減りゆく人口、増える単身世帯
少子化についてはあちこちで語られているが、少子化によって人口が減るとともに複数の人間によって構成される家族自体が激減するかもしれないという。家族類型を比率でみると、一番多いものは現在でも単身世帯であり、夫婦と子の世帯、夫婦のみの世帯がこれに次ぐ。夫婦と子の世帯といってもかなりの部分は老夫婦と成人した子供の世帯である。絵にかいたような夫婦と未成熟な子供という標準世帯は少ない。老夫婦と成人した子の世帯はいずれは一人親と子世帯となり、次には単身世帯となる。将来的には、中年独身単身世帯と高齢単身世帯が社会の多くを占めるという時代になるのだろう。さて、そうなると、理想の住居も変わって来る。昔、郊外の閑静な住宅街で一戸建てに住むのが幸福のシンボルのように思われた時期があった。芝生のある庭とマイカーは人生成功の証であるかのように。専業主婦がいれば買い物の心配はないし、子供が小さければ遊べる庭や家族で乗れる自動車があった方が良い。けれどもこれからの時代はそうはいかない。考えてみれば閑静な住宅街など不便この上ない。近くに店もないし、周囲も高齢化して人通りもなければ治安上の不安もある。ネット上で集められたグループによる強盗殺人もこんな場所で起きる。これからは、セキュリティもしっかりして、鍵一つで戸締りもでき、周囲に店や医療機関のあるようなところが好まれるのではないか。住居もさることながら先立つものの問題もある。様々な場で省力化が進む一方で、高齢者の就労に対する意識も変わって来る。この間、ニュースサイトをみていたら元大企業の管理職がコンビニでアルバイトをしているということをさも悲劇であるように書いているものがあって驚いた。こういうのも、これからはごく普通のことになると思うし、健康で社会とのつながりを持てることが何よりも幸せという考え方も広がっていくことだろう。