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カテゴリ:世界遺産
近鉄奈良線「奈良」駅下車。ゴールデンウイーク真っ只中の奈良にやってきました。案の定、大変な賑わいです。今日の目的は藤の花です。春日大社神苑、「萬葉植物園(manyo-syokubutu-en)」の藤の園は、20品種200本の藤が植えられていて、それは見事だとか。最近は気温が高くなっていて、ちょっと遅いかも知れませんが行ってみよ~。
春日大社の参道で、植物園の藤の開花を知らせるチラシをいただいた。いやが上にも期待が急上昇。 途中の小道では、天然記念物の鹿がゆったりとくつろいでいた。 この辺りは、幹回りが3mを越えるイチイガシの森が広がり、「春日大社境内のイチイガシ巨樹群」として奈良市天然記念物に認定されている。 参道の途中に「山上憶良(Yamanoue-no-Okura)」 の歌碑がある。 “ 萩の花 尾花葛花 なでしこの花 をみなえしまた 藤袴朝顔の花 ” 万葉集にある、秋の七草を詠んだ和歌。万葉集の詠まれていた時代とは、同じ日本語なのに単語が違うことはよくある。尾花ってススキのことだし、朝顔は桔梗を指す。春の七草の和歌もあるよね。 さあ、着きました、「萬葉植物園」です。日本で最古・最大級というが、私は春日大社しか知らなかった。ということは、他にも万葉植物園があるのね。 万葉集は、植物が詠まれることが多い。こちらでは、大きく4つのエリアに分かれていて、題材になっている和歌を添えて、それらの植物を育てている萬葉園…、その他には五穀の里・椿園・藤の園がある。中央に池が配置された回遊式庭園で、浮舞台が張り出している。その上を覆いかぶさるように一本の巨大な樹木が枝葉を広げている。「臥龍(garyu)のイチイガシ」と呼ばれるこの木は、奈良市指定文化財になっていて、この植物園のシンボル的存在だ。 嵐のため倒れはしたが、それでも頭を起こし天を見上げるように伸びている。きっと、その力強い生命力を龍に見立ててこの名前がついたのでしょうね。 万葉集以外にも、奈良のことを詠んだ歌碑がいくつか設置してあった。 “ 浅き水にすすき風さと走るさへ おどろきやすく鹿の子のゐる ” 前川佐美雄 “ 万葉のそのふのさくら たわたわになみよすること 花ゆれにけり ” 前川 緑 “ この冬も老いかがまりて奈良の京 たきぎの能を思いつつゐむ ” 折口信夫 さあ、お目当ての藤の園のエリアに着きました。少し花のピークは遅かったけど、それでも遅咲きの何種類かの藤はたわわに下がっていたし、花の香りに誘われるようにたくさんの観光客でにぎわっていた。支柱にからまり腕を広げるように空を覆っている藤。立ち木造りで、枝の間から手で触れられる程花房が下りている藤。白・ピンク・薄紫……八重咲き・花房が長い藤。こんなにたくさん種類があるのね。ほんとに舞妓さんの髪を彩る簪のようです。 “ かすか野のいにしへざまに木を草をのこす園にて春逝かんとす ” 宮柊二 散策していると、こんな木にも出会えた。この大木は豪快に倒れているけど、その骸から新しい命が育っているね。命が循環している。 かわゆい鹿だけど、その外見に惑わされて迂闊に触れてはいけない。 (2016年5月上旬現在) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016.10.13 13:10:13
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