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2020年08月15日
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テーマ:本日の1冊(3684)
カテゴリ:読書
アンジェラ・サイニー著、東郷えりか訳「科学の人種主義とたたかう」(作品社刊)について、7月26日の「しんぶん赤旗」日曜版は早稲田大学名誉教授・塩田勉氏の、次のような書評を掲載している;


 私たちは、「人種」という言葉を無邪気に使い不用意に理解している。しかし、そこには、平凡でありたくない、という野望、偉大な血を受け継いでいるという幻想にしがみつき、神話や伝説で目をくらませた白人至上主義者の権力欲と欺瞞(ぎまん)の毒素が潜んでいる。

 本書によれば、ユネスコ(国連教育科学文化機関)は1950年7月、「人種」を「根本的に非合理的な思想体系」として、根絶するよう声明を出した。「人種」という言葉は、50年代には科学界で時代遅れとなり、使われなくなっていった。



 そもそも、人種が固定的で、遺伝で継承されると信じさせたのは啓蒙(けいもう)思想であった。それ以降、科学は、政治とナレ合い、支配者の奉じる人種差別を支えてきた。フランシス・ゴルトン、カール・ピアソン、DNAのらせん構造発見でノーベル賞を受賞したワトソンなどが典型である。

 「人種」という概念は曲者(くせもの)で、アインシュタインとかパートランドラッセルまで、口を滑らせ人種差別的言辞を弄(ろう)させてしまう魔物であった。

 政治においても、1907年、米国インディアナ州で強制不妊手術法が可決、74年まで非白人の誕生を阻害し続けた。

 40年代に米政府は数千人のグアテマラ人に性病を感染させる秘密実験を行い、英国の科学者はインド兵をガス室へ送り込む人体実験を行った。

 だが最新の集団遺伝学やゲノミクス(ゲノム・遺伝子研究)は、「人種」概念にまつわる根深い迷信を払拭しつつある。

 大規模な混血、移住、遺伝子流動の反復こそ実相である。「人種」は固定的ではなく系統樹をなさず、絡み合う蔦(つた)さながら複雑であることが判明しつつあるという。
<塩田勉・早稲田大学名誉教授>


アンジェラ・サイニー著、東郷えりか訳「科学の人種主義とたたかう」(作品社刊)

Angela Saini=イギリスの科学ジャーナリスト。『科学の女性差別とたたかう』ほか


2020年7月26日 「しんぶん赤旗」日曜版 29ページ 「読書-実は『人種』は存在しない」から引用

 中国政府の一党独裁体制やチベット・ウイグルに対する抑圧政策は、歴史的に遅れた政治体制・政策であり、いずれは改められるべきものですが、この記事によると、50年前の米国インディアナ州ではウイグル自治区に対する中国政府のような政策が実施されていた様子ですから、こういう問題については米国政府もあまり大きな顔はできない立場なのだな、と思いました。





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最終更新日  2020年08月15日 01時00分04秒


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