「ゲゲゲの女房」 【武良布枝】
最近、この本を「原案」にした朝ドラが民放で再放送されたのを見て、興味を持った。 ドラマは、この本だけでなく、この本に何度も引用されている水木しげるの『僕の一生はゲゲゲの楽園だ』を元にしているらしい。 ただし、あくまでも「原案」なので、ドラマと実際とはずいぶん違うようだ。ドラマでは兄夫婦はずいぶんいい加減な人間に描かれていたが、実際はそうではなかったようだ。 アシスタントとしてつげ義春と池上遼一をモデルにした人物がドラマに登場していて、この二人のことはこの本でも触れられている。ドラマで柄本佑が演じた菅井という人物については触れられていない。この人にもモデルはいて、ドラマでは中年になって作品が入賞したがマンガ家として独立することはなかったことが描かれているが、実際そういう人がいたらしい。 不思議なのは、この本で触れられている南伸坊に相当する人物がドラマには登場しなかったこと。ドラマでは、「ガロ」を元にした「ゼタ」に関するところはフィクションが多かった。 また、水木しげるは体調を崩すまで喫煙者だったことが書かれているが、これはドラマにはなかった。時代を考えれば吸うのが当たり前だったと思うのだが、喫煙シーンそのものがダメなのだろう。 文章は読みやすく、水木しげるのことを知らなくても興味深く読める。