【猿のごとく読み、人のごとく考える・その369・362冊目】『キューポラのある街』早船ちよ著
【猿のごとく読み、人のごとく考える・その369・362冊目】 ・紹介する本【中古】 キューポラのある街(上) フォア文庫/早船ちよ(著者),鈴木義治(著者) 【中古】afb ・サノーさん一言コメント「高度急成長期前の、日本の情景。ジュンが体験する子供と大人の境界線」【サノーさんおすすめ度★★★★☆】・ウノーさん一言コメント「いろいろ不便だったから、人の絆は強かったのかもしれません。中学3年生の視点から、昭和の世界を楽しみましょう」【ウノーさんおすすめ度★★★★☆】 ・サノーさん、ウノーさん読書会 サノーさん(以下サ):「キューポラ」とは鉄を溶かす溶解炉のことだ。ウノーさん(以下ウ):埼玉・川口はすぐ近所ですが、昔は「鋳物の街」だったんですね。サ:いまでもその面影は若干あるが、キューポラのある風景は、マンションの建つ風景へと変貌した。ウ:主人公は、明るくて、可愛くて、賢い、中学三年生のジュンちゃんです。サ:大ヒットした映画版での主役は「吉永小百合」だ。ウ:イメージにぴったり、というか小百合さんの為に書かれたシナリオみたいです。サ:やっぱり歴史と記憶に残る役者には、こういうきっかけとなる「作品」と出会う「ご縁」があるわけだ。ウ:ジュンちゃんが同居していねハナエさんの出産に立ち会う場面は、息をのみました。サ:生まれてくる命、それが「この世に出で来る瞬間」が、中学生の多感な見地から、見事に描き出されている。ウ:伝書バトを巡る「事件」も、当時の情景、当時の世情が楽しめます。サ:子供が考えること、遊ぶこと、楽しむことは、現代とそれほどの差はない。違うのは、ツールや情報量、選択肢の数だ。ウ:進路の悩み、親への不満、友達との友情も、現代とはそれほど変わりません。サ:こういった作品によって、「変わらないこと」「変わったこと」を楽しみながら知るのは、読書ならではの楽しみだといえる。ウ:当時の様子を連想しながら、「いま」と比較する。それが楽しいのは、その作品が持つ輝きが、褪せないからです。【了】http://amzn.to/2FsdbU6