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500羅漢の微笑み(境界線とメディア)

500羅漢の微笑み(境界線とメディア)

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昨日の寒さからは一転、温かい大観音で羽鳥まつり最終日が切って落とされた。
じつは昨日も訪れてみたのだが、さすがに休みかと思いきや、1時間だけ延期して小雨でも実施されていた。これにまた感激してしまった。

羽鳥書店まつり告知
 早速箱を物色すると、ラグビー本に目が行った。
『世界ラグビー基礎知識』帯には「雨が降れば知が騒ぐ」とあった。雨は降っている。知も騒いでいる。ラグビーはたしかにそんなところがあるなあ。早大が強いころ、関東学院大学との試合を秩父宮ラクビー場に見に行った数年間も寒すぎるほどの日であったが、荒ぶる魂とやらを堪能させて頂いてきた。
 昨日も羽鳥書店さんの顔が見えた。皆の物色する様子をじっと見守る羽鳥さんこそ、ラグビーの監督のようで清々しい。
 さて、そのラグビーボールを大きく蹴上げて始まった私の知の散策だが、いきなりボールはタッチラインを割りそうになる。境界線を標榜する本たちだ。
 いわく、『現代詩手帖 境界のエクリチュール』『現代詩手帖「境界」を読む』『境界の思考』『撹乱分子@境界 アート・アクティヴィズム』『境界を越えて 比較文明学の現在』というように。
 中でも、境界のエクリチュールの一論文「境界線を引く」はベルリンの壁。「境界」を読むの高山宏氏の論文にはオウムの話が枕に使われている。こちらはオウム事件と同じ1995年6月号。
 私は当時、すでに長崎盲学校OBの仲間と共同生活をしていて、前回書いたように、そこにT君という新たな存在が引き金になってテラスハウスの二世帯分をすべて借り切っていた。当時はまだシェアして住むということは珍しかったので、周りの人たちにも不思議がられていた。
 そんな時代のオウム事件では、いわゆるアパート一掃捜査のころ。うちも当時からマッサージなどをやっている仲間もいたので、怪しまれることこの上もなし。警察署の人たちにも上がってもらったのが今は懐かしい。
 宗教といえば、駅前にはよく新興宗教のグループを見かける。そこで適度にこたえると、あとは「これから○○に行く」というと親切にもちょっと駅前から一緒に連れていってくれるので、助かったと長崎盲学校OB連はよく言っていた。ひそかに“駅前タクシー“と呼んでいた。
 宗教と私たちに境界はあるのだろうか。
 
 さて、そんなときに、『キツネ目のスパイ 宮崎学』『法と掟と』『必要悪』を各所で見付けた。これも境界線である。最近は談合の文化について書いた本が往来堂に置いてあった。
彼も一時期夕やけだんだん辺りに拠点があったのではなかったか。
※羽鳥書店刊『憲法の境界』これは抑制の利いたリベラルで、「法律学から見たリスク」には、「リスク社会論が改めて問いただしているのは、偶然、必然、確率、因果、リスクといった外的事象の連なりと記述には還元されえない、自由な意思を有する自律した行為主体という、人間の行為を理解し法的評価を下すために措定されてきた超越論的前提そのものの存立可能性だということができる」というまさに還元されえない境界のことがここでは興味深く述べられている。谷根千必読書だ。

 近隣といえば、他に『岡倉天心』『鴎外のオカルト、漱石の科学』『東京路上細見』等があった。私としては、『「戦艦大和」と戦後』が冨田均さんとの関係でつい手が出てしまった。ちなみに、冨田均さんのことは私もよく取り上げさせていただいているし、古書ほうろうさんにも往来堂さんにもなぜかこの辺の必須アイテムになっているようだが、大学卒業後私の初めて会った著者が冨田さんであった。その時になぜか戦艦大和の話をしたのを覚えている。
 冨田さんが尾久つまりは山手線外周からの諏訪台の人(ゲニウスロキ)なら、内周からのそれが有元利夫さん(画家)であって、このお二人が親友であったことが私の大きな発見(出発点)であった。そして、二人が高校時代、大観音のお隣の駒込学園に通われていたことも。
 こういう縁は大事にしたいので、すぐに買った。ついでに『辻元!』という不思議なタイトルの本に立川談志(根津在住)師匠が出ていたので、これも購入。いずれも100円なのはうれしい限り。辻元さんは社民党の議員さんだ。
 そういえば、今日(14日)私たちのワーカーズコープに関しての法律が今国会に提出される見通しとなったと日経一面に報じられていた。超党派で応援してくれているようだ。意見書採択も進んでいる。地域からも出資を可能にする協同労働による協同組合の法律だ。ぜひ応援頂きたい。やっと谷根千サイズの法律がやってきたという感じがする。
 ということで、今日の関心は仕事や労働に関するものにも向かった。
『市民社会とレギュラシオン』レギュラシオン学派は一時期はやったものだ。フォーディズムに代わるもの。グラムシも出てくる。ぼくはメーカーに勤務していて北陸の工場に出張に行くと、工場文化と営業文化の境界線ということをよく気にしたのだが、この辺はいつか考えてみたい。
 『現代思想』もかなり置いてある。特集の身体障害者などには知り合いも書いていたし(『障害者「安楽死」計画』の訳者の長瀬修さんとは20年来のおつきあいだ)、『感情労働』などでも、お世話になった人はいる。懐かしい90年代。『批評空間』も置いてあって、こちらは柄谷行人氏だろう。私が柄谷氏の講演を最初に拝聴したのは、鴎外記念本郷図書館であった。もちろん、移動する前の図書館である。80年入ってからと記憶するが、むずかしい話であったが、講義の部屋に入りきれないほどの人で熱気を頂いて帰ってきた。
 帰ってきて、当時はスーパー前の八百屋のバイトをしていたから、彼の「風景の発見」にも影響を受けて、「そうか、ナスそのものが元から素朴にあるというより、ラップというシステムがナスやキュウリを輝かして見せるんだな」とつぶやきながら棚だししていると、八百屋の親方が、「さあさあ、早く照明をあてて」と怒鳴ってくる。が、その瞬間は忘れない。ナスが「ナス」にキュウリが「キュウリ」に売り物になった。消費経済ボードリヤールがやってきたのはそれから1、2年後のことだった。
 結局ぼくはそのまま、バブル期から失われた十年からずっと働いてきたけれど、その間にたどり着いたのがワーカーズコープであった。
 その経緯は明確にあるのだが、それをいうほどの時間はいまはないけれど(ヒントは今回、『伝記ジェームス・ギブソン』と雑誌『大航海 マクルーハン再考』を買ったことかな(!?))、まあ、この「働き方」が谷根千的に面白いとは言えるのではないかなと思う。
 『批評空間』も一時期そうした協同組合的なアソシエーションを目指すという宣言があり「新たな批評空間のために」と銘打った号もここに置かれていた。理論と現実はなかなか折り合わないものだが、みんな頑張ってほしいものだ。
 今日は『「株式会社」長崎出島』も出ていた。ついでに『月刊島民』も面白そうである。
 そうこうしてあっという間の羽鳥書店まつりであった。ぼくにしては相当奮発したつもり。一時置き場もあり、とりあえず山と積む。あとで事業仕分けしようかと思ったが思いとどまった。
これは考えてみると、羽鳥書店まつりを意気(粋)に感じたからとはいえ、最近、ふだんの古書ほうろうさんに礼を欠いていることも多少気になった。ふだんからもっと買えばいいのだけれど、と思った時に宮地さんの笑顔にぶつかった。
 そうか。ラグビーでいうところのアドバンテージだな。彼は知の審判である。ぼくのそうした前向きの理由(意気に感じたこと)をアドバンテージとしてみていてくれている間に、ほうろうさん行きますよ~。(ぼくが共同生活を終えて十条からこちらに戻ってくるときに、私自身の数百冊の蔵書を放出したのもほうろうさんであった。あの時には高値で受けてもらって助かった記憶がある。「『動作法』これは、自閉症の身体的実践ですから、アフォーダンスの研究者たちも注目しているんですよ」とぼくが強調していうと「そうですか。勉強不足で」と言って高値で買い取ってくれたこともありましたっけ。コミュニケーションの楽しい古本屋です。)
 ちなみに、「動作法」は編集者で同僚だった小林英樹さんが多く手掛け、『ADAの衝撃』など障害者の基本図書ともいえるものも彼による。『ADAの衝撃』にも登場して、ろう文化宣言の森壮也君は早稲田大学の時の同じサークルで、羽鳥書店まつりでも『障害学への招待』にその名前を見ることができるし、日本手話学会長を務めたなかなかの論客として活躍中だ。学生時代から迫力があった(笑)。実直なタイプとしてこれからも頑張ってほしい。
 もう一人、今回、松沢哲郎著『アイとアユム』というチンパンジーの子育て本も出ていたが、まさに同じサークルから卒業後、名古屋の霊長類研究所で松沢氏らと一緒になって研究していたのが、ろうの大杉豊君で、会うと顔に引っかき傷をつけていたので、喧嘩でもと聞くと(手話で)、チンパンジーの仕業と返ってきた。市田氏や何人かと名古屋に居た時代のこと。聾文化の夜明け前の時代である。彼のネットワークは人を大いに動かした。
映画『ゆずり葉』でもこちらもずいぶんとお世話になった。
 もう一人、NHK手話ニュースキャスターの飯泉さんも同じ早大での仲間である。本でも書く実力はあるだろうけれど、ずっとろう者界に寄り添ってきたというスタンスはなかなかのものだ。
 うーん同窓会になってしまった。これも『早稲田ラグビー再生プロジェクト』なる本が置いてあったのがいけない(いや、買ってしまった)。
 同じ早稲田つながりでいうと、わめぞグループのことは分からないのだけれど、今回の舞台裏の一人で、一箱古本市の企画実施者、ナンダロウアヤシゲさんは世代的にも親近感を感じる。ほうろうさんに遊びに行った時に、本棚の陰からスっと出て来られた時には本屋さんに棲息しているということを確信した(笑)
 まあ、あとは、神保町のブックダイバーのご主人も緩やかにつながりがあるだろうか。ブログの「ダイバー店主が唸る、売れてウレ・クヤシイ本」は面白く、本屋さんも買われてほしくないけど買ってほしい本というのがあって、かくれんぼをしているということがよくわかる。定期的にその本たちがアップされる。ぼくもたまに買いにいくけれど、ここに(くやしい本)にアップされたことが、ない。これは悔しい(笑)。いつかここにアップされることが目標でありまする。五輪のメダルに届かない気持、わかりますよ~。
大物本としては『奇想の20世紀』というアラマタ本だ。その本から遡ること10年前に、メーカーの販売企画部で、このアラマタ博物館構想をある人から提案受けて、企業として提案に乗せたことがあった。これは今考えても相当のものであった。今日はその関係者にも会うことができた。また、当時のこの企業をよく知る人が最近、この谷根千界隈にも加わってぼくとしては楽しみが増えたのだけれど、あとのゲーム進行はラグビーの平尾誠二さん、松岡正剛さんたちの『イメージとマネージ リーダーシップとゲームメイクの戦略的指針』ということでここは留めたい。
 最後にここ大観音の正面にあった、光源寺とその隣の文字。これは実はエスペラント語であることを雑誌「谷根千」の川原さんから聞いて感心した。盲人エスペラントの仲間の集まりのためエスペラント大会には顔を出したことがあるが、ただでさえ、少ないエスペラント人口にあって、さらに盲人エスペランティストというこの希少な出会いには凄まじく感激した。きっと、このわずか4日間の羽鳥書店まつりという出逢いにもそんな感激が多くあったに違いない。大観音様ありがとう!
(4895文字)
光源寺の表札





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最終更新日  2010年02月15日 00時26分41秒


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