テーマ:TVで観た映画(3799)
カテゴリ:映画
制作=1958年 日本映画 93分 日活映画配給。原作=石原慎太郎。監督=舛田利雄。脚色=白坂依志夫。
出演=梅野泰靖、小林旭、柳瀬志郎、武藤章生、岡田眞澄、葉山良二、芦川いづみ、高野由美ほか 壮二、秋谷、沖津、戸田の4人は、麻雀をしながら、小遣い稼ぎの方法を話し合っていた。場外私設車券売り場、通称ノミ屋といわれるこの商売は、客を引くためにレースがゴールインしてもまだ券を売っていること、ノミ屋の仲間が競輪場から結果を知らせてくれるまでに五分の時差があること、この二つを利用し、仲間の一人が競輪場に張込み、結果を逸早く私設売場の仲間に報せて当った券を買占めるという方法を考えます。 こうして彼らは三十四万円を儲けました。が、ノミ屋には金の用意がなく、責任者の松居鉄太郎は二十万円だけを払い、残りは必ず渡すと約束します。しかし金は直ぐできるわけがなく業をにやした壮二たちは、鉄太郎の妹京子を誘惑、借金の人質としました。 太陽族の終点を描いたという石原慎太郎原作の映画化。この小説は発表当時、大きな反響を巻き起こしました。その多くは、その背徳性を非難するものでした。内容はまったく狂気の沙汰しかいえない若者の暴走をドライに描いたものです。 非難ごうごうの嵐の中で、わずかに三島由紀夫、川端康成などが擁護しました。批評性に欠けた二人の作家は、小説に潜む倫理性の欠如を見抜けなかったのかもしれません。あるいは文壇政治の力学が働いて、孤立無援の作家を助けたのでしょう。 映画は原作とは大いなる変更が加えられました。大衆に与える影響は映画のほうが大きいわけですから、当然でしょう。ぐっと大人しいものになっています。結果として、平凡な、そして中途半端な出来になりました。 前半のノミ屋を騙す件は、現代では成立しません。携帯をはじめ通信網が未発達な時代だからこそ、なり得たテクニックです。用意周到な電話トリックは、意外にスリリングでした。ちょっと簡単に成功しすぎるという疑問は残りますが。 後半の人質事件は、間接的な描写で、好感を持ちました。ベテランというか、職人監督ですから、その辺は心得ているのでしょう。脚本も同様です。派手な無国籍的アクション映画全盛のあの頃の日活に、こういう地味な作品もあったのです。 マイトガイ旭をはじめ、学生たちはいささか老けています。不良というより、怠惰な学生たちの暴走、そのくせ刑事事件になることを恐れるあたり、臆病な若者たちですから、社会への抗議、反抗といったものは見当たりません。 ラストは予定調和的な終わりかたで、B級映画としてはこういう落としどころしかないでしょう。全体に小粒で、俳優たちの中では、芦川いずみの可憐な可愛さだけが印象に残りました。点数の付けようがありませんが、あえて付ければ40点くらいでしょうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012年01月30日 19時26分57秒
コメント(0) | コメントを書く
[映画] カテゴリの最新記事
|
|