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山行・水行・書筺 (小野寺秀也)

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小野寺秀也

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2024.10.17
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テーマ:街歩き(648)
カテゴリ:終活

 米沢市への小旅行2日目、観光スポット巡りはしないことにしていたのだけれど、米沢市と上杉謙信に敬意を表して上杉神社だけには行ってみようということになった。さいわい、米沢城本丸跡に建てられた上杉神社はホテルから歩いて10分ほどの近さである。30分くらいで観光は終わるだろうから、その後は市内をぶらぶらと散歩することにして9時半ごろホテルを出た。
 ホテルの前の道を南にまっすぐ7分ほど歩いて右に曲がれば上杉神社が見えてくる。観光客に交じって七五三参りの家族連れがちらほら見える。七五三参りの家族は両親と一緒だったり、母親だけだったりしたが、なぜか祖父母らしき二人がそろって一緒なのだった。たぶん、おじいさん、おばあさんの方が七五三参りは大事だとリーダーシップをとってのお参りなのだろうと眺めていた。
 上杉神社から隣接する上杉伯爵邸の建物を眺めに行き、そこでソフトクリームを食べて、今日の観光は10時ちょっとすぎにすべて終わってしまった。所要時間が最も長かったのは、ソフトクリームを食べるときだった。いい観光旅行である。
 街歩きといっても知らない街でどこを歩けばいいのか皆目見当がつかなかったので、昨夜必死になってネットで探した。米沢市の繁華街というアーケード街を写した動画を発見し、その場所を地図上でなんとか同定できたので、そこを起点に周辺を歩く予定にした。
 スマホのグーグルマップ画面を頼りに地図上のアーケード街に着いたはずなのに、家並みにアーケードがまったくない。その繁華街から入る細い路地や裏路地には酒を飲む店が立ち並んでいるという情報もあって、路地に入ると確かに飲み屋街になっていた。
 地図を読み違えたわけではないと、(地図上の)繁華街に戻ってみると、道のあちこちで工事をしている。道の拡幅工事である。まだ工事の始まっていないところの建物にかかるほど道は拡げられているので工事開始に合わせてアーケードは撤去されたのだろうというのが私の推量である。路地裏の写真を何枚か撮ってあっさりと街歩きは終了である。11時ちょっと前だった。
 私の地図の読み違いで、じつはどこかにアーケード街が残っているといいななどと思い、中小都市の繁華街は今やシャッター通りなどと言うニュースを聞くたびに残念ことだと考えたことなどを思い浮かべながら昼食に向かう。昨日は昼も夜も米沢牛で私にとっては明らかの食べすぎだったので、今日の昼は断固として米沢ラーメンを食べると決めていた。ホテルのすぐそばに米沢ラーメンの店があって、ネットで「地元の人しか知らないおいしい店」という情報もあったのでその店に決めていた。
 しかし、ネットで「地元の人しか知らない」という情報を仙台の私が見てその店に決めたというのは大いなる矛盾だろう。「地元の人しか知らない」という情報をネットに挙げた瞬間に「地元の人しか知らない」という情報は真から偽に変わる。などということをうだうだと考えながら歩いてその店に着いたのだが、開店は11時半でまだ15分もある。宿泊しているホテルのロビーで時間をつぶしてから店に入った。ラーメンは細麺で優しいスープのまったく私の好みにぴったりだった。ラーメンを食べながら二人でメニューを眺めていたら、どうもその店はワンタンも売りらしいのでワンタンも追加で注文した。今日も暴飲暴食に近づきつつあるのだった。
 正午にはホテルに戻ってゆっくりと食休み、その後は妻が見つけていた日帰り温泉に行くのである。この温泉は旅行前に妻がネットで見つけていた。「350円で入れるのよ!」 泉質など関係なく入浴料の安さで決まってしまった。
 ホテルから車で15分ほどの温泉施設はあまり混んでいないうえ、男湯には内湯、露天風呂のほかに寝そべった姿勢で入る露天風呂(これがとくに気に行った)もあってじっくりゆっくり時間が過ごせた。女湯は内風呂ひとつだけだったらしいが、一人だけでのんびり入浴できたと喜んでいた。
 帰り道、コンビニによって芋焼酎とちょっとしたつまみを買った。夜、眠れないときのための準備である。ホテルではしばらく夕食を何にするかで妻と話し込んだ。米沢牛の焼肉の店も有力候補に挙がったが、また食いすぎるのではないかと心配する私の意見が通って、古くからやっているうどんの専門店ということになった。
 このうどん店が大当たりだった。まず、古くからやっているというそのたたずまいは内も外も実にクラシックなのである。大柄なご主人(若い人と二人で店をやっていた)が笑顔で応対してくれて、少しは贅沢しようとうどんと天丼のセットのスペシャルというのを頼んだ。天丼の飯は半量なのだが、大きな海老天が二つと野菜の天ぷらが器からこぼれそうになっていた。少し濃いめの天つゆがかけられている。うどんは関西のうどんなどに比べたらいくぶん細目で良い出汁の味がした。天丼もうどんもどこかとても懐かしい味がした。どことなく味が濃いのだが、昔のように塩辛いわけではない。妻もとても気に入ったようだった。私にとっては天丼の分が食いすぎだった気がする。うどんという選択なのに昼のラーメンの時と同じく暴飲暴食に近いことになってしまった。
 ホテルに帰って、7時ころには私は寝入ってしまった。12時ころに起き出して、お湯割りで焼酎を飲み、また6時ころまで寝入った。昨夜よく眠れなかった分を一挙に取り戻したのである。























読書や絵画鑑賞のブログ
​​かわたれどきの頁繰り(小野寺秀也)
日々のささやかなことのブログ





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Last updated  2024.10.23 08:15:58
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