カテゴリ:地域の歴史・伝承
琵琶湖の旅は、高知県立民俗資料館の館長が同行して頂いていて、 色々と、説明を受けながらの歴史探訪でした。 彦根城でも、城のつくりや石垣の組み方など、説明して頂きました。 そうしたお話の断片を、以下にまとめてみます。 その1)岩盤を削った石垣。 彦根城本丸の付近は、岩盤が露出している箇所があり、 自然の大きな岩盤を削って、石垣に利用してしています。 写真は、彦根城・太鼓門櫓に利用されている例です。 その2)梁(はり)組みを直接見せる天井。 天井に太い梁をかけて、その上に柱を立てる 積み上げ方式という手法が使われています。 彦根城の建築構造の大きな特徴の一つです。 写真は、彦根城天主の入口の天井。 その3)隠し狭間。 城内から敵兵を攻撃するための穴を狭間といいます。 四角い形をした矢狭間と、三角形の鉄砲狭間の2種類があります。 しかし、彦根城のそれは、外からわからないように、壁が塗りこめられています。 彦根城は、あまり実戦を想定した城ではないと言うことができます。 その4)転び柱。 天主内部の柱は、上と下の幅が違います。 これは、柱を意図的に斜めに立てているためで、 天主の建築を安定させるための工夫です。 その5)転用石。 彦根城の石垣には、供養塔などの石塔が含まれています。 安土城の石段にも、石仏などが使われていましたが、それも転用石です。 彦根城の築城にあたっては、佐和山城を解体し、主にその遺構が使われたと言います。 確かに彦根城だけでなく、他の建築物の部材を利用して、 新たな建造を行うという話は良く聞きます。 しかし、これは昔の建築においては、ごく一般的な手法でした。 大量生産や発達した物流システムがなかった時代の話。 城に使う木材にしても、生木ではそのまま使えないため、 乾燥させるのに半年~一年かかりました。 ならば、すでに建築材として使われていたものを、そのまま使うのが一番合理的でした。 石垣にしても同様です。 他で使われていた石材を利用する=転用石によるのが早いですし、 コストもかかりません。 当時の人は、そうした点で、現代人とは全く違う感覚を持っていました。 資材は現地産のものを使う。 すでに加工済みのものを再利用する。 こうしたことが、ごく当たり前でした。 これらのことを意識して見ると、城についても違った発見があります。 工夫して城づくりをしていた事がわかります。 ちょっと話がそれましたが、 そんな話も織り交ぜての ・・・ 城郭豆知識でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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