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カテゴリ:映画
1月22日(月)新宿アカデミーにて。 マリー・アントアネット(1755‐1793)フランス国王ルイ16世の妃。オーストリアのマリア・テレジアの娘。1770年結婚。優美にして軽率,奢侈(しゃし)を好み,〈首飾事件〉などで世の非難をあびた。フランス革命の際,国王に反抗を勧め,オーストリアと通謀して国外脱出を企てたが失敗(バレンヌ事件)。反逆罪としてギロチンで処刑された。 事典ふうに書くと、こうなります。この王妃の名は、歴史で習うより、スティフン・ツヴァイクの伝記小説で知った人が多いでしょう。少なくとも、小生の世代の文学青年はそうでした。 制作=2006年 米仏日 123分。監督=ソフィア・コッポラ。原作=アントニア・フレイザー。出演=キルスティン・ダンスト、ジェーソン・シュワルツマン、ジェイミー・ドーナンほか 映画はマリー・アントワネット(キルスティン・ダンスト)がフランスの王太子に嫁ぐところからはじまります。フランスとオーストリアの絆を強くするための政略結婚でした。国境でフランス側の使者に引き渡され、まだ見ぬ王子のもとへ馬車の旅を続けるマリー。 このとき、マリーは14歳でした。同じ王室でも、オーストリアとフランスでは、典範、習慣が違うのでしょう。プライバシーのない生活に戸惑います。寝室まで、皇族や貴族たちが侵入してくるのです。食事も、衆人環視の中でとらなければなりません。 うわさ話に興じる貴族たち。娼婦を愛人にする国王。浮気も日常茶飯事のようです。腐敗した上流階級、いや俗物の集まり、と言ったほうがいいでしょう。豪奢な生活が続きます。シャンパンを浴びるほど飲み、いかにも高そうなスイーツをつまみます。 放逸な生活とアメリカへの軍隊派遣で、逼迫する財政。庶民は困窮します。暴動が起きたのは当然でしょう。群衆を前にして、バルコニーで頭を下げるマリー・アントワネット。フランス革命の前夜でした。 豪華なセット、と思ったら、実際にベルサイユ宮殿を借りて撮影したそうです。宮殿より、庭園が見事です。ルイ王朝時代の華やかなフランスがそこにはありました。王朝絵巻として、目を楽しませてくれるでしょう。 ただ、ソフィア・コッポラの演出が単調すぎて、ドラマが盛り上がりません。この手法は「ロスト・イン・トランスレーション」では成功しましたが、豪華絢爛たる絵巻物には合わないようです。風俗とファッション以外は見どころが乏しい、という評価は、きびしすぎるでしょうか。 「スパイダーマン」でお馴染みのキルスティン・ダンスト。苦手な女優です。というより、美の基準からはずれているのです。本作でも、熱演は認めますが、魅力を感じませんでした。 イギリスの王朝を描いたシェカール・カブール監督の「エリザベス」に較べると、本作はかなり落ちる、と判断しました。人間描写もさることながら、ヒロインを演じるケイト・ブランシェットとキルスティン・ダンストの差が大きいようです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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