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カテゴリ:実践!企業価値評価
1日1分!企業分析 本日の日経注目企業の分析 ~任天堂~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■注目した記事(5/8 1面) 任天堂、最高益2790億円 「Wii」欧米伸び販売4割増 ■記事への素朴な疑問 WiiやDSの伸びが好調で、過去最高益を達成したようです。 最近は大幅な好成績を挙げている任天堂ですが、 そもそもいつからこの好調が起こっているのか、 また今後はどんな課題があるのか、気になります。 以下では、08年度まで直近5年間の当社の財務状況を基に分析します。 任天堂の株価を見る前に~決算・財務分析はこちら 任天堂の決算・財務分析 ■P/Lの視点 06年までは売上・利益共に増減があり、 必ずしも安定しているとはいえない状況でしたが、 売上高は、06年の約5000億円から、07年には90%増の1兆円、 08年にはさらに70%増の1.7兆円へ、 そして営業利益・純利益も同様に大幅に伸びています。 もの凄い勢いで経営成績が向上しています。 Wiiの発売は2006年ですから、いかにWiiのヒットが 07年以降の成績に貢献しているか、明らかですね。 また、DSについても、この頃から特に市場に浸透し、 貢献度を増しているようですね。 では、実際にキャッシュはどれだけ流入したのでしょうか? ■C/Sの視点 06年までは、営業CFが1000億円規模でしたが、 07年からは2700億円、08年には3300億円と、 大幅に上昇しています。 投資CFは、07年のマイナス1700億円に対し、 08年ではさらに投資額を増大させたにも関わらず、 それ以上に有価証券の売却益でプラス2300億円を計上しています。 財務CFでは、借金がないので返済ではなく配当金の支払として、 500億円から1000億円規模の支出をしています。 やはり営業CFの流入額が大幅に向上しており、 さらに08年には投資CFからもキャッシュが流入しています。 非常に潤沢なキャッシュ流入となっており、 これは財務体質にどのように反映されているのでしょうか。 それでは、B/Sを見てみましょう。 ■B/Sの視点 総資産、現金の推移が以下の通り、年率平均10%~20%の規模で、 大幅に増加しています。 ●総資産、現金 06年 1.16兆円、 8700億円 07年 1.58兆円、 1.08兆円 08年 1.80兆円、 1.25兆円 08年では、資産の70%が現金であり、 同様に、負債・純資産の70%が株主資本となっています。 有利子負債もゼロであり、非常に頑強な財務体質ですね。 ■まとめ(分析からの気付き) 06年までの増減から一線を画し、 07年、08年から大幅な増収増益となり(P/Sの視点)、 同様に営業CFから潤沢なキャッシュが流入する中、 08年には投資CFも大幅プラスとなり、 FCFが大幅に増大しています(C/Sの視点)。 無借金でキャッシュリッチな、頑強な財務体質です(B/Sの視点)。 06年までは不安定な面もあった経営成績ですが、 DS、Wiiの好調からそれ以降は大幅な成長を遂げています。 しかし、やはり気になるのは株主資本比率の高さです。 一般に、資金調達については、銀行等による借入(3%~4%)よりも、 投資家による資本(8%~10%程度)の方が資本コストが高く、 株主資本比率が高いほど、資本コストは高くなり (任天堂はだいたい8%)、その分、それ以上の収益性が求められます。 この10年間、任天堂の株主資本比率は大きく変わらず、 資本コストが高い一方、収益性は06年までは資本コストと 同程度であり、実質的な儲けがゼロに近い状況でした。 07年、08年でこそヒット商品のおかげで非常に好調でしたが、 潤沢な現金を遊ばせずに、 普及が一巡した国内に合わせて、欧米・新興国への拡販や、 新技術への投資によって、収益性を持続させる必要がありそうですね。 任天堂の株価を見る前に~決算・財務分析はこちら 任天堂の決算・財務分析 以上の分析でご不明な点等ございましたら、 是非シェアーズまでご連絡ください。 感想もお待ちしております! support@shares.ne.jp お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年06月29日 15時49分29秒
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