カテゴリ:絶対存在論
神の存否-268
スピノザが哲学的な演繹、三段論法とも云われる「一般論や普遍的な法則と具体的な事実から、具体的な事象の結論を導く」という法よりも、より数学的演繹法の方式、具体的にはユークリッド幾何学に倣って、定義に始まり公理・証明・系・備考・其々に要請、付録等々を呈していますが、スピノザ独自の思考方法かと想わば、推察するにのデカルト論法の影響が大だと想われます。然し乍ら、スピノザは当時の西洋世界の宇宙観、神への人間の恣意的思考の世界観のなかで、彼自身の矜持である無限の宇宙世界の認識から、所謂、「世界=法則=数学」を読み取ったのです。更に勘ぐれば、紀元前582年 - 紀元前496年頃の(紀元前552年または紀元前551年 - 紀元前479年は、春秋時代の中国の思想家、哲学者にして儒家の始祖孔子と同時代)の古代ギリシアの数学者、哲学者にして「サモスの賢人」と呼ばれたピュタゴラスとも表記されるピタゴラス。イギリスやインドにまで旅したという伝説もある学游の旅の果に、彼はクロトンで、彼の思想に共鳴する多くの弟子とともにピタゴラス教団、またはピタゴラス学派と呼ばれる集団を立ち上げ、後の釈迦といわれるシッダルタやナザレのイエスの遥か誕生以前に あらゆる事象には数が内在していること、そして宇宙のすべては人間の主観ではなく数の法則に従うのであり、数字と計算によって解明できるという思想を確立したのです。此の驚くべきことは、現代最先端の量子重力理論にも何らの矛盾も生じないことです。スピノザの幾何学的演繹法を読み込むに連れ「サモスの賢人ピタゴラス」の「世界=法則=数学」の予言を思い出さずにはいられません。スピノザの思考方法に影響を齎したのは、私的にはデカルトよりもピタゴラスの存在だとも憶えます。 定理四二 我々に真なるものと偽なるものとを区別することを教えるのは、第一種の認識でなくて第二種および第三種の認識である。 証明 この定理はそれ自体で明白である。なぜなら、真なるものと偽なるものとを区別することを知っている者は、真なるものと偽なるものとについて妥当な観念を有しなければならぬからである。言いかえれば(この部第二部の定理四〇の系二我々が多くのものを知覚して一般的ないし普遍的概念を形成することが明白に分かる。により)真なるものと偽なるものとを第二種または第三種の認識によって認識しなければならぬからである。 スピノザは人間の感覚や感性に全幅の信頼を認識論的には全面的には肯定せず、正常状態の階層にある人間が身体刺激から何らかの本性を見極める能力が人間精神の奥底には備わっているとします。 哲学・思想ランキング お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年12月23日 06時10分05秒
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