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カテゴリ:職場での子どもたちとの日常
どんな子どもでも、将来の目標は 「自立と就労」 だと思います。 どんな進路を選んだとしても、最終的に目指すのは 「自立と就労」 担当している車椅子のB君ももうすぐ高学年になります。 車椅子であることと、手(腕)の力も無いことなどからどうしても介助が必要な場面が多くなります。 今までも 「できないことは手伝う、手助けする」 ただし 「自分でできることはできるだけ自分で」 と言うことも本人に言ってきました。 ところが、最近気になることが多々あり。 あまりにも、生活体験が無さ過ぎるということ。 「やったことがない」 「見た事もない」 「知らない」 「わからない」 ことが多すぎる・・・ 同級生が普通に体験していること、知っていること、が欠落しているのです。 それは、 「能力的にとか機能的にできない」 と言うことではなく、それ以前の問題なのです。 ハチマキを頭に締めることができませんでした。 蝶結びもできません。 手袋を一人ではめることもなかなかできません。 算数の時間に、「輪ゴムで楊枝を束ねる」ことができませんでした。 「コップを洗う」時もどうやって洗ったらいいのかわかりませんでした。 他にも色々と 「ええ?こんなこともやったことないの?」 と言うことがあります。 今日は、お花紙で花を作る作業をしました。 まず、お花紙を折ることがわかりませんでした。 「知らない。(作り方・折り方が)わからない。」 折り方を示して教えました。 真ん中に輪ゴムを巻くことができませんでした。 算数で輪ゴムを扱えなかった時に 「おうちで練習しておいで」 と言ってあったのに、その後家で練習することが一度も無かったようです。 「ぼくには(輪ゴムをかけるのが)できないので、やって下さい。」 と言うので 「じゃあ、やり方を教えてあげるから自分でやって下さい。」 と言って教えました。 「まず輪ゴムを一回通して、輪ゴムの根元を左手の親指と人差し指でしっかりと挟んで押さえる。次に右手の親指と人差し指をゴムの中に入れて広げるようにしながら引っ張って根元のところをくるっと回して×にする。ゴムを広げたところに(お花紙の先端を)通す。」 これを、実際にお手本を示しながら説明し、B君がやる時もずっと手順を先行して言ってあげました。 この動作を4回繰り返し終了。 B君、初めて一人で輪ゴムをかけられました。 輪ゴムをかけた後、お花紙を一枚ずつ引っ張り上げるようにしてはがして花を作る時もなかなか上手くできず。 それでも、何とか二個目には形がよくなってきました。 「できたね~!上手になったよ!」 と言うと、がぜんやる気が出てきたようでした。 「コップを洗う」時も、コップの中に5本の指を全部入れて水をかき混ぜているだけだったので、 「親指は外側に出して、コップの外側をこする。他の4本指は中に入れて、コップの内側の壁をこする。親指と4本指でコップを挟むようにしてこする。」 と具体的に言ってあげないとできませんでした。 今までそんな風に洗ったこともないし、お母さんが(食器を)洗っているところも見たことがないそうです。 先週、お母さんと担任の先生と私と面談をしました。 その時に、この「生活体験の乏しさ」と「自立に向けた支援」と言う話をしました。 お母さんも「確かに、今までさせていなかったことが多い」と言っていました。 何でもかんでも「やってあげる」のでは、本人が習得する機会も奪ってしまいます。 高学年になることをきっかけに、これからは本人が自立できることを視野に入れた支援に変えて行ったほうが良いと言う話をしました。 そのためにはおうちの方々の協力、と言うより、おうちでこそ積極的に色々と体験させて欲しいと思います。 本人が全部やるのでなくても、おうちの方が何かをしているところを「見る」ことや「説明してあげる」と言うことで知ることができます。 「知らない。見たことも無い。」 のでは話になりませんから。 近い将来、電動車いすを使って一人で外出できることを目指して欲しいと願っています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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