」で聞き手を務める

水野太貴(ミズノダイキ)
1995年生まれ。愛知県出身。名古屋大学文学部卒。専門は言語学。出版社で編集者として勤務するかたわら、YouTubeチャンネル「ゆる言語学ラジオ」で話し手を務める


というわけでお若い。
そして話し手の人がほんまに本業の言語学者じゃなくてオタだった。
好きこそものの上手なれ。キモオタバンザイ(褒めてる)。

この本で私が面白かったもの。

・「尾ひれ」と「尾びれ」
 連濁(尾のひれ)によって並列関係(尾とひれ)を区別している。

・「科学的発見には第一発見者の名前がついたことはない」という法則をスティグラーの法則という。しかもスティグラーの法則を見つけたのもスティグラーじゃなくてマートン。

・舌の高さは、
 前   高  後
  い     う
   え   お
     あ
 という位置関係のため、「え」と「お」は他の母音と区別が難しく優先順位が低い。
 (アラビア語の母音は「あ」「い」「う」だけ)

・オノマトペを使うことで子どもは言語の習得が早まる(動詞の一般概念化)
 (逆に、日本語学習者にはオノマトペが理解しづらい)

・「イギリス人は動詞で泣く、日本人は副詞で泣く」
 動作の様子を表現するために、英語では動詞を変える。日本語は副詞を加える。
 「〇〇な様子で泣く」というときに、英語に変換する時「泣く」を使うのは得策ではない!
 →これ、英語は単語で区別し、日本語は漢字で区別するというのも同じだと思った。
  泣く、啼く、哭く。
  日本人は「武志」と「剛」を同じとはみなさない。

まあこんな感じで一冊まるごと言語学の「へえー!」「ほおー!」「ふーん!」が詰まっていて面白いです。
特に、本に載っている「これとこれってどう違うの?」を子どもに訊いてみると、子どもならではの言葉の捉え方の回答が返ってきてすごく興味深い。
5歳や7歳の子どもでも、日本語がインストールされていて、その概念でものごとを理解しているんだなあということがよく分かる。驚き。

で、思うんだよね。
いくら翻訳アプリが発達して相手が言うことをリアルタイムで理解できたとして、その人の思考ベースってその使用言語に拠っているから、本当は全く違う回路を経てそれは出力されているものなのだろうな、と。

だから外国語を学ぶのは楽しいし、大事なことだと思うのだ。
おいでよ!言語沼。
ふだん自分が何気なく使っている言葉が、こんなに不思議なものだったなんてという驚きがあるよ。
楽しいよ〜!笑


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最終更新日  2023.08.03 08:25:12
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