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カテゴリ:映画
2011年1月18日(火)日本映画専門チャンネル 午後9時~11時15分 放送 東映セントラルフィルム(83年・95分)監督=川島透。脚本=鈴木明夫(金子正次)。出演=金子正次、永島暎子、北公次、もも、桜金造ほか たった1作で日本映画史に名前を残した男、それが主演の金子正次です。借金による自主制作ですが、完成後、本人はガンで死亡、33歳でした。せめてもの慰めは、本作の成功を見届けられたことでしょうか。 低予算の小品ながら、この映画はその年のキネマ旬報ランキング第3位に挙げられました。興行的にも成功したようです。特にマニアックなファンは、今では金子正次を神格化しているほどなのです。 異色のヤクザ映画というのが定評ですが、たしかにそれまでにないタイプの作品でした。日活ダイヤモンドラインのヤクザ映画とも違いますし、「仁義なき闘い」の実録路線、高倉健、鶴田浩二などの東映任侠路線とも違います。Vシネマのチンピラ映画でもありません。 一番の特徴は、アクションシーンがないことでしょうか。暴力的な描写がほとんどありません。それでいて、序列の厳しさや、セリフの端々に業界の符丁がさりげなく出てきたりして、妙なリアリティがありました。 低予算を象徴するようなルーレットシーンがありますが、その他はオールロケです。昭和の懐かしい街並みが拝見できるでしょう。新宿の裏町がある種の郷愁を誘います。それだけでも一見の価値はあるでしょう。 出演陣で見逃せないのは、永島映子でしょうか。この人の笑顔が観客を癒してくれます。ヤクザな亭主を愛し、子供を溺愛する女。この妻子のために一度は足を洗う主人公ですが、内に満たされぬものを感じ、再びヤクザの世界に戻ります。 ラストでは、一種切ない気持ちにさせられました。飛行機に乗れると単純に喜ぶ女の子。この母子に幸せあれ、と思わず祈ってしまいました。メジャーな大作も好きですが、こういう小品もたまにはいいものです。お薦め。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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