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碁法の谷の庵にて

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2013年04月26日
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カテゴリ:囲碁~それ以外
将棋電王戦、私も見ていました。

囲碁で有名(?)な私ですが、将棋も指せますし、序盤の深遠なやり取りはわかりませんが(囲碁ならまずまずわかるのでやっぱり棋力差は大きい)、解説聞けばなるほどと楽しんでみられるくらいのレベルはあるつもりです。

電王戦を見始めたのは3局目からでしたが、個人的に3局目(船江恒平五段vsツツカナ)が一番面白かったですね。
船江五段、ぶっちゃけ名前を知らなかった(ごめんなさい)ですが、ファンになりました。


結果への感想です。
最終局に投入された三浦弘行八段は、三浦八段はA級棋士でタイトル経験者。先日のA級順位戦も7勝2敗で、挑戦者になった羽生三冠を倒しています(渡辺明竜王と橋本崇載八段に負け)。
紛れもないトップ棋士の一人(日本囲碁界で言ったら山田規三生九段くらいでしょうか)ですが、敗れたことで、最強プログラム≧棋士の構図は鮮明になったように思います。
むろん棋士側も羽生善治三冠・渡辺明竜王・森内俊之名人と言った「切り札」を残しています。切り札の他、三浦八段同様のA級棋士も他にも何人もいますし、レーティングでは三浦八段も20位(船江五段で30位)。他にも強い棋士はいるんだ、と言うことは一応立たなくはありません。(ちなみに「切り札」は3人とも出場には消極的だったとのこと)
とはいえ、彼らが出てくれば勝てるか、と言うと・・・内容的にも、終盤には差がはっきり出ていたし、敗因もよく分からないだけに、少なくとも楽観的予測は困難でしょう。
結果的にはビッグネームを温存して、一応の面目がまだ保たれているという形になっていると分析が正しいように思います。


今回の電王戦、興業として1回限りで切り取って判断すれば、まずは大成功ではないでしょうか。
おそらく、(やるかどうかわかりませんが電王戦を開いたとして)次回か次々回あたりまでは同様か、と思います。

ただし、その数回程度のブームの後、「プログラムに勝てなくなった」将棋界が生き残っていけるかはかなり微妙です。
負けたなら負けたで最強プログラムに勝てる棋士を養成すべきだ、と言うのはぜひそうであってほしいしそれを目指すべきだと思う半面、その通りの結果が出せるというのは理想論と言わざるを得ないでしょう。
将棋のプロ棋戦も「最高峰の内容による棋戦を見せる」と言うよりも、「あくまでも人間同士の競技」としての色彩がどんどん強くなっていくことは避けられないかと思います。

そうなった時に、将棋界はどう変わっていくのか。
ファンの多くがプログラムに勝てないのを「単に人間vs車のような異種格闘技戦に負けただけであって、魅力は失われておらず、今後も魅力あるコンテンツとして利用する」と捉えることができるか。
楽観的な見解もありますし説得力はそれなりにあると思いますが、残念なことにしばらく経ってみなければわかりません。
私自身、今囲碁世界戦を追っていないのも、忙しさ(追ってた頃は学生だった)ももちろんですが日本勢がまるで勝てないことと無縁ではありません。学生だった7年前なら「勝てなくなっても世界戦を追う」と言っていたでしょうから、今そう思っていても自分がどうなって行くかはわからないものではないかと思います。
もちろん、第1回電王戦では、引退したとはいえ米長邦雄永世棋聖が敗北した以上、プログラムの実力がプロに匹敵するものになっていたことは将棋連盟も分かっていたはずで、棋士たちの敗北も(考えたい事態ではないにせよ)想定の範囲内で、それを前提に電王戦に棋士を派遣しているはずで、その場合のビジョンもあると思うのです。

また、日本において、将棋界と囲碁界はシステム的にかなり近似します。
電王戦後の将棋界がどうなっていくかというのは囲碁界にとっても貴重な先例であり(現状、革命的なことが起こらない限り5年ではプロの壁は破れないと見ます)、かつ今後の対応の試金石として強く注目されます。
将棋界の今後の動向に注目したいと思います。


また、電王戦は演出的に飽きさせなかったという意味でもよかったと思います。
ナレーションの人はもと将棋プロ志望だったという声優の岡本信彦氏(「とある魔術の禁書目録」の一方通行(アクセラレータ)役で有名)。岡本氏を最初から予想していて、ナレーションの声が岡本氏に聞こえなかったのですが、出てきてあ、やっぱり岡本氏だったのねと微妙ににやっとしたり、声優ってすごいなぁと思ったことを覚えています。岡本氏の将棋の方も橋本崇載八段(前年A級棋士)に飛車落ち(囲碁なら三~四子程度とされる)で勝ったというのですから、記念対局補正(※1)の可能性を考えても相当な腕です。
他にも、つるの剛士氏(羞恥心、ウルトラマンダイナで有名)、柴田ヨクサル氏(ハチワンダイバーの作者)をはじめ、アマでも強いレベルの有名人(記念対局補正にせよ、二人ともA級棋士を飛車落ちで倒している)が普及に協力してくれるのは大変にありがたいことと言えます。
むろん、こうしたエンターテイナーは狙って作れるものではありませんが・・・


もう一つ興味深いこととして、ニコニコではプログラムを使って棋譜を見ている人たちが多数いるようだ、ということです。
ニコニコでの中継では、強豪プログラムであるボンクラーズの形勢判断は常に画面の上に出ていて、観戦者の多くが一喜一憂したコメントを出していましたが、それだけではありません。
市販されている強豪プログラムの形勢判断などを借りながら対局を検討していると思しき人たちが、「自分の激指だと形勢はこう」みたいな感じでたくさん書き込んでいるのです。プログラムを使ってみている人がいる、と言うこと自体は知っていましたし、一人がたくさん書き込んでいるという可能性もあるでしょうが、これも一つの楽しみ方として注目しています。
ハチワンダイバーでも、カードゲームの応用で将棋のほとんどわからない人間が、並の真剣師では勝てないレベルで戦え、しかもそのバトルの様子が人間バトルに準えて画像化されるというものがありましたが、プログラムの力を借りることによって、棋力なしでは視覚化されにくい将棋の盤上の様子が再現できるようになれば、かなりおもしろくなりそうです。
現在のチェス世界最強はコンピュータでも人間でもなくコンピュータと人間の混成チームだそうですが、解説の最強も人間プロの解説とコンピュータの混成チームにできないか、時にはコンピュータと人間の判断でドンパチというのも一つの見どころにできる(第3局でもろに評価が分かれているようなシーンがありましたが・・・)という訳です。

現状の囲碁プログラムの力ではこれは困難と言わざるを得ないでしょうし、モンテカルロ法との相性もかなり悪そうに見えるのですが、将来的に一つの注目すべきあり方と捉えてよいかなと思います。




さて、将棋電王戦を見て、私自身も囲碁界のプログラムと打ってみたくなりました。
そこで、天頂の囲碁4(プログラム「Zen」が入っている)を買ってきて何局か打ってみました。

その結果を次の記事に書きたいと思います。


※1 囲碁では、記念対局などだと、プロはしゃかりきに勝ちに来ることは少なく、基本的に本手だけ打って丁寧に応対されまけたらそれまででいい、と言う対応が割と多く、プロがしゃかりきに勝ちに来るとハンデがどんどん重くなるので、そこそこ強いアマチュアの方がプロよりたくさん石を置かせるという現象があります。記念対局で林海峰に5子(将棋なら二枚落ちくらい)で勝った趙治勲は、入門したら入段前の加藤正夫に星目より打ち込まれた(将棋なら8枚落ちくらい)りしています。
本腰を入れだしたら記念対局での手合ではどうにもならない、と言うのは将棋界でも指摘されています。





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最終更新日  2013年04月26日 19時02分43秒
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