カテゴリ:読書感想
この本を読むきっかけは猫のゆりかごさんの読後感想である。とてもうまくまとめて書いていらっしゃるので、これは是非読みたい!と思ったのだった。 まず、今までそれほど意識してなかった、文学賞がこんなにも沢山あるのかと驚いた。マイナーなものまでいれると500くらいあるだそうだ…。 本書の「ROUND4」『選考委員と選評を斬る!』には、文学賞の選考会、選考委員の先生方の裏話が実にたまらなく面白く紹介されていて、笑ったのはいいが、どうにか私が知っている芥川、直木賞もこんなものなのかと考えこんでしまった。 たとえば、 『芥川賞は、目利きじゃない。村上春樹も島田雅彦も高橋源一郎も逃している。』だの『直木賞は賞を与えるタイミングを間違えている。』 に、ぼんやりと思っていたことが当たっていて、ふーんそうなのかと。 が、まあ、読むべき興味は、『はじめに』で大森望さんが 『あくまでも、三度のメシより小説が好きな男女が語る、「小説好きによる小説好きのための小説賞ガイド」だと思ってください。』 と書いていらっしゃるように、文学賞にまつわる、主な賞のなりたち、どんな本が賞になったか、裏話、ひいては文学におけるジャンルの話、(純文学、ミステリー、SF,ライトノベル、エンタテインメント、等々)外国の賞の話と盛り沢山ある。 文学、本、小説の話題の嵐である。文学賞を語りながら、文学を深く語っている、しかも活きのいい現代のものを。著者の大森望さん、豊崎由美さんが本をよく、たくさん読んでいらっしゃること!ほんとの本好きだ。 私にとって印象深かったのは(猫のゆりかごさんも書いてらっしゃるが)ジャンル・クロスオーバー傍流(スリップストリーム)小説のこと。純文学でもない、ミステリでもホラーでもない小説のことをいうらしい。これにファンタジーを加えて、それがこの頃の文学の主流ではないかと密かに思うのだが。 ああ、やっとがわかりかけてきた……現代本事情のことが…。 ほんとに、勉強になった。これは私にとっていい本だ。 メモが厖大になり、真っ黒になってしまい、図書館で借りた本なのでやっぱり買わずばなるまい。(笑) かって私にとって、本の読み方のバイブルは二つの「文学入門」だった。伊東整氏と桑原武夫氏のもの。(ちょっと古いが 笑)今やとって代るかも知れない「文学賞メッタ斬り!」に。 しかし桑原氏のお説、本を読む楽しさは「インタレスト(興味、おもしろさ)がなければならない。」は変わらないと思うよ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[読書感想] カテゴリの最新記事
|
|