身を削る、または原田芳雄について
役者の原田芳雄が亡くなった。個人的に昔から好きな俳優だった。個性的でいて一見、無頼派に見える風貌の裏でその実は優しく、若い役者仲間の面倒見もよかったらしい。新聞を見てもそう書いてあったが、彼の住んでいたところは今の自分と犬の散歩道の途中にあるらしい。今夜、行きつけの赤ちょうちんの女将に教えられて知った。自分の邦画は黒沢で終わっているが、彼が黒沢の作品に出なかった(呼ばれなかったことは)意味があるのだろう・・・黒沢の好きな俳優とはひどくヨーロッパ的な俳優かあまりにも日本的な俳優のコントラストでしかない。「生きる」は日本的な背景を描写しつつ、お茶漬けではない、バターのような意志の粘りが感じられる。だからか,黒沢の外国の評判は良い。名優としては歴史に刻まれないかもしれないが、ある時代のにおいと人の記憶に残る稀有な俳優であることは間違いない・・・本日は授業も快調。最近はS君と格闘・・・少しでも彼が気づいて、くれればと思いながら・・・「これでも真顔です」というSの本当の真顔が見てみたい・・・