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元SF小説家・春橋哲史のブログ(フクイチ核災害は継続中)

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haruhasi@ ややこしい記事を読んで下さり、有難うございます きなこ様  度々、コメントを頂戴して有…
きなこ@ Re:フクイチの汚染水(処理水)放出までの経緯 2012年11月~23年8月(10/13) 詳しい経緯のまとめ、ありがとうございま…
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2018.10.27
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​​​​​​​​急遽、書く予定の無かった記事をアップします。「ALPS処理済み水」に関する連載の続きです。

 過去の連載一覧はこちら。

1.​緊急アップ! フクイチのALPS処理水に関する説明・公聴会の情報

2.​経産省が「公聴会」を採用した理由と、スリーマイル原発事故の前例

3. ​ALPS処理水の処分に関する「説明・公聴会」の開催決定に至る経緯

4. ​フクイチのALPS処理水の扱い~タンク用地と137万t容量~

5. ​フクイチ・ALPS処理水の扱い~処分方法と準備期間~

6. ​ALPS処理水の最終処分~経産省の考える「落としどころ」と理屈を深堀りする~

7. ​フクイチ・ALPS処理水の扱い~地上保管を継続する具体案~

8. ​説明・公聴会の前提が変わってきた、フクイチのALPS処理水

9. ​緊急アップ! 看過できない経産省の「説明」~ALPS処理水を「汚染水ではない」と断言して良いのか~

10.​ALPS処理水の扱い~私が海洋排水に反対する理由~

11.​ALPS処理水の海洋放出に反対~市場構造の変化も、核災害による被害~

13.​ALPS処理水の含有核種・濃度は、小委員会にどのように知らされていたのか

14.​場によって、発言と沈黙を使い分ける開沼博准教授のズルさ

15.​9月28日に、吉良よし子参議院議員の事務所で、ALPS処理水のレクチャーに同席

16.​ALPS処理水に関する公聴会の意義と役割~意見総数は179件~

17フクイチのALPSは、稼働率と除去率がトレードオフ


 10月26日に、原子力規制委員会のサイトに、10月23日の「面談資料」として、以下の文書がアップされました。

(リンク)​多核種除去設備(ALPS)処理水タンクの放射能濃度について

 この資料に、10月1日の「多核種・・・小委員会」で説明されていなかった情報が含まれていました。


処理水の内、特に濃度の高いものは推定6万5200t

 先ずは、振り返りです。

 10月1日に開催された「第10回・多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」では、ALPS処理水について、以下の説明がなされました。

 ALPS処理済み水の内、約6.5万tは、基準値(62核種の告示濃度比総和)の100~約2万倍。
 その原因は、①放射能濃度の高いSr(ストロンチウム)処理水を入れていたタンクに処理済水を貯留したこと、②既設ALPSの不具合でスラリー(廃棄物の一種)が漏洩し、処理済み水に混入したこと、による(下記のキャプチャ画像参照/第10回小委員会の資料3からキャプチャ。元のURL→ http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/osensuitaisaku/committtee/takakusyu/pdf/010_03_01.pdf)。




6万5200tの内訳と、放射能量推定

 小委員会に提出された資料3では、6万5200t(上キャプチャの棒グラフ右側、濃い桃色の部分)の内訳は不明でしたが、10月23日付で規制庁に提出された資料で判明しました。規制庁に提出された資料をキャプチャしたものを貼り付けます。


 処理水の中でも、濃度の高い6万5200tの内訳は、上の通りです。まとめます。

基準値100倍以上の水(Sr処理水用として使っていたタンクに貯留した分)
 :3万7700t(G3タンクエリアのD群+J1タンクエリアのA・C・G・N群)
 (7100t+8500t+9400t+9500t+3200t)

基準値・約2万倍の水(既設ALPSで漏洩したスラリーが混入した分)
 :2万7500t
(J1タンクエリアのD・E・F群)
 (9500t+8500t+9500t)

 核種毎の濃度の推定値は、以下の赤枠の部分です。




 参考までに、全β(ベータ)の値を基に、タンク群毎の放射能量を計算してみました(元の値が推定値なので、あくまでも比較を目的とした参考値です)。

J1・C群(Sr処理水用として使っていたタンクに貯留した処理水)
 :24.1㏃/L×1000L×9400t≒2.3億㏃
J1・D群(スラリーが混入した処理水):1千万㏃/L×1000L×9500t≒95兆㏃
J1・F群(同上):1万㏃/L×1000L×9500t≒950億㏃
(注:1t≒1000L)

 同一の基準で計算してみると、一目瞭然です。

同じ「ALPS処理水」でも、既設ALPSのスラリーが混入した水の放射能量は、Sr処理水用として使っていたタンクに貯留した水に比べて、2~4桁高くなっています。
 
 最新の水処理週報を踏まえた、ALPS処理水の内訳(推定)です。

10月18日時点のALPS処理水貯留量:約96万t

8月7日時点でタンクに満水になっていた処理水:88.7万t(調査対象)
 調査結果内訳・推定(約)
  ​告示濃度比の総和1以下:13.8万t​
  ​同1~5倍:32万t​​
  同5~10倍:20.4万t
  同10~100倍:16.1万t
  同100倍~:3.8万t
  同約2万倍:約2.8万t

 未調査の水:約7.3万t

 従って、ALPS処理水の二次処理を行うなら、「先ずは、J1タンクエリアに貯留している約2.8万tから」になります。
 私は、処理水を環境中に放出する事には反対ですが、それとは別に、「貯留水の濃度・放射能量は可能且つ合理的な範囲で低減させるべき」という立場です。溶接タンクであっても、漏洩の可能性は否定できませんし、タンクパトロール要員の被曝線量の関係もあります。

 
分かり難い情報公開

 今回、規制庁に提出された資料にタンク群毎の貯留量が掲載されていた事で、「Sr処理水用として使っていたタンクに貯留した処理水」と、「スラリーが混入した処理水」の放射能量を、参考値程度ですが比較できました。

 放射性物質を相手にするときは、インベントリ(放射能量)の把握は必須です。実測できないなら推測も止むを得ませんが、タンク群毎の貯留量は分かっている事なのですから、小委員会に資料を提出する時点でセットにして欲しかったです。

 今回の一件で改めて痛感したのが、「フクイチに関する情報の集め難さ・分かり難さ」です。

 東京電力・経済産業省・原子力規制委員会・福島県と、4つのWebサイトから、関連する情報を収集し、突合しなければいけません。公開されていない情報が、記者会見で、質問に答える形で説明される場合も有りますから、月曜・木曜の定例会見の動画も必ず視聴しなければなりません。

 東京電力は、定例記者会見を開催しているにも関わらず、福島県や経産省の会議で説明した資料は会見で出さない事はしょっちゅうです。原子力規制庁の面談でも外に説明しない資料を提出し、その資料は規制庁がアップするまで、外部からは分かりません。

 情報公開が一元化されておらず、情報の分析以前に、情報を知ることに多大なリソースを費やさざるを得ないのが現状です。私も、プライベートな時間をネットでの検索に当て、何時間もかかることが有ります。

 記者会見では、フリーの木野龍逸さんやおしどりマコさんが情報公開の一元化や、記者会見を開催している事の意義を度々問い質していますが、東電は、「~で説明した分はネットに公開している」「ご意見は承ります」と答えるばかりで、ノラリクラリと逃げ回っています。大手報道機関は、質疑を見ているにも関わらず、その遣り取りを紙面・番組では取り上げません。大手報道機関も、複雑で分かり難い東電のやり方に間接的に加担していると言えるでしょう。

 情報公開が一元的になされていない事については、経産省も、規制委員会も、、国権の最高機関たる国会も、原子力災害対策本部長たる内閣総理大臣も、何ら、東電を指導していません。


​本来の目的の為に、これからも行動を​

 本来の目的は、情報を知ることではなく、情報を基に考える事です。東電や原子力複合体(原子力ムラ)は、入口の段階でリソースを消耗させて、関心を持つ報道関係者や国民を疲弊させ、諦めさせようとしているのではないかと邪推すらしてしまいます。

 東電のやり方には負けまいと思って、私は日々、ネットの情報を確認し、会議の傍聴に行き、吉良よし子参議院議員にレクをお願いしたりしているのですが、果たして、どの程度の成果が上がっているのでしょう。なかなか、客観的に判断する基準が無いのが困りものです。

 疲れる事ではありますが、ここで止めたり諦めてしまっては、3.11を止められなかった「昔の主権者」に戻ってしまいます。主権者として、それだけは、やってはいけません。
 今後も、出来る事は続けていきます。


春橋哲史(ツイッターアカウント:haruhasiSF) ​​​​ ​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

※11/7 文章を一部修正





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Last updated  2019.09.11 01:44:55
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