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元SF小説家・春橋哲史のブログ(フクイチ核災害は継続中)

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2018.10.26
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カテゴリ:反原発・脱原発
今回は、久し振りに、第一原発事故の被害者・避難者の声を紹介します。

 本来なら、避難者・被害者の声はもっと頻繁に紹介しなければいけないのですが、​​​​​ブログを書くリソースにも限りがあり、オンサイトを優先している関係上、どうしても頻度は下がってしまいます。申し訳ないと思っています。

 金曜行動へは、毎週、参加しています。10月26日も、希望のエリアと、議事堂正門前でスピーチしました(場所は当記事末尾に地図を掲載)。

 この日は、希望のエリアで最初にスピーチさせて貰い、福島原発さいたま訴訟(フクイチ事故によって埼玉県内に避難した方達が、責任の明確化と損害賠償を求めて国と東電を相手取って起こしている訴訟)の報告集会で配布された原告側意見陳述書を基に、世帯番号16番の原告の訴えを紹介しました。

 配布された資料には複数の陳述書がありましたが、時間的な制約も有るので、スピーチで紹介できるのは一件だけで、且つ、概要に留めざるを得ませんでした。
 又、本人が特定されることを避ける為、具体的な地名も伏せて「中通り」と曖昧にしてスピーチしました(「中通り」の場所は当記事末尾の地図を参照)。

 尚、「福島原発さいたま訴訟」の23回口頭弁論は、10月31日・水曜日14時から、さいたま地裁101号法廷で行われます。傍聴希望者は13:20までに、さいたま地裁B棟前に集まることになっています(さいたま地方裁判所は、浦和駅・徒歩10分)。実質的には、13時半までに来れば大丈夫でしょう。

(リンク)​福島原発事故責任追及訴訟 第23回 口頭弁論のおしらせ​(支援する会のサイト)

(リンク)​10月26日の希望のエリアのツイキャス録画​(私は24分40秒~)

 私が冒頭で取り上げている、フクイチの10月18日時点の汚染水の数字は、​こちら​(リンク)。

 
====さいたま訴訟・16番の原告の意見陳述書の概要、ここから====

 原告は、生まれて以来、一時期を除いて、ずっと福島県内で生活しており、2009年からは中通りに転居し、長女と暮らしていた。
 原告はケアマネージャーと介護福祉士の資格を持っており、福祉関連の団体に勤務していた。平日はフルタイムで仕事をし、日曜日と休みの土曜日は長女と公園に遊びに行くなどして過ごしていた。
 季節ごとのお祭りにも参加して地域の人達とも交流し、お米や野菜は、実家から送って貰ったり、近所の人から分けて貰ったりしていたので、それほど、買う必要が無かった。
 原告の母親は、福島県内の実家で親族と共に生活していた。養鶏場の仕事を手伝ったり、カラオケなどで近所付きいを愉しんでいたが、夫や、その他の親族が相次いで亡くなった頃から、様子がおかしくなり、散歩に出ても帰れなくなるなど、認知症の症状が出るようになった。

 このような生活を、大震災と原発事故が襲ったのである。
 3月11日当日、原告は、入居の手続き中だった県営住宅の下見に行き、郵便局で転居費用の納入などをしている最中に地震に襲われた。すぐに、当時1歳半だった長女を保育園まで迎えに行き、帰宅したが、当時暮らしていたアパートの中はぐちゃぐちゃであった。
 テレビやラジオの情報を通じて、原発事故の発生と、放射能漏れを知った原告は、常にマスクをして生活するようになり、必要以外は外出しないようになった。部屋は常に閉め切り、エアコンを使わないようにハロゲンヒーターを購入したりもした。
 保育園は原発事故発生後、1週間ほどして再開した。原告は介護関係の仕事であった為、変わらず出勤する他なかった。保育園では、子どもを室内で遊ばせているようだったが、原告は、長女の事が心配でならなかった。

 その内、保育園の同年齢のクラスの子が母子避難を始めるようになり、2011年の8月頃には、クラスの半数以上が新潟や山形へ避難していった。原告は、近所の公園や、主要道路付近がホットスポツトになったことを知り、長女の為にも避難しようという思いが強まっていったが、その一方で、隣近所の人間関係や、学生時代の交友関係を失う事への恐れ、又、新たな地域で人間関係が全くない所で生活していく事への見通しが持てないのも現実だった。新潟に避難した友人からも誘われたが、土地勘も無く、雪も多そうで躊躇した。
 それでも、原告は2011年の8月頃には、「子どもを守るのは親しかいない。娘に、障害や疾病が発生した時に後悔したくない」との思いから、避難する事を決意し、避難先として、1年半ほど居住した事のある埼玉を選んだ。勤務先の所長に避難の事を伝えたところ、所長からは「母子家庭で大変だろうから、せめてボーナスを貰ってからにしたら」と言われ、その好意に甘えて12月下旬まで勤務することにした。

 当時、軽度の認知症を発症していた原告の母親は、グループホームに入居していたが、原告の兄に世話を託すのは難しいと考え、一緒に連れていく事にした。
 原告は事前に、埼玉県の自治体の窓口に出向いて手続きや相談を済ませるなど、入念に準備した上で、20111227日に、車を運転し、長女と母親を連れて埼玉県へ向かった。家財道具の配達は引越し屋を手配した。家財道具の積み込みに約2時間、車の運転に約3時間を要した。
 原告の母親は、避難を拒否はしなかったが、自宅の畑や庭の草木、氏神様へのお参り等を気にしており、福島に思いを残しているようであった。

 原告が埼玉県で入居したのは、県が原発事故避難者の為に提供した住宅で、築年数が古かったが、家賃は不要だった。原告は2012年2月からパートの仕事を始め、4月には長女も保育園に入れた。
 しかし、福島県の生活とは違って、お米や野菜は購入しなければならず、最初は買い方も分からず、苦労した。又、2012年9月からは家賃も発生するようになり、駐車場代も必要となった。

 要介護1の認定を受けていた原告の母親は、原告がパート勤務を始めると同時にデイサービスに通うようになった。以前と同じように散歩にも出るようになったが、迷子になって戻れなくなることも何度かあり、原告は、幼い長女をおんぶして探しに行かなければならなかった。そんなときは、原告が母親をきつい言葉で責めてしまう事があり、その口調が幼い長女にまで移ってしまった。
 2014年5月には、原告の母親が一泊野宿してから帰ってくるという事もあった。
 そして1211日にも、原告の母親は、行方が分からなくなった。原告は、今回もひょっこり戻ってくるだろうと思っていたが、この日の午前8時半頃、原告の母親は、横断歩道で車にはねられ、死んでしまっていたのである。
 当時4歳の長女を連れて、原告が遺体と対面した際、長女は、事情を知ってか知らずか「ばあば寝てるね」とぽつりと言った。

 原告は、自分の母親に無理な避難を強いたのではないかとの思いを募らせている。そもそも、原発事故が無ければ、埼玉に避難する事も、認知症の入り始めていた母親を連れてくることもなかったのだ。原告は、自分の母親にきつい口調で当たってしまった事、母親が縁もゆかりもない土地の冷たい道路の上で息絶えた事に、本当に苦しい思いを抱えている。
 
 埼玉県に避難して以来、原告は自分が避難者だとは話しておらず、隣近所の付き合いも薄いもので、車のボディーに悪戯されるなどの被害にも合わなかった。だが、周りから目立たないように暮らし、以前からの人間関係も一切が切れてしまっている。
 
 埼玉県に避難した時、一時保育の預け先で長女が大泣きした時には、生後6ヶ月より楽しく通っていた保育園から、長女を引き離してしまったことを思わずにはいられなかった。長女は、ホールボディーカウンターや、エコー検査、尿検査を受けている。福島県立医大の検査の結果、嚢胞が増えていたこともあり、長女の健康について、不安を募らせている。
 原告は、今も働いているが、既に避難者関連の支援は受けていない。今後、長女が成長し、学費等が必要になった場合の経済的な面も心配である。

 原告は、放射線の影響を心配する事の無い、嘗ての自然豊かな環境と、皆で子どもの成長を見てくれるような共助関係のある生活環境を取り戻せるものなら取り戻して欲しいと願っている。


====意見陳述書の概要、ここまで====


福島県の地域別名称




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​​​​​春橋哲史(ツイッターアカウント:haruhasiSF)





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Last updated  2018.10.26 22:24:27
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