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12月22日(金)日本テレビ系金曜ロードショーにて上映 藤沢周平原作、山田洋次監督の「武士の一分」が大ヒット上映中です。このコンビによる3部作の第1作が、テレビで放映されました。映画のヒットにあやかったオンエアでしょう。ビデオに撮って観ました。 製作=2002年 日本映画 松竹配給 2時間9分。監督=山田洋次。原作=藤沢周平「「たそがれ清兵衛」「竹光始末」「祝い人助八」主題歌=「決められたリズム」井上陽水。 東北の小藩に仕官する清兵衛(真田広之)は、蔵の出納を管理する禄高50石の平侍でした。長患いの女房が死に、武士の体面上、借金をしてまで盛大な葬式を出します。家には耄碌しかけた母親と、2人の幼い女の子がいました。夕方になるとまっすぐ家に帰るので、同僚たちからは「たそがれ清兵衛」と揶揄されています。 京都から戻ってきた親友の倫之丞(吹越満)に、天下の動乱が近いことを知らされます。そのときは潔く百姓になるつもりでした。倫之丞の妹で幼なじみの朋江(宮沢りえ)が、離縁して実家に戻ってきました。朋江は1日おきに清兵衛の家にやってきては、家事を手伝ってくれます。 名君だった藩主が亡くなり、お家騒動が勃発。保守派が実権を握り、改革派が追放されます。改革派の剣客、善右衛門(田中泯)を討つため、小太刀の使い手、清兵衛に上意討ちが......。 公開当時、映画館で観ました。例によって、そのとき書いた感想を引用します。テレビで再見したときは、ビールやワインを飲んでいて、普段より涙腺がゆるんでいました。公開時より、さらに泣いたことを告白しておきましょう。 これはいい映画です。かなり泣けました。特に2人の娘、10歳の萱野(かやの)と5歳の以登(いと)の健気な姿は、涙なくしては見られません。親孝行で、武士の子女ですから、礼儀作法はしっかりしています。家事を手伝いながら、寺子屋で論語を習ったりする勉強家でもあります。葛湯を啜り、白湯(さゆ)で漬け物をゆがいて食べる貧しい食事も、不平を漏らさずに黙々と食べます。目頭が熱くなりました。 雪解けの川を餓死した百姓の死体が流れてきたりして、農民の生活もさりげなく描写されています。時代劇ですから、殺陣もあります。黒沢映画ほどダイナミックではありませんが、一応見せてくれました。桜が咲き、小鳥がさえずる牧歌的な自然もよかったです。幕末で、新しい時代の息吹きも感じられました。目配りのきいた脚本、といえるでしょう。 俳優の中では、善右衛門に扮する田中泯という人が、抜群の存在感で他を圧倒していました。とにかく凄味があるのです。真田広之、小林稔寺、その他の役者もそれぞれ持ち味を発揮していて好演といえます。昔ファンだった宮沢りえは、もう少しふっくらとしたほうがジュリーの好みなのですが、激痩せからの回復途上なのでしょう。 健全な時代劇として、現代にも通じるものがあり、多くの人に受け入れられるのではないでしょうか。山田洋次監督のツボを押さえた演出は、安心して見ていられます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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