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カテゴリ:連載小説
不定期ながら、GW中も頑張っていきます。もちろん、きょう初めての方は、フリーページ→カテゴリ(連載小説)にどうぞ。



間をおくことなく、社員が入ってきては、それまで、あきらかに何かを喋りながらはいってきたにもかかわらず、ドアをあけ、川越の姿をみると、みな寡黙になった。

「おう、つめろ、つめろ」

川越から離れたところから、なぜか埋まっていったため、川越のまわりに席が3つばかりあいた。熊本、伊香が座ればそれでいいのではないか?と思ったが、おそらく川越は川越なりに、3人がかたまるのは良くないと考えたのであろう。しかし、だれも動かなかった。そして、いつになくみんな黙りこくっていた。
「おまたせー」
伊香がはいってきた。それまでの、気まずい空気をふりはらうかのように、そして当然のように川越の隣に座った。松田は、伊香がはいってきてすぐ、店の店員に花束を渡していたのを見た。おそらく、最後に渡すつもりなのだろう。そして、最後に熊本がはいってきて席についた。

「いいか、そろったか?」
「ひとり分、あいてるが、伊香、数あってるな?」
川越のとなりが、ぽっかりとあいている。
「これは、えーっと、まちがいですね。あいています。」
「おいおい、しっかりしてくれよ」

「みんな揃ったところで、話がある。」
みんな、川越の目ではなく口もとを凝視しているように松田は思えた。
「みんなすでに知ってるかもしれないが、おれは社長をやめることになった。

すでに周知の事実だけあって、みんな驚きの表情はみせなかった。
「親会社からいろいろ言ってきてるけど、これから先、おれはみんなを守ることはできなくなった。残念だけど。」
「でも、みんな、がんばってJの朝食をだして、ここまでやってこれたんだから、一団となってむかっていけば、大丈夫だ。きょうは、Jの朝食の、発売記念の食事会のつもりだったけど、これれまでアンテラをもりたててきてくれたみんなのための、慰労会としてみんなの苦労に報いたいと思う。みんな、ほんとにありがとう。」

話を聞きながら、川越は、いろいろ噂もたったけど、いい人だったのかもしれないと、松田も思ったし、みんなそう思った。多少、くもりがかかっていた部分が晴れたような気になったのも事実だった。

 みな、コースで運ばれてくる料理を、粛々と口に運んでいた。

「川越さん、このあとどうすんですか?」
神野が口を開いた。
「うん、なんかやろうかとは思ってるけどね、まだ具体的に固まってはいないんだ。」
「やっぱ、おなじ業界ですか?」
「うん、そうなるかなあ。」

ただ、松田としては1%の曇りの部分は、晴れているとはいいがたかった。それは、自分からやめたのか、それとも会社からやめさせられたのか?だ。体をはって、アンテラの社員を守ろうとしたのであれば、たいしたものだ。惜しい人にさられるということになる。しかし、自分の保身のため、たとえば、沈没する船からまっさきにねずみが逃げ出すように、川越がやめるのであれば、それはアンテラにとって、そういう人物を社長に戴いたこと、不幸以外の何ものでもない。

しかし、その食事会は、みんな川越が身をていして、社員を守ろうとした社長としか映りようがなかった。それだけ、話術が巧みだったと言う他ない。最後、伊香が買ってきた花束を、熊本が川越にわたし、川越が社員一人ひとりと握手をして、食事会はお開きとなった。

帰り、松田は広田と有楽町まで帰った。

「なんか、うそっぽいんだよなあ」

広田がつぶやくように言った。多少、ワインを飲んだせいか、色白の肌が、アルコールでほんのり赤く上気しているように見えた。
「どこが?」
「どこがっていうんじゃないんだけど、おんなの勘っていうかなあ」
「おんなの勘ねえ」
時計は9時半をまわっていた。二次会で銀座にくる連中はこれから、の時間だし、松田みたく1次会で帰る人にとっては、ちょうどおひらきの時間で、通りは、そんな人で入り乱れていた。磯部巻の屋台が、こうばしい香りを振りまいていて、酔客が買い求めていた。

「かけたっていいわよ。あれは、ウソよ。」

松田も、まえに高山から聞いていたからというわけでもないが、正直、きょうの川越の話を100%信じることはできなかった。それは、資金ぐりの時、スコット、マクナマルが日本にきて京都に行ったときのこと、なにをそれが目的としてのことだったのか、万事が万事みえないのだ。あるのは、状況証拠のみなのだ。それが1%の曇りとして、松田の頭から、離れないでいた。

「でもなあ、あしたからどうなるんだろうな」
「なるようにしかならないわよ」

「ちょっと飲んでいくか?」
「そうしたいとこだけど、こんどにするわ。カナダから友達がきてるのよ」
「留学のときのか?」
「そうよ。」
「じゃあ、きょうパスすればよかったのに。」
「でもさあ、そうは言っても、ボスだったひとだからね。最後は見届けようと思ったわけよ。」

いずれにしても、どんな理由であれ、川越がアンテラを去ったのは、明確な事実としてあるわけで、あすから、川越後が始まる。
そして、常勤の取締役が決まらないままの、川越後の始動は、まるで船長不在の航海といっていい。まさに暗中模索の船出に相違なかった。






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最終更新日  2005.05.04 19:55:38
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