3週間の入院治療が終わって自宅治療になったのだが、退院時の状態から2ヶ月も期待するほど症状(血液検査と尿検査の数値)が改善されないので、10月16日から18日までの3日間、薬を変えて治療するために入院することになっていた。新しく使う薬も強い副作用があるので24時間監視が必要ということらしい。
ところが、入院前の10月1日の検査で数値がかなり良くなったことから、今までの薬での治療を継続して様子を見るということになった。薬の効果が少し遅れて出始めたのではないか、という見立てだ。
16~18日の3日間の入院はなくなった。そもそも入院中は日常の生活ができない日々になるので、妻と図って入院したつもりで2泊3日の旅行に当てることにした。以前から旅行をしたいねと話してはいたのだが、病状の先行きが判然としないのでなかなか決断ができなかった。長引く可能性が強い病気なのでぐずぐずしていたらチャンスがなくなるとも考えてはいたのだった。
スケジュール満杯の観光旅行なんて御免蒙りたいので、近場の一つの街で2泊3日を過ごすことにした。それで妻も私も提案した街は同じで、山形県米沢市ということになった。車で1時間半ほどしかかからないので、ドライブ旅行ということになった。
私の体調がどうなるか心配だったので途中休憩を2回ほど入れることにして、11時少し前に家を出て福島市経由の高速で午後1時半に米沢に着き、予約していた店で昼食をとった。せっかくの米沢なので、まずは米沢牛だろうとステーキランチということにした。昼食が終わってホテルに向かう途中、食事をする店の看板には必ずと言っていいほど「米沢牛」の文字が見える。「もしかしたら米沢には米沢牛しかないかもしれんぞ」という冗談が冗談ではなく夕食まで続くことになった。
ホテルで少しゆっくりして、日が傾きかけたころ散歩と夕食のために街に出た。建物の間から夕焼け空が見えて、何枚かシャッターを切った。そういえば、カメラ修行を始めた5月から夕焼けの写真を1枚も撮っていないのだった。わが家は広瀬川が北から南に流れる岸辺にあって、そこは広瀬川河岸段丘の最下部にあたり、西には何段かの河岸段丘、さらに上には仙台城跡がある青葉山丘陵があってなかなかいい夕焼けをみるのは難しいのである。車でちょっと出かければいいのだが、夕飯時と重なって食事を作らなければならない身には時間を取りにくいのである。これからはずっと早い時間に暮れるだろうから、撮影のチャンスはあるかもしれない。
夕焼けを見て、暗い街を少し散歩して、ホテル近くに戻ってある小さな店に飛び込んだ。ネットで色々調べたが、良さそうな店は予約が必要だったり、メニューが判然としなかったりして、諦めての飛び込みだった。予約していないので待たされたものの何とか夕食にありつけたのだが、その店も米沢牛の店で「しゃぶしゃぶ」を食べることになった。
旅の初日は、私たちにとって米沢市は「米沢牛の街」ということで終わった。問題は、癌で半分ほど切除した胃を持つ私には、いくぶん暴飲暴食の日となったということである。
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