みしゃらいグゥパンチ

ゴールまで残り３ｋｍ、なんとか最後の給水地点にたどり着いた。
よかった。これで水の心配はない。

水を飲んで、さらに水の入ったコップを手に持って歩く。
スポンジの水もまた頭からかける。

しかし油断はできない。身体はすでに脱水症状になっているのだ。
身体に給水した水分がまわるのには時間がかかる。

そしてゴールまでの３ｋｍがまた長いんだ。
疲労困憊の状態だから長く感じる。

足もかなり疲れてきた。

ただし時間制限にはまだ余裕があるから、休憩しようが
なんだろうが絶対にゴールまでは行こうと思った。




つま恋の入口まできて、残り１ｋｍになった。
身体中に疲労が溜まっていて、もはや歩くのもつらい。

そして最後の１ｋｍはずっと上り坂なのだ。

沿道でスタッフの人や走り終えたランナーが応援してくれる。
「もうあと少しだぞ！」でもその少しが遠い。

やっとゴールが見えてきた。
あと３００ｍくらいか？

そこで[５時間]のゼッケンを付けたペースランナーに抜かされた。
「私より先にゴールすれば５時間を切れますよ～」だって。

え～、マジすか。この身体にムチ打って走れと？
体力の限界はとっくに超えているのに・・・。

抜かれても別にいいやと思った。
５時間少し過ぎてもゴールはゴールだ。

しかしこのペースランナー、なんだか自分の前にやけに長くいる。

「頑張ってくださーい、５時間切れますよぉ～♪」



仕方ねーなー。もうあと少し走るか。
最後の２００ｍだけヨロヨロしながら走ったよ。

身体に振動がかかると吐きそうになるため、すり足で走る。
なりふりなんか構ってられない。
たぶん相当なさけない恰好で走っていたと思う。

そしてついにゴールラインを通り抜けた！



マラソン初完走だ～、なーんて感激もなにもないよ。
とっくに限界を越えてるのだ。
ゴールすぐの芝生によろよろと倒れる。しばらく動けなかった。





あーもうフルマラソンはいいです。二度と走りたくない～！

まさかこんなにまで苦しいとは思わなかった。
４２ｋｍを甘く見てた。

誰だこんな距離を走ろうと思ったやつは（自分だ）。





しかし何度ダメと思ったことだろう。

３０ｋｍでしゃっくりが出た時と、３６ｋｍで歩いちゃった時は
もうダメだと思ったもの。ここでやめたらどんなに楽かと。

最後までよく動いてくれたよなあオレの身体。

４２ｋｍを最後まで走りぬけなかった悔しさと、
この暑さでもゴールできた達成感と、両方ある感じだ。

まあでも全力を出し切ったことは確かだな。

当分フルマラソンを走るのは遠慮したいものである。