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晴 陶 句 読

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2015.07.31
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カテゴリ:「本」の紹介
◎◎◎『文人たちの俳句』

・坂口 昌弘   ・本阿弥書店

~「単純に俳句を専業としない人を『文人たち』としたとのこと。」(毎日・書評 小島ゆかり氏)
だから、採りあげられた27人の中には、渥美清や初代・中村吉衛門も、そして「故人」でない

のは、寂聴さん、松本幸四郎さんだけ・・・。 漱石・寺田寅彦・夢二・らいてう・万太郎・清張
・安東次男・吉村昭・藤沢周平・寺山修司・小沢昭一・・・・。

それぞれ、プロフィールと、俳句との関わり、作品の俳句解説が簡潔でありながら、作者の人柄
を彷彿とさせる20数句の選句と筆致で各8ページほどに綴られ、惹きこまれていく。 240頁。

加えて、これらの俳句を通して筆者の思惟が勁く率直に、さりげなく挿入され、「文人」の姿
勢をも代弁し、昨今の時評や「界」への批評、作句の指南としても余りある。

・技巧に走らない率直な句は文人俳句の多くに見られる特徴である。
・子規、漱石、寅彦たちの多くの読書は俳句に反映されていて、底の浅い写生俳句ではな

かった。  荷風【戦ひに国おとろへて牡丹かな】 散文では理屈が語られるが俳句では美
意識を直に詠むことができる。 ・(吉右衛門)花を愛する心を俳句にとどめることは文人俳句
に特徴的である。 ・万太郎も夏目漱石と同じく小説よりも俳句に心の真実を残していた。

【死んでゆくものうらやまし冬ごもり】 ・今日の原爆や原発の問題と、リーマン・ショックのような全
世界的な金融不況の問題が五十年前にすでに(佐藤)春夫によって直視されていた。人類は

一体何をしてきたのかと。 ・俳句とは「美しくなければならない」「見えなければならない」「 
平明でなければならない」という参ケ条であり、(五所)平之助と(黛)執の特徴でもある。

・現代人は、不安定な政治と経済のせいで、いつも未来を信ずることができずに毎日を生き
ている。 (中略)叙情を失った詩歌俳句は、魂のない身体のようである。木下夕爾【月涼し

こころに棲めるひと遠く】 ・次男【この国を捨てばやと思ふ更衣】 ・渥美の俳句は(中略)
人間存在の深い哀しみを伝えている。 ・文学の評価は(中略)作品の多様性と批評の多様

性を理解する必要がある。 小沢昭一【ナイターや宰相だれになつたとて】 日本の政治は政
治家よりも官僚による官僚のための政治であることを暗に意味している。「心が自分に戻る

駄句にこそ私らしさがあらわれております」 ・(江國滋の中で、井上ひさしのことば)「日本人
には俳句と言う告白がある」といい、意表をついた卓見だと滋は同意している・・・この辺で

とどめます・・・いずれにしろ 、【俳句】にすることで、人間性がまさに表出することを謂って
いる!!  ゆかり氏「主観を控えた著者の筆には、一人一人の作者への静かな敬意が滲んで
いる。」と結ぶ。 ワタシの読みでは、選句の妙と著者の思索が充分伝わってきた書でした!!!






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最終更新日  2015.07.31 14:53:07
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