カテゴリ:「本」の紹介
◎『ほんもの』
・白洲 正子 ・新潮社 ~繰り替えし発刊されつづける「白洲本」! その多くに目を通してきたが、本書2014.2の最 新刊。 何と表紙は、かつての、青山二郎装幀を使って!! (文中写真もあり) 副題は「白洲 次郎のことなど」で、巻末には、娘、長女・牧山桂子の「あとがき」、251頁。 これまでの正子の「行状」と重なりもするが、小林秀雄・吉田健一・秦秀雄・梅原龍三郎・洲 之内徹、そしてもちろん青山二郎との交流談、「銀座に生き銀座に死す」坂本睦子を巡る 男たち(固有名詞)が、あからさまに(初めて?)明かされている!! また、成田三樹夫や笠智衆 ら「だいすき」な俳優、「能の醍醐味」などが、「韋駄天」口調で綴られる。 ・都会の中で恥も外聞もなくふるまう人種を、イナカモンと呼ぶのである。 ・(北野)たけしさんは、オツにすましたババァの見物人が気に入らないようだが、たまには私 みたいな非文化的ババァもいることを、忘れてほしくないね。(「能の醍醐味」) ・年をとると、平野屋さんで鮎を食べるのも、これが最後ではなかろうか、と毎年のように思 う。花を見ても、月を眺めても、そのような想いは、年とともにいよいよ深く、こまやかなもの になっていく。これを老人に与えられた神の恩寵と思って感謝しているのだが、私はよほど 楽天的にできているのだろうか。 ・考えてみると、私は今まで殆ど過去を振り返ったことが なかった。(中略)私を支えているのは過去の経験しかないことに気づいて、愕然とするので ある。 ・あたしは生来の野蕃人、神代以来ハダシで野山を駆けめぐった獣面人身の薩摩隼 人なのであろう。・・・白洲次郎との「付きあい」から生きた「昭和」、そして「なぜ今白洲次郎 なの」か、「次郎の墓」まで語る。そしてひとこと! 「まぁ、カッコいいでしょうよ。でも、家では、 あんな弱虫いなかった。」と! 、、、この辺は、阿川佐和子との「対談」と併せて「愉しんで」!しま って下さい!! 「あとがき」~正子が亡くなってから、十五年が経ちました。(中略) 最後の砦 というか、良心というか、せめて親の事を平常心で、一歩引いた所から見ていこうと思いま す。 (中略) 平素から、お互いの悪口を、私が閉口する程言い合っていた両親ですが、ま ったく違う二人だけの世界があったのではないかと、この本を読んで思う様になりました。 (中略)阿川佐和子さんとの対談で、子どもはほったらかしと言っていますが、その通りで、結 果は、私をはじめ、碌な事になっていません。」と、結んでいる・・・!! (読了 2014.610) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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