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カテゴリ:産婦人科医療
久しぶりの更新。
昨年来、アフリカからの産婦人科医師がうちの病院に何度も見学に来ています。えらいうちも国際的になったもんやなあ。 JICAが主催しているプログラムの一環で当地の医大付属病院に長期研修に来られています。彼らの目標は「世界で一番赤ちゃんが死なない国での周産期医療をその眼で見て学ぶ」ことです。 今回はコンゴ民主共和国からの齢50才のベテラン産婦人科医師ヴィッキー氏です。 彼らが見たいのは、大学病院のようなおおがかりなシステムでは無くて、我々のような最前線の中規模病院が行っている医療のようで、大学病院からの紹介で我々のところに見学に来ています。 今日はたまたま手術が入っていたので、手術室での清潔度のレベル、使用する器械、出血量の測定法などを見学しました。説明しながら、コンゴの状況をいろいろ聞いていると、日本とのちがいに愕然とします。 医療でいうと 国、民間ともに医療保険は無し。政府の役人と軍関係者は医療費が無料だが、その他の人間は全て医療費全額先払いが原則。 例えば手術が必要な患者は、医療費を全て先払いしておかないと入院できない。結果としてかなり裕福な人間以外は病院に来ることさえ無い。 産科に関していうと、日本のように母子手帳などを通して妊婦を市町村が把握するようなシステムが無い。病院で出産するのは都市部の極一部の富裕層に限られ、ほとんどの出産は助産師もいない状態で自宅で行われている。したがって周産期死亡数すら統計がきちんととられていない。 産後出血が止まらない等で病院まで運ばれてくる例などは、たいてい病院にたどり着く前に亡くなっているそうです。 「緊急の場合はどうするの?目の前で患者が死にかけてたらお金どうこうよりも先に治療するでしょう?」 「それは医師の判断によるけど、先に治療してその後お金が支払われない場合は担当医の持ち出しになるんです(T-T)」と困惑顔でした。 うーん、なんというか。唖然・・・ コンゴ民主共和国は長い間植民地支配され苦しめられて、その後独立したが内戦が絶えず、国情が中々安定しない国です。鉱物資源が豊富な国で、常にその富を狙われているが故に争いが絶えないそうです。今でも国境周辺では武力紛争がしょっちゅうあって、国家予算の多くは軍事に振り向けられ、医療にはほとんどお金がまわってこないとヴィッキー氏はこぼしておりました。 昨年見学に来ていたマラウィーの医師達と比べると、同程度の貧しさながらコンゴの方が国の将来に先が見えないという諦観のようなものが感じられました。 ヴィッキー氏が日本の病院を視察していて特に感動したことは、「常に先輩が後輩を教えていること」だそうです。 え?当たり前やんそんなのと思うのですが、聞いてみると彼の国では新人は上司によほど気に入られないと中々教えてもらえないそうです。みんな個人主義で好き勝手やってるのかな。 外国の人から指摘されてわかる日本の良さ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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こんばんは。
保健師学生の頃、母子保健の実習で家庭訪問したことを思い出しました。皆保険になって日本の医療も変わってきましたね。 今は高齢者の看護に従事していますが、世界の中では赤ちゃんが無事に生まれ育つことが保証されない国がまだまだ多いのでしょうね。 その現実にやるせなくなります。 まだまだ日本が貢献できることは沢山ありそうです。 (2012.03.12 00:56:28)
アメキヨさん
医療機関に行くのに敷居が低いのはやはりありがたいことだと思います。特に妊婦さんにとっては。 コンゴでは10代後半で結婚して20代後半までに7~8人産むのは当たり前。しかしそのうち2~3人は小さいときに亡くなってしまう。多産故に子宮破裂を起こす妊婦が多い。子宮破裂は病院に運ばれてきたときにはほとんど失血死です。やはり日本はなんだかんだと言っても恵まれていると言うべきでしょうね。 (2012.03.12 19:04:48)
生まれたときから、当たり前のように、保健医療、出産手当などがある私たちは、相当恵まれてますね。出産費用がなくても、いろいろ助成制度があるし。
日本の産婦人科は、本当に行き届いていて、丁寧で、清潔。 母子手帳って、すごくいいシステムですよね。 自分の母子手帳をもらっておいたおかげで、自分の子供の頃の予防接種や、生まれたときの状態などが、今でもすぐわかります。 もう、ぼろぼろですが(笑) ヴィッキー氏は、本国ではエリートさんなのかしらん? (2012.03.21 21:29:00)
kei☆さん
コンゴでは、行政が妊婦の存在を把握するシステムが無いようです。お金が無ければ病院に行けないないので、医療機関も妊婦を把握していません。だから周産期死亡などの統計自体がとれない状況のようです。 マラウィーでは、母子手帳を作って積極的に妊婦さんに配って病院に来てもらうよう呼びかけているとのことでした。無料の検診もようやくはじまりつつあるようです。アフリカといっても国によってずいぶんちがうようで、要は国情が安定しているかどうかにかかっているのでしょうね。 ヴィッキー氏は超エリートのようですよ。国を背負って視察にきているみたいです。待遇は保証されているかわりに医師は娯楽があまり許されていなくて、仕事に専念するよう縛られていると言ってました。たとえば音楽が好きでも趣味でバンドをやることは禁止されているそうです。人前で演奏している姿を発見されたら停職~失職すると言ってました。 (2012.03.23 14:08:56) |