笠松 第25回オグリキャップ記念
ミツオーです。冷凍庫に残った最後のアイスを食べていいかどうか思案中。さて、わたくし先週は笠松競馬の実況を担当しました。*笠松競馬場正門付近にあるオグリキャップ像28日には地方全国交流重賞・第25回オグリキャップ記念がおこなわれ、金沢の新王者・グルームアイランドが人気にこたえ優勝。地方交流重賞は2勝目で、地方競馬の中長距離戦線を背負ってたつ存在として、今後ますます注目を集めそうです。そのグルームアイランド、今回のレースは中9日での出走となりました。前回、わたくしが担当したときにもご紹介しましたが、グルームアイランドの前走・金沢スプリングカップ当日はたいへんな強風。17日におこなわれるはずだったレースが、翌18日に順延となったのです。そのため、本来ならば中10日でのオグリキャップ記念参戦だったものが、中9日に。正直、さすがにこの日程は強行軍なのではないかな?と心配せずにはいらせませんでした。すでにご紹介したとおり、川崎記念(8着)のあとレース間隔があき、陣営としては「充分勝てるだろうけど、今イチ」という仕上げで金沢スプリングカップにのぞみました。鞍上の吉原寛人騎手が、「反応するのに時間がかかった」と言うとおり、勝負どころで前をとらえるのに苦労するシーンも見られました。ただ、レース後は、「このレースを使ったことで、馬が変わってくるだろう」という見込みもあり、馬の状態を見て、予定どおりオグリキャップ記念へ。圧倒的な1番人気におされました。レースは、ホッカイドウから参戦のオグリタイムの逃げ。六甲盃勝ち馬のベルラインが2番手から。アウトジェネラル、グルームアイランドはこれらを見る位置につけました。2周目スタンド前に入るところで、アウトジェネラルが前を抜いて先頭にかわります。少しペースが上がったところで、中団にかまえていたリワードレブロンが前をつつくように仕掛けると、これに反応してグルームアイランドも前に進出。残り1000メートルを切ったあたりでは一気にレースが動き、残り800で3頭が後続を突き放すカタチになりました。3頭から、リワードレブロンが一旦下がり(実況で「苦しいか?遅れた」と言っています。でもここからまた来た)、アウトジェネラルとグルームアイランドの一騎打ちの様相から、グルームアイランドが抜け出し、直線へ。アウトジェネラルは苦しくなり、突き放すグルームアイランドに外からリワードレブロンが差を詰めて、半馬身までせまったところがゴールでした。*オグリキャップ記念レース後のグルームアイランド吉原寛人騎手の話「外からかぶされることなく、いつでも動けるところで競馬できたので、力をしっかり出してくれてよかったなと思います。休みが長かったぶん、前回は反応するまで時間かかったんですけど、今日は一度アオられたときにスッと動いてくれたし、余裕ある手ごたえで抜け出していってくれました。切れる脚ではなく、長くいい脚を使うことが持ち味の馬なので、早めに動いて正解だったなと思います。(ゴール前は)相手がくれば来ただけは動いてくれそうな感じだったんですけど、向こうは上がりの切れる馬なので、油断はできないと思って、最後までしっかり追いました。(地方交流2勝)金沢所属馬でこれだけ交流をにぎわす馬が出てくれたのは、本当にうれしいことですし、とれるレースは全部とるつもりでいきたいなと思います」高橋俊之調教師の話「今回も強気といえば強気でしたけど、ゴール前はリワードレブロンが追い込んできたのを見て、どうかな?とドキドキしました。前回使って馬が仕上がったということと、目に見える疲れがなかったことで、ここに参戦することを決めました。今回のほうが、馬は落ち着いていましたね。もうちょっとラクにカッコよく勝ってくれないかな、とは思いますけども、力は全国区だと思いますし、これからも期待しています。地元のレース中心に使う方針は変わりません。次は百万石賞を予定しています。ナムラダイキチとの直接対決で、新旧交代を見せつけたいですね」*この日は一日雨模様でしたが、最も強く降ったのが、オグリキャップ記念表彰式の時間帯でした。口取写真も雨の中、撮影されました。それにしても、高知から参戦のリワードレブロンは惜しかった。このレースとしては史上初の3連覇がかかっていたのですが(連覇は他に、ヒシウォーシイ 2010・2011年)、勝ち馬に肉薄しての2着。昨年のオグリキャップ記念優勝後は今年1月に条件戦で1勝をあげたのみで、重賞では地元戦でも勝ち星をあげられませんでした。しかしこの条件…というか、このレースだけは滅法得意なリワードレブロン。今年も勝ち馬にこそ及びませんでしたが、いい走りを見せてくれました。今年8歳。今回も見せた笠松2500メートル適性…というか、オグリキャップ記念適性を見ると、来年もまた参戦してもらいたくなりますが、陣営の判断はどうでしょうか。ところで。地方競馬の売り上げが好調です。笠松競馬もその例外ではなく、前開催最終日(15日 金曜日)には、一日の売り上げ3億円超を記録しました。一日の売り上げが3億円をこえたのは、なんと2002年1月1日以来、14年ぶりのことだそうです。笠松競馬の売り上げ成績を見ると、最も好調だったのが昭和55年度(1980年)のことで、この年の1日平均は353,358,519円……3億5千万円です。平均が、ですよ。最も低迷したのが平成17年度、つまり2005年(というと、北関東の競馬が廃止になった翌年度です)で、1日平均は、107,376,956円……1億円強でした。総売り上げは、昭和55年の4分の1に落ち込みました(開催日数も減っている)。その後、売り上げは上がったり下がったりしましたが、平成25年(2013年)からは前年比プラスが続き、昨年度は165,582,400円(1日平均)まで回復しました。売り上げは1日平均にして、最も苦戦した平成17年度の1.5倍にまで戻したのです。この売り上げの復調をうけ、笠松競馬では今年度から賞金が5着馬にまで出るようになりました。昨年度までは、3着までしか賞金が出ていなかったのですよ。調べてみると、2004年度から賞金は4着払い。2010年度途中から3着払いとなっていました。これがようやく、12年ぶりに5着払いとなったわけです。じつに目出度い。まだ賞金額そのものは当時の水準にもどってはいませんが、長い厳しい冬の時代をへて、笠松競馬にも春がおとずれた…ように見えます。ちなみに、2004年度とは平成16年度で、この年の売り上げは1日平均1億2千万円ほど。2010年度は平成22年度で、売り上げは1日平均1億1千万円ほどでした。昨年度の売り上げ1億6千万円/日は、2003年度の1億5千万円/日を抜き、2002年度の1億8千万円/日にせまる数字でした。売り上げ平均が2002年度以来の数字。1日の売り上げ3億円をマークしたのが、同じく2002年1月1日以来。開催日数は、2002年度の118日に対して、今年度予定は96日間。この数字を02年度並にもどすことはできるでしょうか?(昭和55年度は126日開催していた)。あちこちで多くのひとが語っているように、地方競馬の売り上げ好調を、無防備に喜ぶだけではよろしくない。なぜ、どのようにして、売り上げが好調なのか。どの施策が当たって今があるのか。分析をするべきでしょう。笠松競馬の1日3億円超も、なぜこのようにいい数字をマークできたのか、本当のところは誰にもわかっていません。好調を維持するために。さらに好調だったころに戻すために。慎重な調査と吟味、対策や新たな施策が求められるところです。*熊本地震被災地支援のための募金活動の様子。 一日も早い復興をと、全国の競馬場でも支援活動がおこなわれています。