書名
クルックヘイブン 義賊の学園 義賊の学園 [ J.J.アルカンジョ ]
感想
タイトルの「義賊の学園」が気になって手に取った本。
クルックヘイブンというタイトルから、「鶏が鳴く天国」みたいなものをイメージしたのだけれど、crookには「曲げる」から転じて「盗む、騙す」という意味があり、ファミリーネームとしても存在する。
ヘイブンはヘヴンじゃなくて、heaven「安息の地、安全な場所、安息所、避難所」のほう。
タックス・ヘイヴンの「ヘイヴン」ね。
この本、面白かった。
「ハリー・ポッター」シリーズが好きな人は、絶対好きだと思う!
13歳のガブリエルは、血の繋がらない祖母とふたり、街から街を転々として暮らしてきた。
今は大きなお屋敷に仕え、朝から晩までこき使われる毎日。
食べるにも事欠く貧しさのなかで、ガブリエルはいつしか盗みの技術を身につけていた。
ある日、駅で通勤客相手にスリをしたガブリエルは、すった財布から白いカードを見つける。
ーーー「凄腕だね、私ほどではないが」
財布の代わりに、自分を捨てた両親の唯一の手がかりであるコインをすられたガブリエル。
慌てて追うと、その銀髪の男はガブリエルをある場所へと誘った。
クルックヘイブン。犯罪者や詐欺師、泥棒のための学び舎。
弱き者を助け、強き者から奪う。
義賊となるための、学校だった。
「ガブリエル・アベリー、この世で最大の秘密を知りたいかね?それは、本物の悪党は囚人服や目出し帽などつけていないということだ。本物の悪党はスーツを着て、笑みを浮かべている。本物の悪党はとてつもなく金持ちで、とてつもない権力者で、悪行の罪をつぐなわされることはない……」イスの背にもたれて、つづけた。「まさにそれこそ、クルックヘイブンが存在する理由だよ。世界を正しい方向に導くために、義賊として犯罪に手を染めるのだ」
ね?わくわくするでしょ?
選ばれたものしかたどり着けない、湖の真ん中に浮かぶ全寮制の秘密の学園。
授業は錠前破りや贋作造り、パルクールも!
48名の1年生には、オールマイティで負けず嫌いの校長の娘、天才ホワイトハッカーの双子、抜群の身体能力を持つ少女…。
スキルを見込まれてスカウトされた者は「ギフト」、そして一族が犯罪者である者は「レガシー」と呼ばれる。
ここも、人間が「マグル」と呼ばれるハリポタワールドを彷彿とさせる。
最高難度のセキュリティがかかった校長室に忍び込み、気付かれぬように何かを盗み出す「クルックカップ」に挑む1年生、消えた上級生、名前を持たない裏切り者の組織「ネームレス」、ガブリエルの両親の謎…。
盛りだくさんで、ページ数の残りを気にしながら「これ1冊でちゃんと完結できる?!」と心配になっていたら、案の定「続く、次巻!」な展開。
くうう〜。気になる〜。
著者は、
アルカンジョ,J.J.(Arcanjo,J.J.)
作家。ポルトガル人とイギリス人の血を引き、ポルトガルのアルガルヴェ地方とイギリスのデヴォン州で育った。アベリストウィス大学で犯罪学と心理学の学位を取得。ロンドン大学シティ校の創作&出版コースで修士号を取得。現在はブルームズベリー出版社で編集を担当している。大人向けの犯罪小説を二冊出版しており、『クルックヘイブンー義賊の学園』は中・高学年向けのデビュー作にあたる
ということで、この本の多国籍な雰囲気と、授業にも登場する犯罪学と心理学の知識が見どころ。
これは続刊が待たれる。
余談だけれど、このお話が面白くて、でも娘(小2)が自分で読むにはちょっと難しく、寝かしつけの時に私が記憶に頼った講談調でストーリーを紹介したら子どもたちにとても好評でした。
こういう読書紹介も面白いかもな、と思った次第。
さらに余談。
どろぼうがっこう2版 (かこさとしおはなしのほん) [ 加古里子 ]
私がイメージした「どろぼうがっこう」…。笑
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