進撃のドラッグストア
中日新聞に「進撃のドラッグストア」という記事が一週間連続で掲載されていました。
その中で、名古屋の商圏における小売業の分析がなかなか面白い内容でしたので、取り上げたいと思います。
名古屋市を中心とした愛知、岐阜、三重の東海三県は人口約1,100万人で、日本の人口の約1割を占めます。
地域内総生産額も国内の約1割に相当する巨大市場です。
ここを中心に発展してきたのが愛知県のスギ薬局と岐阜県のV・ドラッグです。
名古屋圏で鍛えてきた力で地盤の強化に留まらず、他地域への出店意欲も旺盛です。
スギは関西での店舗数、売上では関西一位を誇り、V・ドラッグはバローグループの一員として、岐阜県内の店舗数の倍以上他地域に出店しています。
一方でこの魅力的な市場を放っておくわけがなく、石川のアオキ、福井のゲンキー、福岡のコスモス、そして首都圏からマツモトキヨシ、ウエルシア、ココカラファインなどが攻勢をかけ、大激戦市場となっています。
名古屋圏という保守的でよそ者が入り込むには大変という独特のエリアで、東海圏以外の企業は商売が成り立つものでしょうか。
私も社会人最初の赴任地が名古屋で、よそ者には厳しい土地で、名古屋で商売が務まったらどこでもやれると言われたものですが、それはどうも思い込みのようです。
記事では一例としてコンビニのケースを挙げています。
名古屋のコンビニといえばサークルKが圧倒的なシェアを誇っていましたが、そのサークルKの牙城を崩したのはセブンイレブンです。
私が名古屋にいた頃は、確かにセブンイレブンは愛知県には出店していませんでした。
戦いに敗れたサークルKはファミリーマートに吸収されて消滅しました。
そのサークルKの親会社のユニーも、今やドン・キホーテの子会社です。
また百貨店業界でも松坂屋、三越、名鉄、丸栄が「4M」と言われ、他の百貨店の参入などは考えられませんでした。
今、名古屋の百貨店の売上第一位は高島屋です。
丸栄は昨年6月に57年の歴史に幕を下ろしました。
丸栄最後の3日間の様子は、NHKの「ドキュメント72時間」という番組で見ました。
岐阜の美濃地区では、V・ドラッグ、コスモス、アオキ、ゲンキーの激しい価格競争が繰り広げられています。
30年ほど前の愛知県尾張地区での、アオキスーパーとカネスエの安売り合戦を彷彿させます。
この時は、最後は卵1パック1円になったと思います。
やはり名古屋圏の商売はタフです。
あの土地で若い頃に商売を肌で学んだことは、今思うと財産なのだと思います。