カテゴリ:その他雑考
題材は北欧の神話です。
女巨人アングルボザの亡骸がありました。そこに通りかかったのは奸計の神ロキ。 ロキは、アングルボザの死体の心臓を食べてしまいました。 するとロキは男であったにもかかわらず身ごもり、3体の子どもを生みました。(北欧の神話は性的に奔放な神々が多いです) 一体がフェンリル。 一体がイェルムンガンド。 一体がヘル。 北欧の最高神オーディンも逆らえない運命の女神ノルンは、この世の終末戦争・ラグナロクで彼らが世界を滅ぼすと予言しました。特に、オーディンはフェンリルに食い殺されると予言しました。 そこで、神々は彼らを始末することにしました。 ヘルは、女怪。死者の世界ニヴルヘイムに送られました。そして死者の国の主となり、現在地獄を意味する「Hell」の語源ともなっています(地獄と言うよりは暗がりの国といった感じですが)。最終戦争ラグナロクのときに死者を引き連れて攻め上ります。 イェルムンガンドは蛇でした。海に捨てられましたが、やがてどんどん大きくなり、ついには世界をぐるりと取り巻いて自分の尾を自分で加えるほど巨大な世界蛇となりました。こちらは最終戦争ラグナロクでトール(Thursday)と戦い相打ちとなります。 さて問題がフェンリル、彼は狼です。フェンリルは口を開けば下あごが大地に、上あごが天空に届き世界を飲み込むとさえ言われたまさに巨狼。しかし神々も彼を殺すわけには参らなかったようです。 そこで、なんとかしてフェンリルを縛り付けておこうとしました。 神々は最初、革の戒め「レージング」を作って、「力試しにこれをつけて引きちぎってみろ、ちぎれればお前の名声は上がるだろう」と挑発しました。 しかし、フェンリル狼は挑発に乗ってレージングをつけさせました。フェンリル狼は簡単に引きちぎってしまいました。 驚いた神々はレージングの倍強い「ドローミ」(筋の戒め)を作ってやはり挑発しましたが、フェンリル狼はこれも引きちぎってしまいました。 神々は困ってドヴェルグ、つまりドワーフの国に助けを求めました。ドワーフは地下に住み、物作りには高い能力があります。 そこでドワーフが作ったのが「ありえない鎖」こと「グレイプニル」。猫の足音やら山の足、女の髭といったもの6つを集めて作った(おかげで今それらのものは存在しなくなった)紐のような鎖でした。 さて、神々は「こんなひもも切れないなら、お前など怖くない」などとフェンリルを挑発しました。 しかし、フェンリルは狼ではあってもバカでもありません。鎖につなぐのが3度目、しかも持ってくるのがいかにも強力そうな戒めではなくひも。さすがに「なんかおかしいぞ」と感づきました。こいつらはもしかして力試しとかじゃなくて、自分を縛っておきたいんじゃないか?ひもに魔法でもかけてあるのかと疑い始めました。でも、だからといって拒否すると確実に笑いものにされる・・・。 フェンリルは「自分を騙しているんじゃないんだな?騙していないと言う証拠に自分の口の中に誰か右手を入れろ」と要求してきました。そこで名乗り出たのがティール(Tuesdayの語源となった戦いの神)。 結果は見えたとおり。フェンリルはグレイプニルに縛り付けられた上に剣であごを機能されなくされ、ティールは右手を失いました。 ちなみに、最終戦争でフェンリルはこの戒めから開放され最高神オーディンを食い殺しますが、オーディンの息子ヴィーザルに顎を裂かれて果てます。 さて、この物語からどんな教訓をあなたは得ますか? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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