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カテゴリ:実践!企業価値評価
1日1分!企業分析 本日の日経注目企業の分析 ~ニフティとIIJ~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■注目した記事(5/11 1面) ニフティ・IIJ・ビッグローブ ネット接続3社提携 システム統合、値下げ狙う ■記事への素朴な疑問 国内のネット接続利用者の伸び率が前期比3%程度と、 市場が成熟する中、中核システムの統合等でコスト削減し、 利用料の引き下げを目指すようです。 これまでのニフティ及びIIJの収益・事業構造にはどのような 違いがあり、また経営状況はどうだったのでしょうか? 以下では、08年度まで直近5年間の2社の財務状況を基に分析します。 ニフティとIIJの株価を見る前に~決算・財務分析はこちら ニフティの決算・財務分析 IIJの決算・財務分析 ■P/Lの視点 08年の両社の成績、及び前期比からの増減は以下の通りです。 ●売上高 ニフティ 920億円(13%増) IIJ 670億円(17%増) ●営業利益 ニフティ 20億円(19%減) IIJ 48億円(36%増) ●純利益 ニフティ 9.4億円(6%減) IIJ 52億円(36%増) 売上が高いわりに、ニフティの営業利益の低さ・減少額、 そして純利益の低さが目立ちます。 08年のコスト高の原因を有報でさっと確認すると、 センターシステムの整備・人員増加による人件費の増大にあったようです。 次に、実際のキャッシュの流れを確認します。 ■C/Sの視点 ニフティは、FCFマイナスで投資CFを増大(80億円規模)させています。 IIJは、07年までFCFプラスでしたが、08年はFCFマイナスで投資CFを 増大(50億円規模)させています。 08年の両社の投資額の使途を確認すると、 ニフティについては、情報基盤整備及びサービス強化への投資、 IIJについては、連結会社の取得、通信機器等への投資、となっていました。 両社とも、積極的に投資を行っているようですね。 それでは、B/Sを見てみましょう。 ■B/Sの視点 08年の総資産は、ニフティが430億円、IIJが560億円です。 両社の財務構造で対照的なのは、無形固定資産と、有形固定資産です。 ●無形固定資産 ニフティ 117億円 IIJ 59億円 ●有形固定資産 ニフティ 54億円 IIJ 117億円 綺麗に対称的な数字となっています。 ニフティは、マーケティングシステム等の顧客サポート関連システムといった ソフトウェア資産が多く、IIJは、トラフィック増加による品質低下を 避けるためのルータ・サーバ等の通信機器である固定資産が多くなっています。 両社の事業構造、戦略性の違いが窺えますね。 ■まとめ(分析からの気付き) IIJは増収増益、ニフティは増収減益となる中(P/Sの視点)、 両社共にFCFをマイナスにしながら、投資額を増大させています(C/Sの視点)。 IIJは通信機器等、ニフティはソフトウェア等への投資を行っているという、 戦略の違いが財務構造に現れています(B/Sの視点)。 固定資産で見ると財務構造の違いが明らかな両社ですが、 営業利益率の違いにも、言及しておきます。 経営効率で見ると、IIJの売上高営業利益率は4.3%、ニフティのそれは1.3%です。 その要因は販管比率の違いにあり、IIJは7.2%ですが、 ニフティは17.8%にもなっています。(原価率はほぼ一緒。) 収益構造の違いも明らかになりましたね。 市場が成熟する中、利用料の引き下げを目指してビッグローブと3社で 統合するようですが、事業構造の違いから来るぞれぞれの強みを活かして 売上を維持・向上させ、システム統合等によるコスト削減で利益を確保し、 積極的な投資を回収できるかに注目していきたいですね。 ニフティとIIJの株価を見る前に~決算・財務分析はこちら ニフティの決算・財務分析 IIJの決算・財務分析 以上の分析でご不明な点等ございましたら、 是非シェアーズまでご連絡ください。 感想もお待ちしております! support@shares.ne.jp お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年06月29日 15時50分15秒
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