カテゴリ:真空管
TUNGSRAMのP28/500という真空管を紹介します。
とても頑強な造りに見えます。 先日ご紹介しましたP27/500という真空管と型番が僅か1番違いですが、全く違う球です。 トップにうっすらと印字が残っています。 TUNGSRAM P28/500 7.5V 600V このマイカ板の切り方は、いかにもTUNGSRAMですね。 プレートからの配線は外側を通しています。 放電対策でしょうか。 フィラメントは2点吊りM型です。 規格に関しては真空管(Electron tube) 規格表データベース「P28/500」規格表が参考になります。 プレート損失35Wと書いてありますが、常時電流を流すA1級であれば25~28W程度とみて良いかもしれませんね。 とにかく情報が少ない球です。 ではこの謎球を、etracerで特性を測ってみます。 抑えめの500Vで28mAあたりで。 【1本目】うっすらトップの印字が残っている Ef=7.5V, If=1.21A Ep=500V Eg=-26.9V Ip=27.62mA rp=9505Ω(この数値は疑問で、4000Ωくらいと思われます) gm=1386μS(この数値は疑問で、もっと高いと思われます) μ=13.6V/V 【2本目】トップの印字は殆ど消えている Ef=7.5V, If=1.21A Ep=500V Eg=-26.9V Ip=27.76mA rp=10158Ω(この数値は疑問で、もっと高いと思われます) gm=1349μS μ=13.7V/V 実は、測定結果(Egに対する各数値)が全く落ち着きませんでした。何度か試しましたが、etracerの測定誤差なのかもしれません。 rpはもっと低い(4000Ωくらい)ように思います。 500V以上の大電流域で動作不安定ですが、プレート損失を抑えて使うなら全く問題無さそうです。 古い真空管は測定結果がブレることがあります。 実際に使っていると安定してくるという話もありますね。 500Vで28mA、14kΩの負荷であれば1.2Wを得られます。 フルスイングの上限は300V45mAで下限は680V16mA程度です。 測定して色々わかってきました。 古典管ゆえ、あまり高電圧も掛けられないことを前提にしますと、「大柄だけど出力1.2Wのアンプ」として組むしか道は無いという感じです。 もっと負荷を重めにロードラインを立てて使えば歪みは多くなりますが1.6Wは出ます。 でも1Wもあれば小さい部屋と95dB近い能率のスピーカーで静かに音楽を聴くには十分すぎます。 また、rpは高いのでNFBは必須のように思えます。 この球は規格表では35Wのプレート損失をもっていますが、実際はrpが高く且つEp最大600Vという規格のため、このプレート損失を使い切れる設計とは云えません。 アイドリング少なめのAB級プッシュプルで使う用途に設計されたものかもしれません。 A級シングルでは大変気難しい球ですが、これはこういうものだと割り切って(諦めて)使うしかないかもしれません...。 見た目の格好良さに惹かれて勢いで買ったもの、A級シングルアンプには使いにくい変な球を買ってしまったなと後悔していますが、あまり出回らない珍しい球なのでよしとしましょう。 追記: 因みに4043C(CV1448)という真空管にも一寸似た特性という印象を受けました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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