マルタの夜 Malta

2013.01.17

(2)

夜２３時前。マルタの首都ヴァレッタの旧市内を歩く。師走とうのに、気温は１７度。町全体が世界遺産のためか、店はバーガーキングとマクドナルドといくつかのバーが空いている程度だ。夜に盛り上がるのは、観光客が多いサンジュリアンという別の地域と聞いている。首都バレッタは、マルタで一番人口が多いわけではなく、そして、安宿も含めホテルが１０もない。人口はたったの６０００人だ。１本の大通りだけは、どこから帰っていく人々で若干賑わっていたが、一本入ると、既に静かで、２４時ともなると店は完全に終わり、大通りも人気はなくなる。照明が全体が褪せた蜂蜜色の石灰石マルタストーンで造られた建物や道を照らし、そのほかは黒となる。

マルタと聞けば、マルタの鷹ぐらいしか印象はなかったが、あれは、ハードボイルド、マルタは舞台としてはでてこない。あとは、マルタ騎士団だ。マルタとは違い、国家を持たないがかつて国家を持っていたというだけで、何を承認しているのかよく分からないが、ローマの事務所は治外法権となっているし、国連のオブザーバーだ。

ウキペディアを見ると、・・・マルタ騎士団は世界の約94か国と外交関係を持ち、在外公館を設置している。外交関係国はヨーロッパ38カ国、アフリカ35カ国、アメリカ29カ国、アジア・オセアニア18カ国である。いわゆるキリスト教文化圏の国々が多い。その中で主要国はフランス・ドイツ・英国・イタリア・ロシア・カナダがある。一方で、アメリカ合衆国・日本などは承認していない。また、国際連合では「オブザーバーとして参加するために招待を受ける実体（entity）あるいは国際組織」として扱っており、「加盟国」とも「非加盟国」とも異なる立場である。・・・と書かれてある。

夜道を歩いていると、ヴァレッタの騎士団が歩いて来そうな気がするか、といわれると、そう思う。そう思うのだが、それは、結構ヨーロッパの路地を歩いているとそう感じるのである。野蛮な血が流れていると感じるのだ。寒い国では、肉を食らい、人を押しのけ、殺し、そして人間がゆえ、動物的狩猟を超えた無駄な血が更に流される、と路地では感じるのである。
１年中暑い南国では木に登って、手を伸ばし自然の恵みによる果物などをちぎって食べる、平和なことをやっていると、勉強も、競争も、生き残りも、文化も大きくは必要ないように感じ、それゆえ、いつかやられてしまう運命にあるのだと思う。魚が大量に採れたら、来週まで休み、多くを望まない、そこに無駄な向上心や競争心なんか必要なものか。